最近TikTokを見ているとたま~に見かけるのがAirPods Pro風のワイヤレスイヤホン。AirPodsが発売されたころにも似たようなイヤホンが発売され、話題になりましたが完成度はお察しのとおり。
しかし、聞いた情報によるとなんと、純正のAirPods Proと同じく、近づけるだけでペアリングでき、Lightningで充電まで可能とのこと。そんな馬鹿な……。
というわけで、購入してみました。Aliexpressでもあるらしいと聞きましたが、いつ届くのかわからないのと、届いた頃には忘れていそうなので、米eBayが日本で展開するECサイト「Qoo10」で注文。価格は2000円いかない程度で購入できました。ワイヤレスイヤホンとしても安めな部類ですね。
開封
発送は大分県の業者のようで、ヤマト運輸の小荷物のポスト投函「ネコポス」で届きました。開けてみると封筒の中にワイヤレスイヤホンと充電用のLightningケーブルが裸で入っていました。箱などはないようです。
パッと見た感じでは普通にAirPods Proですね。質感はつるつるではなく、さらさらとマットな感じです。
端子はLightning。本家はQiによるワイヤレス充電に対応しますが、本機は非対応の模様。
背面にはペアリング用ボタンがあります。
ダミーかと思い、Androidデバイスで検証したところ、きちんと認識されました。
上フタをあけると笑ってしまうくらい本家と同じです。充電ケースのヒンジは今にも壊れそうなくらいしょぼい。簡単に逆パカできそう。
イヤーピースまでは完コピしていないようです。本家ならメッシュまで外れます。
本家と比較。さてみなさんどちらが本物かわかりますか?
充電ケースも比較。さてどちらが本家でしょうか?
どちらも答えは右側が本家Appleが販売するAirPods Proです。これ詳しくない人は普通に騙されてしまうのではないでしょうか……。
本家は下部にセンサーがありますが、偽物にはありません。
ちなみに精巧に作られているCaseolosyのAirPods Proケースを装着したところジャストフィット。LEDライトまでピッタリ。
検証
さて、早速iPhoneとペアリングして検証していきます。本家のAirPods Proと混同してはまずいので、ここでは”パチモン”という名前にしておきます。
まずiPhoneのロックを解除し、パチモンの蓋を開け近づけます。本家のAirPods Proのようにポップアップでペアリング画面が出てきます。iPhone上ではAirPods Proとしてしっかり認識されているようです。
画面の指示通りに接続すると、しっかりペアリングできました。左右の電池残量も把握できるようです。わかりやすいよう、AirPods Proと混同しないよう名前も変えておきます。
AirPods Proといえばノイズキャンセリング機能ですが、パチモンはどうでしょうか?一応iPhoneの音量ボタンから確認すると、ノイズキャンセリング、オフ、外部音取り込みのメニューが表示されます。
しかし、変更しても音が変わることはなく、ノイズキャンセリングや外部音取り込みの動作は確認できませんでした。
では設定はどうなのか。AirPods Proなら設定→Bluetoothで割り当てる機能やイヤーチップの調整などが行えますが、パチモンはどうか。
確認する限り、AirPods Proと同様の表示ですね。名前変更はパチモンで変更している通り、問題なく動作しています。
ノイズコントロールはここで変更してみましたが、先ほどと同様に変化なし。つまり機能として存在しないようです。
AirPodsを長押しした時の動作はノイズコントロールに割り当てられていますが、実際に長押しすると、Siriが起動しました。
イヤーチップ装着状態テストは普通に動作しましたが、機能はしていないでしょう。机の上に置いていても密閉判定されました。なんでやねん。
自動耳検出はオンになっていますが、そんなものはありません。耳からイヤホンを外しても流れ続けます。ノンストップ。
マイクは搭載されているようですが、通話音質は最悪。これで通話されたらマイク壊れてるのかと勘違いしてしまうくらい。
詳細情報を確認
さて、表示上はAirPods Proと言われてもわからないくらい偽装できていますが、やはり細かいところで異なるようです。例えばバージョン情報。
AirPodsにはファームウェアバージョンが存在しており、ユーザは意識することなくアップデートされる仕組みです。iOS 14から追加されたバーチャルサラウンドはこの仕組みを利用してAirPods Proをアップデートして利用できるようになっています。
ちなみにこの情報はAirPods Proを接続することなく確認することができるようになっています。正しい仕様ならば表示されるはずですが……。
パチモンはこのように普通のBluetoothイヤホンと同じ表示がされます。ファームウェアやシリアルナンバーなども存在しないようです。
そのため、AirPods Proでは同じApple IDでログインしていればシームレスに切り替わる機能は利用できません。なので、iPhoneからiPadへ接続を切り替えるときは都度、切断し、iPad側から接続する必要があります。普通のBluetoothイヤホンと同じ挙動ですね。
結論としては、AirPods Proに偽装しているただのワイヤレスイヤホンです。おそらくAirPods Proのコピー品H1チップを搭載していて、擬似的に見せているだけなのでしょう。
聞いた話によると、H1チップのコピーを載せてiCloudによる同期など、純正同様に使える偽物のAirPods Proも存在しましたが、これらはOSアップデートにより使えないよう対策がされたそうです。そのため、本製品のようにペアリングとして機能させ、挙動としては普通のBluetoothイヤホンのようにすることで、パチモン側も”対策“をしているようです。
音質
AirPods Proと比較すると圧倒的にAirPods Proの方が良いと答えますが、別にめちゃくちゃ悪いわけではないです。ただ安価なイヤホンにありがちなロー(低音)がなく、ハイ(高音)が強めの安い音が楽しめます。
装着感は良くないです。耳に入っているのか落ちかけているのか分からない……。
操作性
本家では耳から伸びた“柄“のところを握る、つまむように押すとフィートバックがあり、操作している感じがあります。パチモンではそのようなフィードバックはなく、柄のところをタッチするだけで操作できます。1回タップで再生/停止、2回でスキップ、長押しでSiriが起動する挙動でした。
ちなみにこの柄のところはペアリング待機モードのときは赤く光ります。
総評
コピー品としては十分良くできていると思いますが、純正品にあった使い勝手の良さ、機能性を全て殺してしまっており、正直コレを選ぶ理由はないです。
ただ本家にはない豊富なカラーラインナップや傷が目立ちにくいマット加工など多少の魅力も感じます。製品も上手く法を掻い潜るよう(?)、Appleロゴやパッケージは一切なく、製品ページにはマカロンワイヤレスイヤホンと表記されています。あくまでAirPodsは意識してないよということでしょうか。
しかし、中には本家と見分けがつかないほど精巧に作られた製品が存在し、現在メルカリやラクマなど多くの個人間取引サイトで販売されています。価格が安すぎる、未開封のまま販売されているなど、怪しいポイントがあったら購入するのは躊躇しましょう。
おまけ
このパチモンAirPods Proをペアリングすると、iPhoneの動作が著しくおかしくなります。動作が重たかったり反応が悪くなったり。ペアリングを解除するともとに戻ります。原因は不明。情報お待ちしてます。