「中国時報」などの中華圏のメディアは、台湾の検察当局が、台湾HTC社の幹部らを拘束したと報じました。そこには同社の副社長兼チーフデザイナーの簡志霖氏も含まれているとのこと。
幹部らの容疑としては、新会社を通じ、共謀して中国企業に最新技術を売却していた「産業スパイ」です。HTC社の訴えにより当局が動いたとのこと。
流出していたのは、HTC社は直接の明言を避けたものの、開発中の未発表機種「HTC One MAX」に関する技術、特に「Sense UI 6.0」と呼ばれるソフトウェアのユーザーインターフェイスに関するものと報じられています。Senseは同社の開発してきた独自UIであり、現行モデルには「Sense UI 5.0」が搭載されています。「HTC One MAX」だけでなく、それ以降の未発表機種にも関わってくる問題と思われます。
今回拘束された幹部というのは、副社長兼チーフデザイナーの簡志霖氏に加え、R&Dディレクター吳建宏氏、HTC Oneなどのデザインを担ってきた黃弘毅氏という、HTC社に欠かせない重要な人材ばかり。
この他にも、彼らは社内でHTC Oneのアルミシャーシ設計を行っていたにもかかわらず、外部の会社にデザインを委託したかのように偽装し、3000万円以上を社に請求するといった不当な行為も働いていたとのこと。
本件についてHTCは、関係当局の捜査中のため、コメントを差し控えるとしています。
HTCは、PDAの時代からモバイル端末を製造する老舗の台湾メーカーです。現行のフラッグシップであるHTC Oneの生産にあたって、幹部の事前の進言にピーター・チョウ社長が適切に対応できず、フラッグシップが深刻な供給不足に陥るといった痛恨のミスが起き、HTC AsiaのCEOや小寺康司氏など、多数の上級幹部の離職が伝えられていました。
HTCの苦境に追い打ちをかけるかのような、今回の現幹部による不祥事。同社の先行きが非常に心配になります。
情報元:中国時報 経由:engadget.com