ポタフェス(PORTABLE AUDIO FESTIVAL)2019にて、Qualcommが最新のBluetooth伝送技術AptX Adaptive(アプトエックス アダプティブ)を展示しました。
これまでのこうしたコーデックの進化は、高音質化が重視されてきましたが、AptX Adaptiveは音質と低遅延、音途切れへの耐性といったバランスが考えられています。
会場展示では、音楽演奏アプリを表示したSHARP AQUOS R3と、AptX Adaptive対応のBluetoothスピーカー・ヘッドフォンの組み合わせで、SBCとAptX Adaptiveの違いを比較できるコーナーが用意されていました。
Bluetooth伝送でオーソドックスなコーデックであるSBC。スマートフォンとBluetoothスピーカーをSBCにて接続時、音楽演奏アプリを使用すると、遅延が気になることを確認できます。
しかしQualcomm AptX Adaptiveで接続時、驚くほど遅延は気になりませんでした。無線イヤホンでDTM/作曲アプリを使用するシチュエーションでも対応の幅が広がりそうです。音ゲーもイケる!と展示員の方は自信を見せていました。
AptX HDを使用中、途切れそうな接続環境の場合、適宜AptX Adaptiveに自動的に切り替わる仕組みとのこと。
また、AptX HDとは異なる新しい規格であるため、使うにはSoC側の対応が必要。既に市場に出ているものとしては、具体的にはSnapdragon 855がAptX Adaptiveに対応しており、展示機にはAQUOS R3が用いられていました。
Snapdragon 855だから必ず対応している、というわけではなく、例えばGoogle Pixel 4は対応していません。Google側がなぜそうしたのか、おそらく機種の開発スケジュールの可能性が高いといいます。(と考えると、2019年5月下旬発売のAQUOS R3が対応しているのは頑張ったのでしょうか?)
特に「AptX Adaptive対応だからライセンス料で値段が上がる」といったこともないため、メーカーが開発テスト工程を削る場合にあえて非対応にするなどの判断をしない限り、今後Snapdragon 855搭載スマホを作るなら基本的にはAptX Adaptive対応になるだろうとのこと。
Snapdragon 855の後継プロセッサであるSnapdragon 865もAptX Adaptiveに対応します。Snapdragon 700番台のSoCでは対応例があるものの、DSP処理を要するため、600番台では対応が難しいといいます。
昨今の主流メーカーのフラッグシップスマートフォンの多くがイヤホンジャックを廃止するなど、無線化の流れがありますが、この流れに音声無線伝送技術の進化は不可欠と言えそうです。Bluetoothだけど遅延は嫌という人、次からスマホとイヤホンヘッドフォンを選ぶ時、AptX Adaptive対応の可否をチェックするのが良さそうです。
ミリシタなど各ゲームメーカーと調整するなどゲーミングに力を入れているSHARPが、AptX Adaptiveにしっかり対応してきているのは何気にポイントかもしれませんね。