公正取引委員会は2025年3月31日、「スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律」に基づき、特定ソフトウェア事業者としてApple Inc.、iTunes株式会社、Google LLCの3社を指定したと発表しました。
この法律は、スマートフォンの利用に特に必要なソフトウェア(モバイルOS、アプリストア、ブラウザ、検索エンジン)を提供する事業者のうち、一定規模以上の事業者に対して規制を課すものです。
指定された特定ソフトウェア事業者は、Apple Inc.が基本動作ソフトウェア(モバイルOS)、アプリストア、ブラウザの3分野で、iTunes株式会社がアプリストアで、Googleが基本動作ソフトウェア、アプリストア、ブラウザ、検索エンジンの4分野で指定を受けています。
指定された事業者には、法律に基づき一定の行為の禁止(禁止事項)および一定の措置を講ずる義務(遵守事項)が課せられます。また、法律の規定を遵守するために講じた措置に関する事項などを記載した報告書を毎年度提出することが義務付けられるそうです。
iOSアプリ開発者はApp Storeでの配布が事実上唯一の選択肢であり、30%の手数料を支払わなければなりません。Androidも同様の状況です。
新法により、AppleとGoogleは代替アプリストアの許可や、アプリ内での独自決済システムの使用を認めれば、開発者は手数料の負担を軽減でき、より柔軟なビジネスモデルを構築できるかもしれません。また、アプリ審査プロセスの透明性が高まり、恣意的な審査や拒否が減少することも期待されています。
特にiOSデバイスでは、ブラウザエンジンの選択肢が広がり、検索エンジンもより自由に選べるようになる可能性があります。現在はSafariのレンダリングエンジンが事実上強制されていますが、これが変わる可能性もありそうです。
法律の全面施行は2025年12月18日までの政令で定める日からとされており、AppleとGoogleがどのように対応するか、また実際に市場がどう変化するかは、今後徐々に明らかになっていくでしょう。今後の展開を見守りたいところです。