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「OneMix 4」レビュー。あれ、コイツ意外と……!?

 UMPCメーカー、「脱UMPC」の問題作。

 UMPCと呼ばれる小型モバイルPCを製造開発する中国One-Netbook社の新型モバイルPC「OneMix 4(プラチナエディション)」を、日本国内正規代理店であるテックワンよりお借りしたので、レビューしていきます。

 筆者はUMPCが好きなので、どんなもんだろ?と気になっていました。また、8.9型の「Magic-Ben MAG1」を愛用しているので、これとサイズの近い10.1型の本機をレビューするのは楽しみでした。

 CNC切削加工6000系航空機用アルミニウム合金を採用した金属筐体。なかなか上質感があります。ほどよくズッシリ。

 OneMix 3 Proは重量実測値680gであったのに対し、本機は770g。約90gの重量増加となります。

(Surface Go 2にタイプカバーを付けたのと同程度の重量)

 適度な重みもあって高級感十分。ガジェット感が良い。

 iPhone 12 Pro Maxと並べると、サイズ感を想像しやすいかも。

 サイズ的には、MacBook等の一般的なラップトップPCと比べてかなり小柄。ギリギリUMPC分類だったと思われるMagic-Ben MAG1よりも少し大きめ。ぴったり入る鞄を見つけられるかどうかが、許容し愛用できるかの鍵ではないかと思います。

(上からMagic-Ben MAG1, OneMix4, M1 MacBook Air)

 OneMixシリーズはこれまで電源ボタンと指紋認証を別途搭載。キーボード部分に配置していました。しかしOneMix 4では、指紋認証センサー内蔵電源ボタンを側面部へと配置してスッキリまとめることで、Windows Helloに対応しつつ、キーボードも改善。

(右側面。指紋認証内蔵電源ボタン、USB Type-C、イヤホンジャック)

 OneMix 3 Proで不満だったTabキーの位置が改善。右側にShiftキーがあり、数字列にハイフンや+があるのも嬉しいポイントです。ただ右Ctrlがないなど、まだあと一歩というところですが、従来機種からは大きく改善されています。

 キーピッチは18.5mm。キー同士の間こそ狭くゆとりは小さいものの、キー自体は大きい。

(左:OneMix4, 右:MacBook Air M1)

 キーストロークも深めで弾力感ある打鍵感。バックライトもあり。正直、UMPCの延長として考えると非常に打ちやすいと感じます。

 タッチパッドは指を滑らす時にぬるっと独特の感触。ただの板や、ThinkPadのシルキーでマットな感触とも異なり、多少好みは分かれそう。従来のOneMixシリーズは光学式ポインタで個人的にはかなり使いにくいと感じていたため、広めのタッチパッドが配置されているというだけでも使いやすさが断然違います。従来機種の操作系に不満のあった人や、MAG1からの乗り換えにはうってつけなのではないでしょうか。

(左:Magic-Ben MAG1, 右:OneMix4)

 驚くべきは画面の額縁。めちゃくちゃ細い!

 10.1インチの大画面にしては、筐体の大型化を抑えられていると言えそうです。

 この画面サイズでタッチパネルともなると、Kindleなどの電子書籍を読むのに良いですね。漫画を大画面で読めますよ。

 閉じている時には、キー誤入力キャンセルが働きますが、働かない場面もありました。これは試用機であり、製品版とは異なる挙動がある可能性はあります。

 タッチパッド部分は手動で無効化が可能。

(F6 タッチパッド無効化)

 Yogaスタイルならではのこんなスタイルも可能。ヒンジ部分もしっかりしており、角度保持、本体保持もばっちり

 動画視聴にも良いですね。スピーカー、音質はMAG1とそれほど変わらず可もなく不可もなく。音量も同程度でおとなしめ。

 ディスプレイはLTPS液晶。画面視野角は、斜めから見て色がおかしくなるといったことはないものの、正面から見た時より若干暗く感じます。多人数で見ることを重視しない、あくまで生産性重視のマシンといったところでしょうか。

(左:MAG1, 右:OneMix4 正面から同じ輝度に見える設定のまま斜めからも捉えた)

 筆圧検知スタイラスにも対応。PhotoshopやCLIPSTUDIOも動作します。本記事の表紙画像もこれで描きました。

 ゲームマシンではありませんが、性能や諸元表も確認しておきましょう。OneMix 4は、Intel Core i5-1130G7搭載の通常モデルと、Core i7-1160G7搭載「プラチナエディション」が選択可能。試用機は後者です。

OS Windows 10 Home 64bit
CPU 第11世代 Intel Core i7-1160G7
最大4.0GHz, Intel スマートキャッシュ8MB
Intel Iris Xe Graphichs 96EU
メモリ 16 GB LPDDR4 オンボード
ストレージ 512GB/1TB PCIe NVME SSD 
M.2ポート非搭載
ディスプレイ 10.1型 LTPS液晶 (2560 × 1600) 16:10
sRGBカバー率100%
10点マルチタッチ認識
2048段階筆圧検知スタイラス対応
2in1 360度Yogaスタイル
バッテリー 10000mAh, USB-PD 45W
寸法 幅227×高さ157.3×厚み11~17(mm)
重量 769g
その他 microSDカードスロット
USB Type-C ×3(内USB3.0×2, USB4.0×1)
Wi-Fi 2.4/5GHz, Bluetooth
イヤホンジャック, 指紋認証センサー
キーボードバックライト
技適認証取得済み

 以下、ベンチマーク結果。試用機のため、製品版とは異なる結果となる可能性があることには留意してください。

  • ドラゴンクエストXベンチマーク 標準品質 HD ウィンドウ:7413点
  • ドラゴンクエストXベンチマーク 最高品質 FHD フルスクリーン:5651点
  • Cinebench R23 マルチコア:2225点
  • Cinebench R20:1410点

 前モデルOneMix 3 Proと比較しやすいよう、使用ソフトを揃えてみました。唯一、ドラクエベンチマークで標準品質/HD動作時はほぼ同点ではあるものの、最高品質/FHDでは2000点以上スコアが伸びた上に、CPU処理性能を数値化するCinebench R20でも大きな伸びを見せました。

 これだけパワフルなら何でもできちゃいますね。個人的にはこの機体を買ってもゲームをすることはないと思いますが、たとえば「旅行先で宿泊した際などに、VRSNSにデスクトップモードでちょっとだけログイン」といったことが可能なのが嬉しい。

 何気にUSB Type-C端子は右側面に1つ、左側面に2つと充実。充電は左側面から。

(左側面。USB Type-C×2, microSDスロット)

 電池容量はOneMix 3よりもさらに大幅増量した10000mAh。とてつもない大容量です。これだけ大きいと充電時間も必要ですが、45W急速充電にも対応しています。安いUMPC、旧機種だと充電周りがポンコツで、充電速度が遅かったり付属品ではない汎用の充電器が相性悪かったりすることもあるのですが、しっかりUSB-PDなのも嬉しいポイント。実際、2時間あれば9割ほど充電が可能でした。無理なく運用できそうです。

 筆者の愛機、8.9インチUMPCのMAG1よりもさらに良いキーボードのOneMix4は、かなり羨ましいと感じます。

 一方で、重量がかなり重たいので、そろそろノートPCと競合する領域に到達しており、そこが悩ましい。極端な例で言えば13.3型で600g台の富士通 LIFEBOOK UHシリーズなんてものもありますからね。

 小ぶりな鞄に入る、カジュアルに持ち運べると言ったメリットが本機にはあるので、やはりぴったりの鞄を見つけられるかは、本機を選ぶ上でのポイントになってくるのではないでしょうか。

 もはやUMPCという殻を破ったという点には賛否両論あると思いますが、10インチPCってけっこうガラ空きなんですよね。高性能で生産性の高いマシンは、13インチ以上のモバイルノートになるはずです。10インチといえばSurface Goシリーズも出ていますが、性能も生産性も正直……といったところ。

 この微妙な機種の多い領域で、新興One-NetbookがOneMixシリーズで培った技術や美点を継承しつつ、パワフルなOneMix4で殴り込みをかけるということについては、筆者はポジティブに捉えています。UMPCの延長としてはかなり頑張っているキーボードが付いていて高性能なOneMix4の重量が、Surface Go 2にタイプカバーを付けたのと同程度の重量ですからね。

 もし10インチからPCを選ぶとなったら、筆者は間違いなくOneMix4を選ぶでしょう。マルチメディア用途最優先で選ぶのであれば、より視野角が広くスピーカー音質に優れた良いラップトップ、いやタブレットをも含めて選択肢に入れるでしょうが、筆者が優先するのは生産性用途なので、OneMix4が最有力。モバイラー的に言えば、いわゆる「サブノート」というやつですね。

 ただ生産性用途という意味では、インカメラ非搭載のため、Zoomなどを用いる昨今の遠隔勤務には単体で対応できない点には注意が必要でしょう。個人的にはインカメラの使用を強いられることがほぼないので特に問題とは感じず、ベゼルレスでかっこよくて携帯性が高い方が良いじゃんとは感じます。もしOne-Netbookが狭額縁と遠隔勤務需要を両取りするなら、Huawei MateBook X Proのようにファンクションキー列にポップアップインカメラを仕込むしかないかもしれませんね。コスト増すぎるかしら?

 とりあえず現状の解決策としては、Zoomなどの会議ソフトは、スマホのカメラをPCインカメラとして使えるように設定するか、最初からスマホ側でやってしまうかといったところになるでしょうか。

 総評、意外と良かった。特にキーボード。OneGx1で相当気合入ってたので、OneMix4にも期待していましたが、けっこう良かった。

 隣接別分野にOneMix 4で殴り込みをかけるOne-Netbook社。さらなる躍進に期待したいところ。もちろん、これで躍進した結果、新しいUMPCも出してくれると嬉しいです。日本のモバイラーの皆さんは私含めて、キーボードを最優先で設計したVAIO Type Pのような横長UMPCが出てくるのを心待ちにしていると思いますよ。いろんな機種が出てくると良いですね。

 OneMix 4 国内正規版は記事公開時点で4月下旬以降お届け予定、現在予約を受付中です。

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