オランダのFairphoneは、同社が2015年12月に発売したスマートフォン「Fairphone 2」において、Android 10のアップデートを配信すると発表しました。
Fairphone 2は、2015年の発売当初はAndroid 5を搭載。それから約6年間ファームウェアアップデートの提供が継続され、今回Android 10もサポートするとのことです。
現在、同社のベータ版プログラムではすでに提供を開始。Appleのソフトウェアアップデート提供が、市場において右に出る者がいないほど長いのは既知の事実ですが、Android搭載スマートフォンにおける6年間ものサポートは、今までに前例のないものです。
なお、非公式の例としては2009年発売のHTC HD2に、2016年時点でAndroid 7.0を動作させたさせたとの報告はあります。
Fairphoneは、環境への影響が少ないスマートフォンを開発しており、部品はリサイクル素材で製造。また、2019年に発売された「Fairphone 3」では、米修理業社iFixitの評価で10点満点を獲得するなど、簡単に分解・修理できることから、「持続可能なスマートフォン」を製造していることで有名です。
今回Android 10のサポートが発表された「Fairphone 2」は、SoCにSnapdragon 801を搭載しています。Qualcommは、このSoCをAndroid 6までしかサポートしておらず、Fairphoneは長期サポートの実現のため、カスタムOS「Lineage OS」コミュニティーの支援を受け、ソフトウェアの開発を継続してきました。
Fairphoneの「持続可能なスマートフォン」は、ハードウェアはもちろんのこと、ソフトウェアも長く使えるよう設計・最適化されています。確かに、Android 12の配信が開始されている2021年に、2019年のAndroid 9をサポートするというのは遅く感じるかもしれません。それでも、大手他社はだいたい3年程度でサポートを放棄していることを鑑みると、6年間もの長期サポートを前に、配信の遅れを批判することはできません。
現在のAndroid市場では、サポート期間が長い例として、Galaxyブランドを抱えるサムスンが、同社の上位モデルに向けて4年間のセキュリティパッチを提供しています。それでも、Android自体のアップデートは3世代止まりであったり、日本国内ではアップデート間隔が海外と比較して異様に長かったり、と、ユーザーが満足できるものではありません。
古い製品をサポートし続けることは、製造している会社にとってはメリットはほぼありません。ただ、「長く使える」ことを求めているユーザーも少なくないことは確かです。このFairphoneの取り組みが、Android市場の大手他社にも刺激与えることを期待したいですね。