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スマホ新法、アップルとグーグルの手数料設計に批判

 公正取引委員会は2026年2月17日、スマートフォンソフトウェア競争促進法(スマホ法)に基づき、指定事業者であるアップル(Apple Inc.、iTunes株式会社)とグーグル(Google LLC)の3社が提出した遵守報告書を公表しました。

 2025年12月18日の全面施行後、初めての公表となります。公表した報告書の内容はあくまで各社の見解を示すもので、公取委の見解ではありません。公取委は今後、専用フォームを通じて取引実態や意見に関する情報提供を募り、違反の疑いがある申告も受け付けつつ、必要に応じて対応を検討していく構えだそうです。

 スマホ法は、指定事業者に対して代替アプリストアの提供妨害や、代替決済手段の利用制限などを禁じる趣旨の規律を置いています。アップルは同法への対応として手数料体系を組み替え、自社の決済処理(Appleアプリ内購入)を利用する場合の総手数料を最大26%に設定しました。

 内訳はApp Storeの手数料が最大21%、アップルの決済処理手数料が5%となっています。

 アプリ外のウェブサイトへ誘導する、いわゆる「リンクアウト」では、スモールビジネスプログラムなど一部の例外を除き、15%のストアサービス手数料を設定。対象はリンクがタップされてから7日以内の販売だといいます。このほか、App Store以外で配信されるiOSアプリに関しては、アプリ内の有料アプリやデジタル商品の販売などに対して、5%のコアテクノロジー手数料(CTC)を適用する仕組みも用意したとのことです。

 グーグルは従来のストア手数料体系を維持しつつ、日本ではゲームアプリでも「ユーザー選択型決済(UCB)」を利用できるようにしました。UCBでは第三者決済を選択した場合、標準のサービス手数料を4%分減額すると説明しています。また、外部リンクへ誘導する「外部決済プログラム」も導入しました。このプログラムでは、外部決済リンクから24時間以内に成立した取引に対して手数料が発生します。手数料率は取引内容によって異なり、自動更新サブスクリプションは10%、条件を満たす場合の年間総収益のうち最初の100万ドル(USD)までの取引も10%、その他のデジタルコンテンツ購入は20%だそうです。

 こうしたIT大手の対応に対し、アプリ開発企業などで構成するモバイル・コンテンツ・フォーラム(MCF)は2026年1月29日に意見を公表しました。

 MCFは、外部決済への誘導に10〜20%といった手数料が課される設計について、算定根拠が不明確だとして強く批判。米国では同様の誘導が実態として無償運用されている例があるとして、日本でも同等の条件を求めているといいます。

 手数料の対象となる期間についても議論が起きています。アップルはリンクをタップしてから7日以内、グーグルは24時間以内の取引を手数料の対象としています。MCFは、この仕組みがアプリ外での取引情報の報告や行動の把握を事実上求めるものになり得るとして問題視しました。両社がプライバシー保護を掲げながら、手数料徴収のために同様の設計を採るのは「ダブルスタンダード」だとしています。

 ゲーム会社にとっては、利益率と利便性の板挟みになる状況が続いています。アプリ内に外部リンクを置かなければ「リンクアウト手数料」を避けられますが、ユーザーが自らウェブストアを探す手間が増えるため、移行が進みにくいという課題があります。米エピック・ゲームズのティム・スウィーニーCEOは、アップルの新しい方針を「不当で妨害的」だとして批判。フォートナイトのiOS版について、少なくとも2025年内の日本復帰を見送る考えを示しました。公取委は引き続き申告を受け付けており、手数料の妥当性をめぐる議論は今後も続くとみられます。

項目 アップル(Apple) グーグル(Google)
標準手数料(最大) 最大26%(App Store 21%+Apple IAP決済5%)※条件により15%(10%+5%)も 最大30%(年100万ドルまで15%、超過分30%)※定期購入は15%
外部誘導の手数料 15%(一部10%) 10%または20%
手数料の対象期間 リンクタップから7日間 リンクから24時間
代替ストア等の費用 コアテクノロジー手数料(Core Technology Commission:5%) (Androidはサードパーティ製アプリストアのインストールが従来から可能)

 今回の対応で浮き彫りになったのは自由化の限界です。両社は法律上の義務には従いつつ、リンクアウト手数料やコアテクノロジー手数料といった新たな課金項目で収益構造を維持しに来ています。米国では同様の外部誘導が実質無償で運用されている例がある中、日本では15〜20%が課されます。

 法的には外部決済もサイドローディングも解禁されましたが、手数料と実装コストの壁が高すぎて実際の移行は進みにくい状況。Epic Gamesがフォートナイトの日本iOS復帰を見送った事実はその象徴で、それは中小デベロッパーならなおさらです。公取委が今後寄せられる情報提供をもとに、どこまで踏み込んで問えるかが焦点となりそうです。

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