環境を意識した電子機器を製造するオランダのFairphoneは、新たにモジュール式のヘッドホン「Fairbuds XL」を発表しました。
Fairphoneといえば、長寿で簡単に修理ができる製品でお馴染み。同社が2015年に発売したスマートフォン「Fairphone 2」は、2021年にもOSバージョンアップのファームウェアが配信されているほか、「Fairphone 3」では、米修理業者iFixitの評価で、修理のしやすさ10点満点を獲得しています。
そんなFairphoneが今回発表した「Fairbuds XL」は、11個の分解可能な部品で構成された、モジュール式のヘッドホンです。
11個の各モジュール内には、それぞれ必要な部品がまとめられており、細かい部品をばらすことなく、分解・修理を行うことができます。
非常に修理が簡単であるため、修理業者に依頼することなく、ユーザー自身で各部品やバッテリーの交換が可能。イヤークッションに関しては、工具なしで交換することができます。
また、本体素材にまで環境を意識しており、ボディは、100%リサイクルのアルミと、80%以上リサイクルされたプラスチックを使用。基盤のはんだ付けで使用する錫(スズ)も100%リサイクルされた素材であるほか、付属する専用ポーチまでも100%リサイクルプラスチックで製造されています。
もちろん環境に配慮し、長く使えることも重要ですが、「ヘッドホン」として良い性能であることも重要です。
「Fairbuds XL」は、直径40mmのドライバーを搭載しており、Blutooth 5.1に準拠。コーデックはAAC、SBC及びaptX HDに対応しているほか、複数のデバイスと同時に接続可能なマルチポイント接続にも対応しています。さらに、アクティブノイズキャンセリング機能も搭載。本体に3.5mmジャックはないものの、本体のUSB Type-C端子に変換アダプタを接続することで、有線での音楽再生も可能となっています。
本体のバッテリー容量は800mAhであり、アクティブノイズキャンセリングON時にも最大26時間の連続再生が可能です。バッテリーは、500回の充放電を行っても80%の性能を維持するほか、何度も書きますが「バッテリーをユーザー自身で簡単に交換可能」です。
「Fairbuds XL」の本体重量は330gであり、防水防塵性能はIP54等級に準拠しています。本体は折り畳みが可能で、持ち運びの際にもかさばることはありません。筆者は「環境に配慮したヘッドホン」と聞くと、デザインがあまり良く無いという先入観を持ってしまいますが、デザインもかなりスタイリッシュ。環境に優しくて、ヘッドホンとしても完璧で、デザインも良いとは……。
「Fairbuds XL」は、ヨーロッパ市場向け公式ストアで既に販売を開始しています。本体カラーは、グリーン・ブラックの2色展開で、価格は249ユーロ(約3万7000円)。なお、交換用のモジュールは近日販売予定であり、各パーツの価格はわかっていません。
Fairphoneの環境やユーザーに対する意識は、充電器や有線イヤホンの同梱を「環境への配慮」を理由に止める、配慮の方向性が若干ずれている大手メーカーよりも格段に高く、非常に好感が持てます。Fairphoneは、日本への製品販売を行っていませんが、もし「Fairbuds XL」が国内展開されれば、かなり話題になりそうですね。