
Deveillanceが、周囲のマイクによる録音を妨害するとうたう小型デバイス「Spectre I」の予約受付を開始しました。公式サイトによると、予約金は返金可能な1199ドル。出荷は2026年後半を予定しており、FAQでは2026年8月ごろが目安だそうです。Android Authorityが伝えています。
Spectre Iは、持ち運びできる音声セキュリティデバイスとして開発が進んでいる製品です。公式サイトの説明では、周囲約2mの保護ゾーンを作り、人には聞こえない信号によって、範囲内のマイクが判読可能な音声を拾えなくするとのこと。
WIREDによると、超音波発信器とAIを組み合わせた仕組みで、開発者のBaradari氏はAI生成のキャンセル信号で自動音声認識(ASR)もかく乱する狙いがあるのだとか。近くのマイクを検知してログ化し、その情報をユーザーに提供する機能もうたっています。処理はデバイス上で完結し、クラウドには送らないそうです。
「キャンセル信号」とは、相手の音を打ち消すための「逆の音」を出す技術のことです。ノイズキャンセリングイヤホンが周囲の騒音と逆位相の音を出して静かにするのと考え方は近く、Spectre Iの場合はこれをマイク妨害に応用しようとしています。ただし、イヤホンのように耳元の狭い空間ではなく、周囲2mという広い範囲でどこまで機能するかは未知数です。
もっとも、専門家の見方はかなり慎重です。Citizen LabのJohn Scott-Railton氏は「本当なら並外れた主張であり、同等に並外れた証拠が必要だ」と指摘。既存の超音波式マイクジャマーは以前から存在し、Alibabaなどで類似製品が販売されているほか、DIYなら50ドル程度の部品で自作できる例もあるといいます。シカゴ大学の言語学者Melissa Baese-Berk氏は、人間の声に対応する万能な単一の「音声信号」があるわけではないと疑問を呈しています。WIREDによれば、現行プロトタイプには可聴のハム音も残っているそうです。
法的な扱いも慎重に見ておく必要がありそうです。FCCは、認可された無線通信を妨害するジャミング機器の運用・販売・販売促進を禁じています。一方、Deveillance公式サイトは、Spectre Iの利用可能性や許容される使い方は法域によって異なると案内しています。WIREDは超音波が人の耳やペットに与える影響に十分な研究がないとも伝えており、同誌が有効性の裏付けを求めた際に提示されたのは短い動画だけで、十分な証明にはなっていないと評しています。
予約を検討するなら、メーカーの主張と第三者検証のあいだにまだ距離がある点は押さえておきたいところです。



















