中国スマートフォン市場が頭打ちになったことは以前から指摘されていましたが、2019年第1四半期の中国スマホ販売台数も下落を継続。その中で華為(Huawei)だけは販売台数を大きく伸ばし、OPPO、vivo、小米(Xiaomi)を引き離して「1強」を形成しつつあります。
一方でAppleは販売台数が急減し、シェア率も10%を割り込む「戦線崩壊」状態。また、5大メーカー以外、「その他」メーカーのシェア率も大幅に減少し、淘汰がますます進みそうな「冬の時代」になっているようです。中国「東方財富網」が伝えました。
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中国メディア分析、Huawei一人勝ち
中国市場ここ6年で最低の出荷台数、Huaweiのみ爆増
最新の統計によると、2019年第1四半期の中国スマホ市場出荷台数は8,800万台と、前年同期比3%減、2013年第2四半期以来、ここ6年で最低の出荷台数を記録したとのこと。
Q1において、華為は中国スマホ市場で唯一の勝者となったと指摘。華為のスマホ出荷台数は前年同期比40%の爆発的な増加を記録し、2,990万台に。市場シェアは23%から34%へ拡大。
中国人のApple熱、もはや冷めきる
一方、AppleのiPhoneは中国での出荷台数を前年同期比で30%減少させ、市場シェアも10.2%から7.4%へ後退。
同様に、最近公開されたApple社の財務報告によると、状況が最も悲惨なのも大中華エリアであり、営業収入102億ドルは前年同期比22%減。また、前四半期もAppleの大中華区営業収入は27%減少しており、高価格戦略が中国人のApple熱を大幅に冷めさせたことは明らかだといいます。
数値は悲惨なものの、これは予想されていたことであり、米国市場の反応は冷静なようです。Appleの販売戦略調整に効果が見られること、新サービスが次々に打ち出されていることから、Appleの株価には楽観的な見方が広がっているとか。
産業チェーンでもApple関連は下落
一方、中国国内のApple 産業チェーンには大幅な下落がみられ、Appleのガラスボディメーカー・藍思科技、Appleの音響部品サプライヤーの一つ、歌尔股份など、Appleの産業チェーン企業は、転換の苦しみの中にあるようです。
ガラスボディメーカー藍思科技の発表によると、2018年の営業収入は277.17億減、前年同期比16.94%を達成したものの、税引後利益6.37億元は前年同期比68.88%の減少となり、特別損失を含むと4億元の赤字を計上したといいます。歌尔股份の2018年財務報告によると、営業収入237.5億元、前年同期比7%減、税引後利益も8.67億元と、前年同期比59.44%の減少になったそうです。
華為のスマホ販売台数が大きく増加していることから、国内の市場アナリストも華為産業チェーンが投資機会を促進することへの期待をたかもているようです。しかし、過去10年で華為の業務が5倍に迫る成長を実現してきたとはいえ、華為の産業チェーン関連会社が受ける利益は、比較的有限であるといいます。
OPPO、Vivo、Xiaomiも後退
Canalysのデータによると、2019年第1四半期、5大ブランドのうち華為以外の4大ブランドは出荷台数を大なり小なり減少させたといいます。
第1四半期、華為は前年同期比23.4%増の2990万台出荷して市場シェア34%を占め、中国スマホ市場で唯一ともいうべき勝者となりました。第2位のOPPOは1680万台で前年同期比4%減、市場シェアもやや後退して19.1%に。vivoは第3位、出荷台数は前年同期比2%減の1,500万台、前年同期比での減少幅が市場全体の縮小幅より小さいため、シェア率は微増の17.1%。小米は前年同期比13%減の1,050台、市場シェアは13%の第4位に。
5大メーカーの中、最もひどかったのはAppletで、前年同期比30%減の650万台、市場シェアも7.4%まで下落して10%を割り込み、華為、OPPO、vivo、小米の中国国内ブランドの後塵を拝することに。
5大ブランドで9割占め、AppleもSamsungも「その他」に
5大ブランドの多くは業績が振るわなかったものの、それでもその他の中小ブランドを引き離しているといいます。5大ブランドの第1四半期市場シェア合計は89.4%に達して9割に迫り、その他ブランドの合計出荷台数は930万台に過ぎず、市場シェア合計10.6%は、前年同期比6.2%減。
現在の中国スマホ市場は、既に華為1強で第一陣営を占め、OPPO、vivo、小米が第二陣営でこれに続き、これまで第二陣営の一角を占めていたAppleは明らかにSamsungのあとへつづいて急速に下落しており、すぐにでも「その他」へ追いやられるだろう、としています。また、その他中小ブランドの市場シェアも急速に縮小しており、1,2年以内に更に多くのブランドが、市場から完全に撤退するだろうとも観られています。
4月30日、アップル社は3月30日までの2019年第2四半期財務報告を発表。それによると、AppleのQ2営業収入は580億ドル(前年同期比5%減)、税引後利益は116億ドルとのこと。減収のなかでも配当額は過去最高の4.18ドルに。
財務報告会議でアップル社クックCEOは、「我々のグローバル収入が減収となったことは、100%大中華エリアでの業績による」と説明。人口最多の中国で、アップル社の全てのラインナップで販売台数の下落がみられたとのこと。
総評
以上、東方財富網の報道でした。一昨年の「爆発事件」によってSamsungが中国市場から事実上姿を消しましたが、今度はAppleが急速に求心力を失っているようです。とはいえ、中国メーカーのなかでも華為以外は台数を減少させており、とくに中小ブランドはますます環境が厳しくなっているとのこと、なんとも寂しい気もしてしまいますね。
- 情報元东方财富网