海外メディアVarietyは独自の情報として、ハリウッドで制作の準備が進められている実写版「GHOST IN THE SHELL(攻殻機動隊)」について、交渉中であったScarlett Johanssonが出演に合意したと報じました。彼女は10歳にして初の映画出演を果たし、2003年のゴールデングローブ賞では2つの作品で別個の部門の主演女優賞にノミネートされるなど、演劇の才覚に溢れた女優です。
制作スタッフとして伝えられているのは、監督は「HALO3」「PS3」のCMや映画「スノーホワイト」で知られるRupert Sanders、プロデューサーはAvi AradとSteven Paulとされています。
「攻殻機動隊」は士郎正宗のSFコミック。「電脳化(サイボーグ化・脳とインターネットの接続)」の普及した近未来の世界で、公安9課に所属する主人公・草薙素子がハイテク・凶悪犯罪と戦う物語となっており、1989年の作品ながらも先見性に満ちた世界観が構築されています。これを原作として1995年に公開された押井守監督の劇場版「GHOST IN THE SHELL」は、政府機関側の主人公、人間と機械の差異、ディストピアSFといったモチーフに「ブレードランナー」との共通性を見出し、ひとつの新しい作品へと昇華し、北米でヒットするなど高い評価を得ています。(リドリー・スコットの『ブレードランナー』は香港を撮影の場に選び、『東京化』したニューヨークの都市を描いて見せました。香港をモデルに近未来都市を描いた『GHOST IN THE SHELL』は、都市論を語らせたら一級の押井守からの見事な返歌と言えます。リドリー・スコットは『ブラックレイン』で大阪らしからぬ妖しい大阪を撮っており、両者の監督の作家性には共通項があります)
映画の実写化権は米Dream Worksが握っていたものの、これまで制作の進捗はあまり伝えられてきませんでしたが、ここにきて主演が決定したことで、制作にはずみが付くかもしれませんね。これまで粘り強く実写化のプロジェクトが進められてきたのは、Dream Worksのスティーブン・スピルバーグが攻殻機動隊を高く評価しているからと伝えられています。
日本のアニメファンにも馴染み深い作品ですが、どんな作品になるのか、Scarlett Johanssonがどのように草薙素子を演じるのか、興味は尽きないところです。特に原作の草薙素子は快楽的な、はつらつとした性格ですが、劇場版や神山健治監督のアニメ版では性格が異なっており、このあたりの描かれ方にも注目したいところです。