厚めでベゼルが太く、巨大なパンチホールを備え、令和なのに単眼レンズ、古めかしい見た目で、4万円が妥当な中スペック……なのに10万円、14万円という挑戦的な価格で話題の「BALMUDA Phone」。
そういやこれって中国で話題になってるの?と調べてみると、ニュースとしてはスペック表くらいしか出ていなかったので、SNS「微博(Weibo)」で検索してみると、さすがに中国のガジェオタはお目が高く、けっこう話題になっていました。どれくらい話題かといえば、1インチセンサーカメラ搭載スマホより食いつきがいいです。
そんなわけで、中国人はBALMUDA Phoneをどう見ているのか?中国から入ったツッコミを紹介していきます。
Index
「これ売れるのか?」
まずはこちら、ガジェットニュースアカウントから。
「日本家電ブランドバルミューダが初めてのスマホを発表。4.9インチディスプレイ、スナドラ765G、フロント800万画素カメラ、背面4800万単眼カメラ、2500mAh電池、厚さ13.7mm、重量138g、定価10万4800円、人民元にして5832元。これ売れるのか?」
売れるわけないだろって感じですが、スペックと価格を列記しての「売れるのか?」というストレートな小学生並みの感想。スペックと価格を見るだけで笑えるのって、改めて見るとやっぱすごいですね。令和3年に2500mAhって。バッテリーが取り外し可能で、予備のバッテリー持ち歩いていた時代を思い出させてくれます。
「洋ゴミ拾い」
お次は、こちらもガジェットアカウント。
「ほんとに、日本ブランドのスマホを見ると、やはり(中国)国産がいいと思う。ソニーのスマホは出る度に特徴がなくなっているし、シャープは更につまらない。ようやくバルミューダが出てきたと思ったら、こんなモノを作ったのか」
「造形デザインは確かに独特だが、このディスプレイ、このベゼル、この超デカイ穴、好きになれない」
「スペックは実はまだ見れたものだ。スナドラ765なら、性能はギリギリ許せる。実行メモリ6G・保存メモリ128GBの組み合わせで、NFCもついている」
「なんというか、半年後に『洋ゴミ』を拾うなら悪くない」
これだから日本ブランドはと言われるの、軽く国辱ですね。1型カメラスマホは面白いだろと思いましたが、中国では知名度低いのでしょう。
「洋ゴミ」を「拾う」という表現については、おそらく察しがつくと思いますが、「中古なりで流れてくる海外のダメダメガジェットをゴミのような値段で買う」という意味のようです。ガジェオタの遊び方ですね。
「時代を超えたスマホ」「日本のKawaii文化はこんなところまで」
「日本の家電メーカー・バルミューダが、『時代を超えた』スマホ、本物の小型ディスプレイをリリースした」
「(スペック・価格など)その勇気に感服する、でもデザインはとても面白い」
「日本産のバルミューダフォン、見た感じ凝ってって可愛い(日本のカワイイ文化は色んなところで発揮されているんだなあ……)」
「価格は栄耀Magic 3 Proと競っている、どっちを買う?」
私なら、バルミューダフォンが半額でもMagic 3 Proの方が欲しいです。
「ノキアっぽい?」
「家電屋もスマホを作るんだ……このデザイン、初期のノキアじゃない?よくできている、いいか、もう作るなよ」
うーん、ノキアにこんなのあったかなあ、と思いましたが、確かに十年くらい前にどっかで見たような気は……。ノキアっぽいといえば、Weiboと同じ会社が運営しているニュースポータルサイト「新浪」のデジタルニュースアカウントも、こんなことを言っています。
「うん、公式サイトをもう一度見てみたけど、価格書き間違ってなかった……。それと、キャッチフレーズだけど、昔のノキアN9に似てる」
バルミューダフォンの「Another」に似ているというN9のキャッチフレーズは、こちら。「ノキアN9は後追いしない」(岸辺露伴みたいですね)。
なお、新浪のこのアカウント、「#5900元のバルミューダフォンを如何に評価するか」というハッシュタグまでつけて、話題を盛り上げてくれています。嬉しいですね。
「日本人のデザイン力は凄い」「人を殴るのに使える」「洋ゴミ回収待ち」
「中国国内メーカーは、狂ったような過当競争の中で同質化競争が深刻な状況になっているが、海外のスマホが新機軸を打ち出してきた」
「それこそが、日本の家電メーカーバルミューダが投入した新型Androidスマホ、Balmuda Phoneだ。小さく精巧な4.7インチディスプレイ、全体の外観がレトロで可愛く、背面の曲線は手のひらによくなじむ。背面カメラ右側のLEDライトは、充電と通知が来たときに教えてくれる。ユーザーに、折りたたみ式携帯電話の時代へ戻ったような感覚を与えてくれる。日本人の簡略風デザイン能力は、本当に凄い」
「もちろん、ブランドによる問題もある。ブランド料を盛り込んだ結果、販売価格は10万4800円に達している。『洋ゴミ』の回収を待つほかない。それに、最厚部は13.3mmもあり、曲線ではあるが、それでもやはり板として人を殴るのに使えるだろう」
「四方のベゼルは太く広いデザインで、いま主流となっているベゼルレスには入っていっていない。放熱問題を考えると、CPUは当然あまりよくない、765Gだ」
「ゲームをプレイするのにこのデザインは使いにくいだろうが、女性が護身用にしたり、クルミを割るのにはいいだろう。数百元(約1780円~1万7800円)で買う価値はある」
これ以上付け足す余地のない、なかなか小気味のいい論評です。
まとめ
最近、スマホのデザインもスペックも成熟化と同質化が進む中、突如彗星のように現れた「バルミューダフォン」ですが、日本だけでなく中国のガジェオタまで歓喜させる話題沸騰ぶり。Weiboでの言及数、多分ですがXperiaの新モデルリリースよりも多いと感じます。つまり、令和3年に中国で最も話題になった日本スマホと言っても、言い過ぎではないでしょう。
バルミューダフォンのスペックと価格をひと目見て「京セラじゃなくて鴻海にでも投げたらマトモなもんが出てきたのでは」と思いましたが、そうするとおそらく「4~5万円価格帯のふっつーのスマホにバルミューダロゴが入って10万円の値札がつく」という一番つまらないことになってしまい、こんなに話題になることはなかったと思います。
なお、編集長はバルミューダフォン新品を発売日にちゃんと定価で購入したようで、アホなのか偉いのか、とにかく凄いなと感心しました。ありがとうバルミューダフォン!