金立や錘子といった、かつては大きなシェアを占めた有名スマホメーカーが次つぎと淘汰されている中国市場ですが、iPhone 4の偽物で一世を風靡した「山寨(パチモノ)王」尼彩が、国内全6,000店舗を閉店、「潰れ」ていることがわかりました。騰訊網が伝えました。
尼彩は2011年、スマホシフトの時代に成立し、iPhoneのパチモノを出すことで市場を獲得していきました。これは当時の新聞広告ですが、「まるで『Apple iPhone 4』のような国産ブランドスマホがたったの399元」とあります。両津勘吉のようなビジネスモデルに思わずニンマリしてしまいます。
しかし、両津勘吉のビジネスは一話で完結してしまうように、尼彩の命も長くはなく、ここ4年で急速に姿を消し、かつて6,000件あった実店舗も全て閉店、工場も閉鎖されてしまったとのこと。華為(Huawei)、小米(Xiaomi)、OPPO、vivoといった中国メーカーが勃興した今となっては、「時代の徒花に過ぎなかった」と評されています。
なお、他の記事をあたってみたところ、公式サイトも閉鎖され、忘れられつつあるとの記事を2年前に「科技Fantasy」が伝えていました。旧聞のようで恐縮ですが、日本ではあまり知られていないので、やはりご紹介します。
「科技Fantasy 」によれば、尼彩の全盛期には「iPhone 4そっくり」「値段は10分の1」「20年無料インターネット」「修理保証」などの謳い文句で全国に事業を展開し、年間20億元を売り上げたそうです。
ただし、「20年無料インターネット」はただのWi-Fi機能、「修理保証」は「修理代を払えば修理するという意味」と、これまた両津勘吉流のギャグ漫画じみたインチキ商法。
パクリと詐欺まがいのインチキ商法は長い間通用するものではなく、尼彩はiPhone 7 Plusまでパクリ続けたものの、華為や小米が安価で高品質な製品を出すようになってからは誰も尼彩を見向きせず、消えていくことになったとか。
10年近く前の中国スマホ市場といえば「パクリ天国、無法地帯」というイメージがありましたが、その典型の後日譚、ということでお伝えしました。今では懐かしいですね。