
ドライバーで電池交換できる潔さ。
ドイツ発の独立系メーカーVolla Systeme GmbH(ヴォラ・シュステーメ)が、新型スマートフォン「Volla Phone Plinius」の通常版の出荷開始を案内しました。脱Google環境で動く独自OSと、一般的なドライバーで取り外せる5300mAhバッテリーを売りにしたミッドレンジ機です。価格は598ユーロから。公式ストアでは通常版の出荷を2026年4月に開始すると案内しており、Liliputingもエントリーモデルはすでに出荷中だと伝えています。
ボディはIP68防水防塵対応で、濡れた手や手袋にも反応する10点タッチ仕様。寸法は高さ163mm、幅76mm、厚み10.5mm、重量230gと決して軽くはありませんが、これは「分解前提で組まれているから」と考えればむしろ納得です。本体はドイツで製造され、自社ファームウェア提供で長期セキュリティアップデートを継続するとしています。
購入時にはOSを選択可能。脱Googleを徹底したAndroidベースの「Volla OS」と、Linux系の「Ubuntu Touch」のどちらかが選べます。さらにマルチブート機能にも対応予定です。ただし、公式ブログでは2026年4月28日時点でVolla OS側のマルチブート機能は開発中で、近日中にシステムアップデートで提供すると説明。Volla OSを起点にUbuntu Touchなどを追加して使い分ける感じになりそうです。自分の手で中身までいじれる端末を欲しがる層に向けた一台なのかもですね。
平たく言えば、Volla OSはAndroid Open Source Project(AOSP)をベースに、Googleアプリ、Google Play Services、Google Cloudを抜いて再構成したOS。Google Play Servicesを必要とするアプリ向けには、オプションでmicroGを有効化できるといいます。一方、Ubuntu Touchはデスクトップ用LinuxであるUbuntuのモバイル派生。どちらもオープンソース愛好家やプライバシー重視層には馴染み深い存在ですが、一般層にはまだまだマイナーな選択肢です。
最大の特徴は、やはりドライバー一本で電池交換できる設計です。最近のスマートフォンは接着剤で強く固定され、バッテリー交換にも加熱や専用工具が必要になる例が少なくありませんが、Pliniusは一般的なドライバーでねじを外し、ユーザー自身がバッテリーへアクセスできる構造を採用しています。しかも単に分解しやすいだけでなく、IP68の防水防塵にも対応している点がユニーク。長く使うことを前提に、修理しやすさと日常利用の安心感を両立させた設計といえます。
ハードウェア面に目を向けると、画面は6.67型FHD+ OLEDで最大120Hz、ピーク輝度1000nits。SoCはMediaTek Dimensity 7300(4nm、8コア、最大2.5GHz)で、Vollaの5G対応ラインアップに加わる形となります。5G n77/n78などの主要バンドをカバーし、Wi-Fi 6e、Bluetooth 5.4、NFCも装備。リアカメラは6400万画素広角F1.79+800万画素超広角+200万画素マクロのトリプル構成、フロントは3200万画素です。
ソフトウェア面では、Volla AIを活用したオンデバイス処理も特徴です。公式は、音声認識、音声合成、顔認識に続き、PliniusでAIによる写真最適化を導入すると説明しています。写真強化AIや改善された音声認識・音声合成は完成間近で、システムアップデートにより提供予定とされています。こうしたAI支援は端末内で実行され、データを外部のデータセンターに出さないと強調されています。クラウドAI全盛のいま、あえて端末内で完結させる思想。
ラインアップに目を移すと、上位版のPlinius Plusは12GB実行メモリ/256GB内蔵ストレージで価格698ユーロ。公式製品ページでは2026年6月提供予定、公式ブログでは6月初旬に生産し、予約分は6月中旬から出荷可能になる見込みと説明されています。背面にPogo PIN(外部アクセサリ用の電気接点)を備え、将来の拡張アクセサリに対応します。なお、通常版は8GB実行メモリ/128GB内蔵ストレージで、microSDで最大1TBまで増設可能です。
一方で、懸念点はやはりGoogle系サービスの不在。Volla OSではmicroGを使えるようですが、Google Play Integrity APIは、Google Playでインストールされた正規アプリがGoogle認定の正規Androidデバイス上で動いているかなどを確認する仕組み。これに強く依存する銀行アプリや一部の政府系アプリなどでは、動かない可能性は残ります。
なお、公式ストアの配送先はEU、EFTA諸国、英国が中心で、欧州外についてはIndiegogo経由での支援や問い合わせを案内しています。
| Volla Phone Plinius | Volla Phone Plinius Plus | |
|---|---|---|
| OS | Volla OS(AOSPベース、Googleアプリ/Google Play Services/Google Cloud非搭載)またはUbuntu Touch | |
| マルチブート | Volla OS側のBoot Managerで2つめ以降のOSを追加可能。2026年4月28日時点では開発中で、システムアップデートにより提供予定 | |
| SoC | MediaTek Dimensity 7300(4nm、8コア、最大2.5GHz、NPU搭載) | |
| 実行メモリ | 8GB | 12GB |
| 内蔵ストレージ | 128GB | 256GB |
| 外部ストレージ | microSD最大1TB | |
| 画面 | 6.67型 FHD+ OLED、1080×2400、394ppi、60/90/120Hz、550nits(通常)/800nits(HBM)/1000nits(ピーク) | |
| タッチ操作 | 10点タッチ、濡れた手・手袋での操作に対応 | |
| リアカメラ | 6400万画素広角F1.79 + 800万画素超広角F2.2 + 200万画素マクロF2.4 | |
| フロントカメラ | 3200万画素 | |
| AI機能 | オンデバイスAI、音声認識、音声合成、顔認識。AI写真最適化や改善された音声認識・音声合成はシステムアップデートにより提供予定 | |
| 電池 | 5300mAh、ユーザー交換可能、30W PD3.0、15Wワイヤレス(Qi) | |
| ネットワーク | 5G n1/n3/n5/n7/n8/n20/n26/n28/n38/n40/n41/n77/n78 | |
| 4G LTE | B1/B2/B3/B5/B7/B8/B9/B18/B19/B20/B28/B34/B38/B40/B41/B42/B43 | |
| 通信 | Wi-Fi 6e(IEEE 802.11 a/b/g/n/ac/ax)、Bluetooth 5.4、NFC、GNSS | |
| USB | USB-C、USB 2.0、USB-OTG | |
| SIM | nanoSIM × 1 + eSIM × 1(eSIMは複数プロファイル登録、同時有効は1プロファイル) | |
| 寸法/重量 | 163 × 76 × 10.5 mm / 230g | 163 × 76 × 10.5 mm / 230g(背面にPogo PIN搭載) |
| 防水防塵 | IP68 | |
| 製造 | ドイツ | |
| カラー | ブラック | |
| 価格 | 598ユーロ | 698ユーロ |
| 発売/出荷 | 2026年4月出荷開始 | 2026年6月予定。予約分は6月中旬から出荷可能になる見込み |

























