総務省スイッチング円滑化タスクフォース第4回が開催。議題は「eSIMの促進」に係る事業者ヒアリング、事業者間協議の結果など。
各資料によれば、大日本印刷株式会社は、eSIMのセキュリティ上の課題と第三者によるセキュリティ確認の必要性を指摘。MM総研は各国主要キャリアのeSIM対応状況を公表、55カ国以上、100社以上が既にeSIMに対応しているとのこと。
eSIM促進の整理案としては、eSIM早期導入のため、MNOのRSP機能開放やMVNOとの協力、eKYCを行うこと、GSMAの認証を受けたサーバーや暗号化通信で物理SIM導入のセキュリティを確保することなどが挙げられました。
また、SIMロックについては事業者乗り換えや海外利用時に不便を強い、競争阻害要因であるとし、ごく一部のユーザーの「不適切行為」の防止を名目に、大多数の善良なユーザーが負担を強いられているとし、SIMロックを一律禁止すべきとの案が検討。朝日新聞が報じるところでは、目立った反対意見はなく、総務省は年内にも関連指針を改正するとのこと。
最も注目すべき「MNPワンストップ化」検討の動きですが、これまで多大な期間とコストを要すると考えられていたものが、既存システムを活用してMNP予約番号を発行するための機能(API)を開発する方式案であれば、そうした問題を解決できるとし、実現に向けて進行中のようです。
SIMロック禁止については良いことですが、キャリア販売端末は対応バンドが削られており、スムーズに他社回線への乗り換えができない機種は少なくありません。下手にフルバンド対応を義務化すれば、ただでさえ端末価格に転嫁する傾向にある携帯キャリアが、その傾向を悪化させるでしょうから、iPhone、AQUOS、OPPOといったマルチキャリア対応をメーカーの努力で進めている製品を、消費者が賢く積極的に選択する必要があるでしょう。
日本の特殊な「MNP二度手間」を廃し、MNPワンストップ化を実現するのは、今回のスイッチング円滑化タスクフォースの中でも期待すべき動きです。
総務省は以前からこの案をワーキンググループで検討してきたものの、大手携帯キャリアは反発。しかしその後、政府によるアクションプランで再検討が指示、改めてスイッチング円滑化タスクフォースに引き継がれ、事業者間協議等含め検討が続けられてきた形。
転出元で予約番号を発行する処理を行い、その番号の有効期限は2週間で、さらに転入先でも処理を行わなければならないのは、ただひたすら手間です。ここを是正することはリテラシーある消費者にも、そうではない消費者にも、広く大きな恩恵があると言えるでしょう。