オンラインコミュニケーションSNS「VRChat」上にて、展示会イベント「バーチャルマーケット6」が開催中です。今回の開催期間は2021年8月14日(土)~2021年8月28日(土)。
イベントの主催団体はVR法人HIKKYが担当しており、バーチャルマーケット6はその名の通り第6回目の展示会となります。
今回の記事では各会場のゆるやかな紹介と見どころを中心に取り上げていきます。
Index
「企業展示」はお祭り要素前面
今回の企業展示会場となる1つ目のWorldが「World Festi-VR “Core”」です。
これまで駅構内や空港内、部屋の一室など色々な所がスタート地点として設定されてきたバーチャルマーケットですが今回は宇宙船「UniVRse Ship」の中からスタートです。まっすぐ通路を奥へと進むと、ワープアウトした宇宙船の窓一面にバーチャルマーケット6の会場が広がり船外へのワープポイントが出現します。
船の外に出れば目の前にはライトが煌めくクラブやディスコの様なランウェイがあり、そのまま直進すると会場にあるモニタに自分のアバターが映し出されていきます。その先のホールにたどり着けばクラッカーが鳴り紙吹雪が舞い散る演出の中、目の前にはゴールデンゲートブリッジの様な橋が飛び込んできます。
この第一会場「Dazzle City」はアメリカの大都市に近い造形となっていて、リズムを刻む自由の女神や左右に広がる広告などどことなくタイムズ・スクエアの要素も含んだ景観を楽しめます。奥にある東京タワーのステージ脇からは第二会場「Windmill town」へとワープする事が可能です。
背後でぐねぐねと曲がるビッグベンの様な建物や2階建てバス、欧州の服装をしたキャラクターが会場を埋め尽くす様子はさながらごった煮ヨーロッパという表現が相応しい状況です。銭湯のある企業ブースがあったり、会場を奥に進めば牛追い祭りよろしく牛に追いかけられたり、またイタリアのトマト祭りの様にトマトを掴んで好き放題投げる事が出来たりと様々な地域の文化に触れる事が出来ます。
クルーザー近くのワープポイントから進んだ先は第三会場の「Shining Siesta」。南米圏のお祭りがひしめくこの会場ではメキシコやブラジルといった国々の意匠を持つ建造物が多く見られます。また観光名所としても有名なコルコバードのキリスト像もそびえ立っており、こちらもこちらで非常に混沌とした熱狂を楽しむ事が出来るでしょう。
なお企業ブースが幅広い展示スペースを使っている珍しい作りのエリアともなっています。
最後の第四会場「Vibrant Venue」は秋葉原の駅前を再現した会場となっています。JR(東日本旅客鉄道株式会社)の全面協力で秋葉原にある商業施設「Atré」や駅構内の設備はもちろん、駅構内にホーム、到着する電車に至るまで現実そのままの質感と音声で再現を行っています。降り立った地点周辺には今回のクラウドファンディング協力者の名前の石碑やちょっとしたイベントスポットもあり、更には講演用のステージまである作り込みようです。
2つ目の企業展示会場は「Japan Festi-VR “En-Nichi”」という名前のWorldです。こちらは「縁日」という名称やジャパン・フェスティバルと読める箇所がある所から分かる通り、日本のお祭り要素をモチーフとしています。
最初の会場は企業の宣伝ポスターや会場内の建物に紛れるように企業の展示ブースがありましたが、こちらのWorldはお祭り屋台の横に企業ブースが鎮座する分かりやすい構造となっています。
「リュウキン」「ランチュウ」「ニシキ」「コメット」「デメキン」の五つの区画にブースがひしめいている他、企業出品のアバターも来訪者の様に展示されています。中にはアバターの元ネタを知っていると涙腺が緩みかける様なものもありますので、是非回ってみてはいかがでしょうか。
「一般展示」会場から見える傾向
今回は一般展示を抽選制とした事もあり、会場の種類や数自体はかなり絞られています。
それぞれイタリアのヴェネツィアの様な河川を湛える都市「ラグーナ」、砂塵吹きすさぶ砂漠地帯のオアシス「カラヨル」、東洋の暗い歓楽街の様なオリエンタル感を出す「九蛇之市」の3種類が会場として設定されています。
どのワールドにも共通して何らかのギミックが存在する他、スタートからゴールとされるエリアまではやや長めの一本道です。これまで会場によっては展示までたどり着けず迷ってしまうというケースもありましたが、今回の一般展示会場では極力そういった要素を廃して設計されている所が特徴と言えるでしょう。
またどの一般展示会場も、これまでバーチャルマーケットの会場として選択されていないジャンルとなっており、当イベントに継続して参加されているユーザーにも新鮮さを与えるチョイスと言えるでしょう。
裾野を広げるマルチプラットフォーム対応
本格的なQuest対応の鏑矢であるVketMall
これまでバーチャルマーケット5等でも「Oculus Questの様なHMD(ヘッドマウントディスプレイ)単独で動作する会場」という試みは行われましたが、本会場と比べて若干規模の小ささを感じられるものではありました。今回はそういった差を極力無くす試験的な方式として「VketMall Proto」という展示会場が公開されました。
このVketMallはパソコンでアクセスした会場とHMD単独でアクセスした会場にそこまで大きな差がない様な設計で作られている常設展示会場です。
バーチャルマーケット自体は開催期間が過ぎればメンテナンスを行わないという方針で会場設営を行っていましたが、このVketMallについては2週間おきに入場可能なショップが入れ替わるという継続的な更新を前提とした会場です。
取り扱う内容も男性アバター、女性アバターのみならずワールド制作者向けの展示品や食品系アイテムや家具など様々なジャンルの店舗が18種類用意されており、これを入れ替えながら運営していく仕組みとなっています。
このVketMallはエントランス会場はパソコンもHMD単独版も同じデザインや内容となっており、その先の会場へ直接アクセス出来るのか別のWorldとして移動するのかという点のみです。
エントランスで極力どちらのユーザーにも差を感じさせる事なく購買体験を実現しようという取り組みは、今後の仮想空間の商行為において大いに参考になる所ではないでしょうか。
スマホでもOK、ブラウザ版VketCloud
また今回も一部企業ブースとVketMall Protoをブラウザからチェックする事が可能な「VketCloud」が用意されています。
こちらは公式ページトップから移動する事が可能であり、VR環境対応のパソコンが無かったりスマートフォンからいち早くVketMallの品物をチェックしたいという時に役立ちます。
展示内容については全く差がない状態で実装されている他、今回は他のユーザーとの同時接続も可能となっており友人と一緒に回る事も出来る様にアップグレードされているのが特徴です。
これだけの規模を誇るバーチャルマーケット6は2021年8月28日(土)23時まで開場しています。この機会に是非足を運んでみてはいかがでしょうか。