Qualcommは、スマホ向けSoCのSnapdragonにおいて、ミッドレンジからアッパーミドルクラスに位置する4種類のSoCを発表しました。特に目新しさはありませんが、Snapdragon 8シリーズほどの性能を必要としないユーザーへの新しい選択肢となるでしょう。
Snapdragon 480 Plus 5G
Snapdragon 480 PlusはQualcomm製SoCで最も安価に5Gに対応するSnapdragon 480 5Gのクロックアップ版。Snapdragon 480と構成は同じで、クロックの速度が2.0GHzから2.2GHzに上がっています。
また、Snapdragon 480自体が400番台シリーズであることを疑ってしまうほどに性能が高く、Snapdragon 480を搭載するOPPO A54のGeekbenchスコアはシングルが520点程度、マルチは1600点を叩き出しています。
これはSnapdragon 665を搭載するOPPO Reno 3AやSnapdragon 710のReno Aのスコアを凌駕し、Snapdragon 720のRakuten HandやSnapdragon 690 5Gを搭載するXperia 10 IIIに迫るスコアとなっているため、ここからクロックアップが施されたSnapdragon 480 Plusがどのような性能となるか注目したいです。
Snapdragon 680 4G
Snapdragon 680 4GはSnapdragon 678の後継で、今回発表されたSoC群の中では唯一5G非対応となっています。6nmプロセスで製造され、CPUは最大2.4GHzでリフレッシュレートは90Hzまでといかにもミドルクラスらしい性能ですがCPU以外のスペックは随所随所で削られています。
Snapdragon 678を搭載したスマホは国内には存在せず、海外でもRedmi Note 10やMoto G Stylus程度。Snapdragon 680も日本市場ではお目にかかれないかもしれません。イラン制裁違反や安全保障上の脅威を理由として制裁を受け、5G関連の部品調達が困難なファーウェイ辺りが採用でしょうか。
Snapdragon 695 5G
何となく察しはつくかもしれませんが、Snapdragon 695 5GはXperia 10 IIIやAQUOS Sense5Gに搭載されているSnapdragon 690 5Gの後継。
先代モデルと比較すると、Sub6・ミリ波の両方に対応、Kryo 560からKryo 660に更新されたことによりCPUクロック2GHzから2.2GHzになっており、これによりパフォーマンスが15%上昇したとしています。製造プロセスも8nmから6nmへとわずかに微細化。着実に進化を遂げています。
ちなみに、Snapdragon 690 5Gを搭載するスマホは上記のXperia 10 IIIとAQUOS Sense5G以外ではY!mobileから販売されているLibero 5GやSoftBank専売のLenovo TAB6などがあり、Geekbenchスコアは平均してシングルでは580点、マルチコアでは1600点ほどとなっています。
Snapdragon 778G Plus 5G
今回発表された製品の中で最も性能が高いSoCがSnapdragon 778G Plus 5Gで、こちらもSnapdragon 778Gのクロックアップ版です。
ただし、相違点は最大2.4GHzだったSnapdragon 778Gからクロックが0.1GHz上昇している点のみにとどまっています。
Snapdragon 778GはMotorola Edge 20やXiaomi 11 Lite NE 5G、realme GT Master Editionなどに採用されており、うちMotorola Edge 20のGeekbench スコアはシングルコアは760程度、マルチコアは2600程度と今回のSoCの中では頭一つ抜けていることが確認できます。