AppleInsiderはMing Chi Kuo氏の投資家向けのレポートを伝えました。それによるとKuo氏はAppleの次世代ARヘッドセット用TOF(Time Of Flight:レーザーが届いて跳ね返ってきた時間を計測することで距離測定する技術)に期待しているとのこと。
既にiPhone Xには背面側にTOFが搭載されていますが、このハードウェアによって供給される距離と深さの情報は、まだまだ今後のAppleが想定する革新的なAR体験をもたらすには不十分であるとのこと。
Appleの次なる包括的なARエコシステムは5G、ARメガネ、そして適切な距離と奥行き情報を含むより強力なApple Mapsデータベースを統合したものだろうと語ります。
特にAppleのマップが次世代AR体験のキラーアプリになるとまで展望を述べています。確かに街中の景色にAR情報・オブジェクトを重ね合わせる仕組みには、5Gネットワーク、ARとセンサー、地図情報というのは不可欠のように思えます。iPhoneに登場当初はかなり質が悪く、3Dマップの建造物はしばしば溶けたかのように崩壊し、日本には「マクドナルド駅」や「パチンコガンダム駅」が登場、世界中で苦情の殺到したAppleのマップですが、次の時代のデバイスに繋がる鍵として機能してくるのかもしれませんね。
また、既存モデルの背面に採用されたTOFは次のAR体験に不十分であると言うだけでなく、写真撮影機能を向上させるものでもありません。さらに2016年以降iPhone 7 Plus以降、iPhoneに採用されているデュアルカメラですが、これが既に撮影に必要な距離・奥行き情報を取得する能力が向上してきており、2019年のiPhoneでは、もはや背面にTOFを搭載する必要がないと報告します。
過去にはiPhone背面にTrueDepthを搭載するとの噂もありましたが、実際には前面にTrueDepthを搭載しています。
なお、16眼カメラ、9眼スマホに取り組んできたLightはSoftBankから巨額出資を受けましたが、将来性としては車が周囲の物を認識し距離を計測するための「目」としての役割などを期待されてのことです。
MR眼鏡「Magic Leap One」の開発版が出荷を開始しており、スマートフォンの次の形としての「メガネ」の時代は、着実に近づきつつあるのかもしれませんね。