弊誌はアフィリエイト広告を利用しています。

家電量販店販売データから読む。国内デジタルカメラ販売動向

digicame-ranking

 家電量販店の実売データを集計、日本の店頭市場の約4割をカバーするBCNより頂いた10月のデータを元に、国内のコンパクトデジタルカメラ、レンズ交換式カメラ、ミラーレス一眼の販売動向を見ていきます。

メーカー別シェア

 まずは、メーカー別シェアから。東西横綱のキヤノンとニコンが1位・2位というのは当然として、ケチをつけるわけではありませんが、ローエンド・コンデジが中心のカシオが第3位というのが気になります。

販売台数   販売台数
順位 メーカー名 シェア(%)
1 キヤノン 31.8
2 ニコン 27.5
3 カシオ 12.6
4 ソニー 10.4
5 オリンパス 4.9
6 リコーイメージング 4.5
7 富士フイルム 3.7
その他 4.8

 ミラーレス一眼でも強いソニー・オリンパスが後に続き、根強いファンの多いペンタックスを擁するリコーと、これもミラーレス一眼メーカーとして独自の地位を築いている富士フイルムが後ろに控える、という順位は納得できますね。

コンパクトデジカメ 機種別シェア

 続いて、コンパクトデジタルカメラ機種のシェアトップ10。販売価格が1万円前後のローエンドモデルが並び、所謂「高級コンデジ」は見当たりません。

販売台数       販売台数
順位 メーカー名 シリーズ名 重量(g) シェア(%)
1 ニコン COOLPIX A100 119 7.1
2 キヤノン IXY 200 126 6.8
3 ニコン COOLPIX A300 119 5.2
4 カシオ EXILIM EX-ZS240 179 4.8
5 キヤノン IXY 650 147 4.8
6 キヤノン PowerShot SX720 HS 270 4.4
7 カシオ EXILIM EX-ZS29 133 4.1
8 カシオ EXILIM EX-ZR1800 242 3.7
9 ニコン COOLPIX A10 160 3.6
10 ソニー Cyber-shot WX350 164 3.6

 この中で、単価が高いものはせいぜいキヤノン「PowerShot SX720 HS」(3万円前後)やソニー「Cyber-shot WX350」(3万円弱)といった、光学ズームをセールスポイントとした、ミドルクラスモデル。

 スマホカメラの性能が向上した昨今、コンデジの存在意義が疑われており、先日もニコンの中国工場が閉鎖に追い込まれましたが、上位を占めているのはスマホに対する優位点に疑問符が付くようなモデルばかり。

 この表では重量が記載されていることから、軽量性を重視されるポイントとして取り扱っていると思われますが、「スマホカメラでいいだろ」と言いたくなってしまいます。

 街や観光地を歩いていて、ここらへんのローエンドモデルを使用している人はほとんど見かけませんが、それでも台数ベースだと、これだけのシェアを占めてしまっているということは、スマホに対して画質で優位点のある高級コンデジは、本当に売れていないのだなと、暗澹たる思いにかられます。「コンデジ」というモノ自体、生き残りが厳しいかも知れませんね。

レンズ交換式カメラ 機種別シェア 

 続いて、レンズ交換式カメラの機種別シェアです。第1位は、定番メーカー・キヤノンの定番モデル「EOS Kiss」で、価格が安くなっている型落ち品。消費者は極めて常識的な選択をとっているんですね。第2位がニコンではなくソニーのミドルクラス、「α6000」が出てきたのには、「ほう」と声が出ました。

 第3位にニコン「D5600」が入り、そのあとにキヤノンが怒涛の如く並び、ミラーレス一眼の「EOS M10」の後でようやくニコン「D5500」が出てきます。こういうことを言うと怒られそうですが、一眼レフの定番の座は、キヤノンがニコンを圧倒してしまったと見るべきでしょう。

販売台数       販売台数
順位 メーカー名 シリーズ名 タッチパネル対応 シェア(%)
1 キヤノン EOS Kiss X8i 7.0
2 ソニー α6000 5.7
3 ニコン D5600 5.3
4 キヤノン EOS Kiss X9 5.2
5 キヤノン EOS 80D 4.5
6 キヤノン EOS Kiss X9i 4.4
7 キヤノン EOS M10 4.3
8 ニコン D5500 4.3
9 オリンパス OLYMPUS PEN E-PL8 4.2
10 キヤノン EOS M100 4.1

ミラーレス一眼カメラ 機種別シェア 

 最後に、ミラーレス一眼。第1位はレンズ交換式カメラでも2位に輝いたソニー「α6000」として、キヤノン「EOS M10」がオリンパス「OLYMPUS PEN E-PL8」を上回りました。4位にもキヤノン「EOS M100」が食い込み、オリンパス「OLYMPUS OM-D E-M10 Mark II」が5位につけています。

販売台数       販売台数
順位 メーカー名 シリーズ名 タッチパネル対応 シェア(%)
1 ソニー α6000 12.3
2 キヤノン EOS M10 9.4
3 オリンパス OLYMPUS PEN E-PL8 9.0
4 キヤノン EOS M100 8.9
5 オリンパス OLYMPUS OM-D E-M10 Mark II 8.2
6 ニコン Nikon 1 J5 7.9
7 パナソニック LUMIX GF9 4.5
8 ソニー α5100 4.5
9 パナソニック LUMIX GF7 3.6
10 キヤノン EOS M6 3.4

 さらに、1インチセンサーのニコン「Nikon 1 J5」がパナソニック「LUMIX GF9」を大きく引き離して、6位となっています。

 キヤノンとニコンはミラーレス一眼にあまり力を入れていないとの定評がありますが、それでもこれだけの台数シェアを獲得するとは、さすがのブランド力です。

 「一眼レフ・ユーザー層」に対する「ミラーレス一眼・ユーザー層」は、あまり大きくないのかも知れません。富士フイルムがトップ10に入らなかったのは少し意外ですが、ハイエンドモデルが中心のメーカーなため、台数ベースだと存在感が薄いのでしょうか。

総評

 スマホカメラの進歩が著しく、とくに写真加工の機能面で「カメラ」が対抗するのは難しい中で、センサーサイズがスマホと大して変わらないローエンドモデルが台数シェアの上位を占めている現状は、憂慮すべきところでしょう。あなたの周りに、1万円程度のコンデジで写真を撮っている人はいますか?私は警察官などの役人くらいしか目にしません。早晩市場が消滅するでしょう。

 レンズ交換式カメラではキヤノン一強が目立ち、名門・ニコンに元気がないのが気にかかります。

 ミラーレス一眼のシェアでは、レンズ展開で力を入れているオリンパス・パナソニックと富士フイルムがキヤノン・ニコンに対して劣勢なのを見るに、「ミラーレス一眼」が「一眼レフ」に対して独自の需要層を確立できていないのではないかと思われます。

 これらを踏まえて5年後のカメラ業界を考えると、ちょっと暗い気持ちになってしまいます。

情報元BCN

販売ランキング」についての他の記事

スマホ国内市場シェア。1位はApple、2位はシャープ、3位はFCNT、4位はサムスン、5位はソニー

2023-03-10 06:21:16會原

AppleIDC JapanSHARP

調査会社IDC Japanは、国内携帯市場の2022年通年の出荷台数を発表しました。前年比8.1%減の3430万台に。世界的なインフレや中国のゼロコロナ政策によるサプライチェーンの混乱、急激な円安による資材価格の高騰が見られた非常に不安定な年であったことを鑑みれば、十分に高水準で推移したとしていますベンダー別シェアの上位5社は、アップルが1660万台、2位は380万台のシャープ、3位は350万台の...

10~20代女性の4割以上「小型スマホ」望む

2020-02-21 19:10:00會原

MMD研究所小型機

ユーザー動向調査に強みを持つMMD研究所は、「2020年2月スマートフォン端末に関する意識調査」の結果を発表しました。調査対象はスマートフォンを利用する18歳~69歳の男女、有効回答2086人。スマートフォンの購入で価格以外の重要な項目は「バッテリー持ち」「メーカー」「画面のサイズ」といった結果に。年代が上がると「画面のサイズ」が重要項目となり、60代では52.5%と最も多く。スマホのサイズとして...

Xperia大赤字、販売台数見通しも大幅減。

2018-10-30 23:07:51すまほん編集部

SonySony MobileXperia決算

実に好調なソニーグループ。しかしモバイル部門が不調となっています。半年前、ソニーは2018年3月期連結決算において、2018年度の見込みを公表。モバイルコミュニケーション分野、つまりXperiaを擁するSony Mobileについて、2018年度は端末台数は1000万台、営業利益はマイナス150億円になると、この時点では見込んでいました。3ヶ月前に発表された第1四半期の業績発表では、ただひとつの部...

2017年、国内スマホ販売数上位をiPhoneが独占。第3位はiPhone SE

2017-12-25 23:31:59すまほん編集部

iPhone

スマートフォン国内販売台数ランキング2017年も間もなく終わろうとしています。さて、2017年のスマートフォンの販売動向はどうだったのか?家電量販店の実売データを集計し、店頭市場の約4割を把握しているBCNのデータを元に、国内販売シェアを見ていきましょう。2017年の機種別販売シェアランキングトップ202017年の販売台数のトップ20。1位から5位をiPhoneの2016~2017年販売モデルが占...

家電量販店販売データから読む。国内スマートフォン販売動向

2017-11-16 19:03:14すまほん編集部

BCNiPhone XXperia XZ1スマートフォン日本市場

スマートフォン国内販売台数ランキングいよいよ登場した新型iPhone。世間の話題をかっさらっていますが、はてさて、国内の販売動向はどうなっているのか?家電量販店の実売データを集計、日本の店頭市場の約4割をカバーするBCNより頂いたデータを元に、国内のスマートフォン販売動向を見ていきます。メーカー別:2017年10月の販売台数シェアランキングトップ1010月のメーカーシェアトップ10。王者Apple...

iPhone8、販売現場の感触は?

2017-10-03 21:01:50あやさん

iPhone 8iPhone 8 Plus取材記事

iPhone8/8 Plus発売から1週間、売場での反響について、東京都千代田区の家電量販店内にある、キャリアショップで訊いてきました。量販店内のスマホショップは、平日だとあまりお客さんがいないことが多いのですが、さすがにiPhone新型発売直後とあって、カウンターはすべて塞がり、端末を吟味するお客さんも多く見られました。なかには、通路沿いに展示されているiPhone8を見ているお客さんに他キャリ...

サムスン、国内市場シェア3位に躍進。Galaxy S8よりもGalaxy Feelに注目

2017-08-09 16:10:11すまほん編集部

Galaxy FeelGalaxy S8SC-04J

市場調査会社Strategy Analyticsは、4~6月期における日本国内のスマートフォン市場のシェアを発表しました。それによると、3位がシェア8.8%でSamsungだったとのこと。Samsungの前年同期は3.8%と低いシェアであったことから、大きく伸ばしたことになります。日本国内で2013年には10%以上のシェアでしたが、近年不調でしたので、4~6月期はここ4年で最も売れた形となります。...

すまほん!!を購読しませんか?

Twitterでも最新更新を配信・通知しています

𝕏 フォローする 再度表示しない