株式会社PFUは2016年6月1日、iPhoneアルバムスキャナOmoidoriを発表しました。今回、Omoidoriのブロガーセッションに参加してきたのでレポートをお届けします。
Omoidoriはすでにプリントアウトされた写真をiPhoneに取り込むための製品で、アルバムから写真を剥がすことなく、内蔵フラッシュとソフトウェア的な処理でテカりを抑えて取り込むことができるものです。
契機は東日本大震災
製品の構想は10年前からあったものの、実際に製品として形となるきっかけになったのは日本に大きな爪痕を残した東日本大震災でした。地震と津波の影響で、泥だらけになった写真を仮設住宅に持ち込んでいる様子を見て「なんとかできないか」という思いがあったと、PFU株式会社 松本秀樹 統括部長は神妙な面持ちで語りました。
多くの人に優しく使ってもらいたい
続いてブランドのトータルデザインをエイトブランディングデザインの西澤氏が登壇しました。
「試作機を触ったときは、これは凄いと感じました。これをみんなに手にしてもらえるように親しみやすいロゴマークやデザインを作っていきました」
試作機を手にした段階で、西澤氏も凄そうな製品とビビッときた様子でした。ちなみに、ロゴマークは卵を抱える母鳥をモチーフにしているとのことでした。
「iPhoneを使ってやるというのはアイデアとしてあるようでなかった。アルバムを取り込む作業は、是非、家族で思い出を振り返りながら行って欲しい」と、楽しみながら使って欲しいという願いがあるようです。
テカりを抑える内部機構
ミソとなる「テカりを抑える機構」は、2方向からフラッシュ撮影を行い、テカっていない部分をソフトウェア的に合成することで実現しています。最近のカメラには、HDR撮影がありますが、それに近しいものを感じます。
アプリケーションは写真に印字された日付を自動で認識しExifデータに変換する機能や2L判を取り込むモード、自動でトリミングを行う機能や赤目補正機能を備えます。
ちなみに、質疑応答の時間で「Omoidori独自でクラウドサービスを提供する予定はないのか」と伺ったところ「ハードウェアだけでは無くサービスも提供していきたい。現在計画を練っている」という前向きなお返事をいただくことができたので、今後はOmoidoriのアプリだけで、取り込んだ写真をクラウド上にバックアップできる時代が来るかもしれません。
本体重量は310g、対応するスマートフォンは iPhone 6s , 6 SE 5s 5 で 6プラスには非対応。駆動には単4乾電池が2本必要です。筐体もコンパクトで「帰省の際に持ち帰って思い出をデジタル化して欲しい」という願いがあるそうです。
アナログ写真を簡単にデジタル化できるのは大きなメリット
Omoidoriの重要なポイントは、やはりアルバムから写真を剥がすこと無く、写真をデジタルデータにできることでしょう。従来ではプリントアウトされた写真をデジタル化するのは大きな労力が伴うもので、最終的にはネガから取り込んだ方が早いということもしばしばありました。
プリントアウトされた写真(アナログデータ)は、独特の風合いとアルバムの作成が大きなメリットですが、経年劣化や水濡れに弱いなど、脆弱な側面も持ち合わせています。Omoidoriを使えば、ネガが存在しない写真も綺麗にデジタル化できるので、思い出をアナログとデジタルの両方に残せる良き時代が来たのかもしれません。まさにデジタルとアナログの調和、各々のメリットを生かせる素晴らしい製品です。
実機のサンプルを頂戴することができたので、実際の使用感や画質などは追ってレポートしたいと思います。