出張で韓国・ソウルに行く機会があったので、韓国滞在中にスマートフォンを使う方法や注意点について簡単にまとめておきます。
海外でスマートフォンを使うには、主に2つの方法があります。1つは、日本で契約している携帯電話キャリアの国際ローミングサービスを使う方法、もう1つは、SIMフリー端末を持参して現地でプリペイドSIMを調達する方法です。
両者は、利用の難易度と料金がトレードオフの関係にあり、国際ローミングは、手続きが簡単で気軽に利用できるものの、利用料金が高い傾向があり、現地SIMは、SIMカードの調達に一定の語学力が必要となるものの、利用料金が安い傾向があります。滞在日数や現地の物価、入手可能なプリペイドSIMの通信容量に依りますが、3日以上の滞在であれば、調達のコストを考えても現地SIMの方がお得だと思います。
韓国のモバイル事情
韓国のモバイル事情は日本とよく似ており、通信キャリアと2年契約を結んだり、大容量のパケット定額サービスに加入することで、高性能なスマートフォンを安く入手できる仕組みになっています。しかしながら、外国人のポストペイ契約には外国人登録証が必要であり、旅行者には契約できません。
一方、プリペイド契約は比較的規制が緩やかで、一部制約はありますが旅行者でも契約できます。制約というのは入国からの経過日数で、原則として入国4日目以降でないと契約できません。例外的に、音声通話ができないデータ専用SIMカードは入国後すぐに空港やコンビニで入手して使えますが、市内のコンビニは取り扱い店舗自体が少なく、在庫切れの店舗もあるため、空港でSIMカードを調達しておくことをオススメします。
ちなみに、このあたりの情報は、新村(Sinchon)にある「JKモバイル」の店主さんから聞いた話です。「JKモバイル」では日本語で親切丁寧に接客してもらえるので、語学力に不安がある方でも安心して利用できます。
「JKモバイル」では、回線契約とは別に、中古のSIMフリースマホも取り扱っており、Galaxy Note4、LG G3、Galaxy S4 miniなど、日本では手に入らない機種もありました。Galaxy S4 miniは16万ウォン(約17600円)と手頃な価格でしたが、傷が気になったので購入は見送りました。
スピードテスト
今回は、docomoの海外ローミング先であるSKTelecomのネットワークで、スピードテストを行いました。計測機種はXperia Z3 compact SO-02Gです。計測中に下りリンクがどんどん加速していく現象が興味深かったです。何か制御をしているのでしょうか。
計測場所 | ping | 下り | 上り | 備考 |
ロッテホテルソウル(23階 客室) | 293ms | 6.33Mbps | 1.37Mbps | 3G |
ロッテホテルソウル(23階 客室) | 283ms | 4.00Mbps | 2.14Mbps | 3G |
ロッテホテルソウル(23階 客室) | 208ms | 18.16Mbps | 5.28Mbps | LTE |
ロッテホテルソウル(23階 客室) | 207ms | 16.74Mbps | 5.67Mbps | LTE |
金浦国際空港 37番ゲート前 | 195ms | 8.46Mbps | 6.91Mbps | 不明 |
docomoの海外ローミング「WORLD WING」
docomoの場合、海外ローミング中のパケット定額サービスとして「海外パケ・ホーダイ」と「海外1dayパケ」の2つのサービスを提供しています。「海外1dayパケ」は事前契約が必要であり、契約中は「海外パケ・ホーダイ」を利用できないため、渡航前にどちらを利用するか決心しておく必要があります。いずれのサービスも、事前に「ドコモ海外利用」アプリをインストール(無効化を解除)しておくとスムーズに利用できます。
「海外パケ・ホーダイ」
「海外パケ・ホーダイ」は0円スタートの3段階パケット定額料金で、利用しない日は0円、24.4MB以内の利用であれば1980円、それ以降は2980円で定額となります。LTEが利用可能な地域では1日100MBまでLTE通信が可能で、それ以降は3G通信が使い放題となります。
ただし、日本時間を基準として利用日数がカウントされるため、時差の大きい地域では、丸2日の利用でも3日分の定額料が発生することになります。
国内でパケット定額サービスを利用しているユーザであれば、事前の申し込みなしで利用可能です。
「海外1dayパケ」
「海外1dayパケ」は、日本時間に関係なく利用開始操作から24時間単位で、安価にパケット通信を利用できるサービスです。利用料金は、国・地域によって異なり、980円・1280円・1580円の3パターンがあります。
ただし、1日30MBの通信容量を使い切ると16kbpsの極めて厳しい速度制限が掛かります。その場合は、再度、利用開始操作を行うことで、その時点から24時間・30MBの高速通信が可能となります。このように「パケット定額」というよりは「容量チャージ式の従量課金」に近いサービスになっています。
「海外パケ・ホーダイ」とは異なり、渡航前に事前の申し込みが必要となります。
海外パケ・ホーダイ」の利用方法
今回、実際に利用してみて軽く驚いたのですが、とても丁寧に作り込まれています。一応、スクリーンショットを交えて手順を紹介しておきますが、「ドコモ海外利用」アプリさえあれば迷うことなく利用できると思います。
空港に着いて端末の電源を入れたら、まずは「ドコモ海外利用」アプリを起動します(左)。画面の指示に従って、ネットワーク探索を行い「検索モード:自動」を選択します(中央)。ちなみに、筆者のXperia Z3 compactでは、SKTelecomを手動で選択する必要がありました。次に「ドコモ海外利用」アプリに戻ると、データローミング設定をONにするよう促されます(右)。
データローミング設定を有効にすると(左)、パケット通信を利用可能になります。「海外パケ・ホーダイ」対象のネットワークに接続中は、通知バーにその旨が表示され(中央)、自動的に案内のSMSが届きます(右)。このSMSの受信料は無料です。
ちなみに、帰国時にはこんな表示が出ます。親切ですね。