ONEXPLAYER レビュー。尖ったド変態「携帯Windowsゲーム機」

 深圳One-Netbook Technology社の開発した携帯WindowsゲーミングPC「ONEXPLAYER」を株式会社テックワンより貸与していただいたのでレビューします。本機はCore i7-1165G7搭載の試用機となります。

 まるでNintendo Switchかのような外観が特徴。似たようなサイズかと思ってしまいそうなところですが、かなり異なります。PCゲームをポータブルで大画面、ド迫力で楽しめます。

 SurfaceやNintendo Switchのようなキックスタンドが便利。角度は65度となっており、Nintendo Switchより傾けることができます。

 前面にはゲームパッド。ALPS製アナログスティック、 十字キー、XYABボタン​を搭載。左のオレンジのボタンはデスクトップ画面に戻れて便利。

 右側にはTurbo(TDP20/28W切り替え)ボタンとソフトウェアキーボードを出すボタンがあります。

 画面はタッチパネル。ソフトウェアキーボードボタンを長押しするとゲームパッドモードに切り替えたり、マウスカーソルモードに切り替えたりできます。注目されなさそうな点ですが、パッドでマウスカーソルを動かしたりスクロールもできるので、攻略情報をWebで調べるなどブラウジングも快適。ソフトウェアキーボードは大きくできるので、短い単語の検索やID/Password入力は意外とイケます。

 左右人差し指の部分にトリガーボタンが2個、計4個。コントローラーは非分離。いちいち充電する手間がなく、本体の充電のみで済みます。

 背面には音量ボタン、指紋認証兼用電源ボタン、ミュートボタンあり。

 電源ボタンと指紋認証が一緒になっていること自体は良いのですが、画面中央にあるので若干押しにくいという問題はあります。ただ、プレイ中に間違えて押してしまうことがないのでむしろ合理的ではあるかもしれません。

 上側面には3.5mmイヤホンジャック、microSDスロット、USB A 3.0端子と2つのUSB 4.0端子。USB4.0は40Gbpsの伝達速度に対応しており、外部モニター出力やeGPUも利用可能。ダブル銅管パイプとデュアル冷却ファンにより本体から放熱します。

 ベンチマークスコア計測結果は以下の通り。原則Turboモードで測定。

  • ドラゴンクエストベンチマーク 標準品質1280×720:14944 すごく快適
  • FF XV ベンチマーク 標準品質1280×720:2733 やや重い
  • 3DMark Time Spy:1699
  • PCMark10:4423
OS Windows 10 Home 64bit
CPU 第11世代 Intel Core i7-1185G7/1165G7
/i5-1135G7
Intel Iris Xe Graphichs 96EU
メモリ 16 GB LPDDR4x 4266MHz
ストレージ 512GB/1TB/2TB SSD
ディスプレイ 8.4型WQXGA 2560×1600 IPS液晶
バッテリー 59Wh/20V 3.25A, 65W急速充電
寸法 幅227×高さ157.3×厚み11~17(mm)
重量 実測で約828g
その他 microSDカードスロット, 指紋認証
Wi-Fi 6/ BT 5.0​
USB4.0 x2/ USB-A 3.0/Micro SD/ 3.5mmイヤホンジャック

 IPS液晶なので視野角は広いです。解像度はWQXGA(2560×1600)。

 この解像度のまま高品位なゲームのプレイやベンチマーク計測には難があります。たとえばFF XV ベンチマークをHD(1280×720)で回せば「やや重い」程度ですが高解像度ではスコアが半減し「動作困難」判定となります。競合のGPD Win MAX / Win 3はWXGA(1280×800)なので、ここは考え方の違いを感じます。

 チップセットの能力を考えてゲーム描画を優先するのであれば、Windowsもしくはゲーム側の設定で解像度を落としましょう。PUBGにしろApex Legendsにしろ、プレイに十分なフレームレートを確保するには解像度をHDにし、各種画質設定を低めにするとかなりいい感じにプレイできます。PCゲームではよくあることですが、各タイトルに合わせて設定を煮詰める作業が必要です。

 プレイに関してはコントローラーの出来が秀逸で、特にスティック部分は最高。押し込みにも対応、感触も非常に素晴らしい。OneGX1と比べても格段に良くなっています。Nintendo Switchにも引けを取りません。

 形状もグリップ感があり、押し心地の良いL1/L2/R1/R2トリガーもある、このフォームファクタからはレースゲームやアクションゲームをするのにぴったり。

 VRChatを起動した様子。SteamVRで起動するとゲーミング想定で組んだPCですら快適な動作は難しいですが、それに比べてデスクトップモードでの動作は軽めなのもあって、本機の性能をもってすれば非常に軽快に動作します。

 ノートPCなら何でも出来ますが、キーボードやクラムシェルはゲームをするにはデッドウェイト。GPD Win3のスライドキーボードもVAIO Type Uを彷彿させる変態さが素晴らしいですが「そんなに頻繁にID/Passwordを打つか?」というのも正直なところ。MMOでは必要かもしれませんが、そこは割り切っても良いところ。

 そこでキーボードをバッサリ切って底面装着のマグネットキーボードカバーをオプションにし、大画面とコントローラーに振り切った本機は素晴らしい割り切りだと思います。VAIO Uシリーズにも当時としては画期的なマルチコントローラー搭載モデルやキーボードレスモデルも存在したので、こっちも往年のVAIOっぽさを感じます。

 厚みと重量があるので本機に適した持ち運び用のポーチやかばんを見つけられるかは、愛用できるかどうかのポイントになるのではないかと思います。

 本機の弱点は音響面。スピーカー音質やマイク品質が良くない上に、ファンからの音をマイクが拾ってしまうので、前述のようなVRSNSやボイスチャットを起動してのゲーム多人数プレイには向かないという点です。もしこれらを望む場合、Bluetoothや3.5mmの音声入出力ジャックがあるので、周辺機器を駆使して弱点を補う形になるでしょう。

 特大容量の電池を搭載はしているものの、Turboモードでゲームをすると1~2時間程度で電池が切れてくるので、長めの外出では充電器は必携。普段はメインPC/ノートPCとは別のゲーム用特化端末として扱い、仕事の昼休みと通勤時に少し遊ぶような機体になるでしょうか。

 けっこう重量があるので、本機を浮かせて保持して長い間プレイするのは疲れます。座って机上などに手を置いてプレイする分には問題なし。

 かなり尖った変態機。適したゲームや利用スタイルが合う人は羨ましい。もし自分が買うなら就寝前に気軽にライトなゲームをするサブ機として導入すると思います。

 ONEXPLAYERは今夏国内販売予定。正式発売が楽しみなところです。

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