VAIO S15の最新モデルが発表された内覧会と同日、開発者自らの手によるVAIO S15 ALL BLACK EDITIONの分解ショーも行われました。特にALL BLACK EDITIONは最上位仕様で、第9世代Core i9 Hライン オクタコアプロセッサを搭載するだけに、冷却含め気になるところ。
今回、分解と解説を担当したのはVAIO株式会社PC事業本部エンジニアリング統括部 デバイスエンジニアリングGP電気設計課でエレクトリカルプロジェクトリーダー担当の土居原弘氏と、同部同課でメカニカルプロジェクトリーダー担当の倉知秀明氏。
ロゴやヒンジのオーナメントも漆黒のALL BLACK EDITION。分解に用いられた機体は、試作機ではあるが製品版とほぼ同じとのこと。まずは底部のネジを外して、光学ドライブを取り出します。
光学ドライブ挿入口には筐体設計上薄いビスを使用。ユーザーのアクセスで傷をつけたりしないために、板金を剥き出しにせず樹脂で保護。しっかりと3本のビスで固定しています。
画面サイズは2017年9月モデルと同一ながら、より幅が20mmほど狭くなった筐体に、Core i9 Hプロセッサーライン、ファン・ヒートパイプ、バッテリー、光学ドライブも詰め込んだ本機は、かなり凝縮した設計が求められ、大きなチャレンジであったといいます。
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光学ドライブは右手側に置き、ポート類や排熱部を左側に置きたいということで配置が決定。その中でHDDとSSD、バッテリーを置く場所を決め、残った場所に基板を押し込む、という考えで設計を進めていったといいます。HDDが中央配置となっているのは、接地する足部分から遠ざけることで振動を最小限化する工夫。
- (HDDはビス一本で取り外し)
- (上下二枚配置されたDDR4メモリ)
- (3セル構造、変わった形状の電池)
バッテリーが変わった形状になっている理由としては、タッチパッドの大型化と配線等を回す空間の兼ね合いとのこと。
- (左新型、右旧型)
- (新型のタッチパッドモジュールのサイズはほぼタッチパッド部と同じ)
- (旧型タッチパッドよりサイズはおよそ1割増)
開発者の手によって各部品と基板を繋ぐケーブルが颯爽と取り外されていきます。ビス3本で固定されたファンも取り外し。
以前のモデルと比べるとファンの厚みが増し、ブレードの形状も変更、枚数も増加。冷却性能が向上。
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(手前:2017年9月モデルのファン、奥:新型のファン)
ヒートパイプの太さ。Uラインのプロセッサを搭載し携帯性を重視したモバイルノートのVAIO SX14と比べると、TDP(熱設計電力)が異なるのもあって、大きさが全く違いますね。そして同じS15でも、通常モデルよりもCore i9 Hライン搭載のALL BLACK EDITIONのほうがさらに放熱板が大きくなっています。これでプロセッサをガンガン冷やすというわけ。
ケーブル類の取り外しが全て完了。ビスも外して、いよいよ基板の取り外しに。
基板も以前のモデルと比べてかなり小型化していることがわかります。
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(左:2017年9月モデル、右:新型)
ヒンジ部はネジ8個で固定。光学ドライブ、冷却機構を搭載した上でHプロセッサーを積むとパームレストのサイズ的に限界になるため、ヒンジとしては縦方向には締結部をとれないので、横方向にネジを3つ×2で固定。底部のベースカバーと一緒に剛性を確保。チルトアップデザインのため、従来モデルとは違う負荷のかかり方をするので気を使って対策しているといいます。チルトアップ機構のためヒンジ部分も改良されています。
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(左:新型、右:旧型)
キーボードとパームレストの締結部に溶着を増やすことで全体の剛性を高めているとのこと。ディスプレイはLCD部分はギリギリまで切り詰めており、ナローベゼル仕様に。
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(2017年9月モデルと、新型のベゼルを比較。改めてギリギリまで切り詰められていることがわかる)
大画面でベゼル部分が細いということもあって、端持ちして開く場合など、たわみやすそうに見えますが、LCDカバー側の肉厚を上げ、端を高くして強度を向上。対策しているといいます。
従来モデルではフロントカメラのケーブルをベゼルに通していましたが、今回、白いカメラケーブルをLCDパネルとカバーの間に這わせたことが、左右ナローベゼル化に貢献。
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(2本の白い線がカメラのケーブル)
読者の皆さんは、デスクトップPCはともかく、ノートPCを分解して覗いたことのある人はあまり多くないかもしれませんが、新製品を設計し狭い空間に部品を詰め込むため、開発者は日々知恵を絞って工夫を凝らしているわけです。
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