會原 
米下院は、中国の親会社ByteDanceが保有するTikTokの支配株式の売却を義務付ける法案を可決しました。BBCが「米下院、TikTokを全米で禁止する法案を可決」と報じています。
同法案が成立した場合、ByteDanceには6カ月以内に支配株式を売却するよう求められ、売却が完了しないとTikTokは米国で事実上利用できなくなります。
法案は超党派で圧倒的多数の賛成を得ましたが、法制化は上院通過と大統領署名が必要。ただしバイデン大統領は法案が自身の机上に上がれば即座に署名する構えです。
TikTokをめぐる米国の懸念は、同アプリがデータを中国政府に渡す恐れがあることにあります。中国企業には国家安全保障法があり、政府から要求されればデータを開示しなければならないためです。
一方のTikTokは、米国ユーザーのデータを中国側から遮断する対策を講じていると主張していますが、報道では未だ抜け穴があるとされています。実際に従業員が記者のデータを不正アクセスしたケースもあり、憂慮は拭えません。
法案の行方は不透明です。上院では与野党の賛否が分かれており、共和党の有力大統領候補だったトランプ元大統領も反対に転じています。中国政府は「TikTokが米国の国家安全保障を脅かすという証拠を一度も発見していないが弾圧し続けている」「公正競争で勝てないいじめ行為は、投資環境への投資家からの信頼を損ない、正常な国際貿易秩序を損なう」として米国の強権的な振る舞いに反発しています。
仮に売却が命じられても、巨額の買収資金を準備できる企業が見つかるか懸念されます。ただ、大手プラットフォーマーから関心が示されるとの見方を示す声もあります。続報に注視したいところです。
情報元BBC
