投資金融情報専門紙Barronsは、KeyBanc Capital Marketsのアナリスト John Vinh氏のレポートを元に、Huaweiが2021年に米Qualcomm製のSoC「Snapdragon」を採用する可能性が高いと伝えました。
Huaweiは傘下企業HiSiliconの設計するKirinチップをスマートフォン・タブレットに採用しています。しかしこれはあくまで設計であって、実際の製造は台湾TSMCに委託されています。
イラン制裁違反容疑でHuaweiは制裁対象となっており、この期間がさらに延長、制裁内容も強化。これにより2020年9月以降、Huawei傘下のHiSiliconは米国の半導体製造技術によるチップ生産をTSMCなどの外国企業に委託して生産することができなくなります。
2020年後半に登場する次期ファブレット「Huawei Mate 40」シリーズには、次期Kirin 1020が搭載できる可能性はあるものの、2021年は、代替品を利用する必要があります。
Huaweiとその関連会社への輸出は、安全保障上の理由から、米商務省から輸出ライセンスの取得が必要です。John Vinh氏は、Qualcommの輸出申請が認められ、QualcommとHuaweiの間で特許ライセンスが結ばれるのではと予想します。
5G通信・ネットワークインフラによってもたらされる安全保障上の脅威としてHuawei製品が指定されており、消費者向け端末は標的にされないだろうとし、米国に本拠を置くQualcommに利益をもたらすため、これは米国の利益に一致する、との予測です。
さらにレポートによれば、もしQualcommが輸出許可を取得できず、Huaweiがスマートフォンを生産できなくとも、OPPOやVivo、Xiaomiなど他のSnapdragon採用メーカーが伸びるので、結局Qualcommはシェアを拡大し利益が得られるといいます。
よってQualcommの株は買いであるとし、格付けを上げました。
以上、予測レポートを元にしたBarronsの記事でした。2021年、Snapdragon 875を搭載したMate 50やP50が登場するのでしょうか?注目です。
なお、中国政府系メディアは、中国政府によるQualcommへの制裁を示唆しており、情勢次第では予測通りにはいかない可能性も、当然あります。
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