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監視社会中国。ひき逃げ事件を約96%解決する広州交通警察

ひき逃げ事件をサクサク解決する中国の事例

 ドライブレコーダーもかなり普及してきたとはいえ、ひき逃げ事件は後を絶ちません。日本では、平成27年に警察庁が公表した犯罪白書によれば、死亡事件の検挙率は102.7%と、ほぼ確実に検挙されているものの、ひき逃げ全体の検挙率は52.2%に止まっています。

 一方、「やりすぎ」監視カメラ網が最近よく知られるようになった中国では、2017年、広州市の「ひき逃げ」事件の検挙人数が前年比49%増加、検挙率は95.85%となり、逃亡人数も26%減で統計を取り始めてから最少を記録したとのことです。大洋網が伝えました。

監視カメラネットワークを活用する広州交通警察

Guangdong police

 広州交通警察捜査大隊の関係責任者によれば、2017年に全市のひき逃げ事件は2016年から19.9%減少しました。また、広州交通警察は未解決事件の捜査にも成功、2013年12月31日以前の逃亡者10名を検挙、長期にわたって逃亡している犯罪容疑者に極めて大きな打撃を与えたといいます。

 広州交通警察によれば、交通警察部門は逃亡中の容疑者検挙にかねてから注力し、全国警察機関はインターネット上で逃亡者に対し、24時間全天候の追跡を実施しているとのことです。

 交通警察部門は逃亡中の犯罪容疑者に対し、「速やかに警察機関に出頭し、寛大な処置を勝ち取るよう。さもなくば、全力を以て検挙する」と呼びかけています。

 確かに、これは逃げるだけムダというものですね。具体的なケースを紹介します。

息子が身代わりに出頭した事件

 今年1月21日深夜2時ごろ、機場路・雲城西路の高架橋で、トラックが通行人をはねる人身事故が発生。広州交通警察白雲第2大隊の人民警察が現場に到着した時点で、事故車両は逃亡し、はねられた通行人は既に死亡していた。人民警察は監視カメラの映像から加害車両を特定。電話で車両の所有者に捜査協力を促そうとしたものの、誰も電話に出なかった。

 翌朝、担当人民警察は、一人の運転手が広州交通警察越秀大隊に出頭したとの報告を受けた。出頭したのは楊という20代前半の男性だったが、警察側の証拠によれば、運転手は3~40代の中年男性のはずだった。

 取調のなかで、楊はあくまでも「自分が運転手である、道路状況に詳しくなかったため、事故を起こした」と主張したが、警察側が犯行車両の運転記録を調べたところ、事故を起こした運転手は、その道をよく知っていることが明らかとなった。

 大量の証拠を突きつけられた楊は、圧力に耐えられず、「事件発生時、車に乗っていなかった。事件後、父親が帰宅するとすぐに母親と相談し、自分が身代わりになるよう説得された」と供述した。

 真犯人である父は容疑を認め、父はひき逃げ、息子は犯人隠匿の容疑でそれぞれ立件され、手続きが進められている。

 日本では車番認証システムは裁判証拠として使用できないため、「わかっていても使えない」という残念なことがままありますが、中国ではあちこちにある監視カメラ網の映像データをすべて使用可能なため、とても捗りますね。

 身代わりの息子が出頭したのは翌朝、ということは、警察から犯人に電話がかけられたのは、午前2時から朝までの間ということになります。実に仕事が速いですね、まさに秒殺です。「もうバレたの?!」と驚いたことでしょう。

 次は、「犯行車両の車番が不明」の案件をご紹介します。

ナンバープレートがついていない場合

 今年1月1日午前2時54分、広州市越秀区東湖路・大沙頭路の交差点で、Landrover(英国の自動車メーカー)とタクシーの衝突事故が発生、Landroverは新車であり、ナンバープレートは臨時プレートで車番は不明、事故発生後、Landroverは逃亡した。

 記者が監視カメラの映像を確認したところ、当時、タクシーの運転手は車を降りて抗議し、Landroverから2名の女性が降りてきた。その後、2名の女性は車に戻り、Landroverは逆走して逃亡。タクシーの運転手はLandroverに50m引きずられた後に地面に落ち、車に乗りあげられ、警察側によると複数個所の骨折を負った。

 逃亡車両は車番未登録の新車だったため、事件解決にはやや難があったが、人民警察は監視カメラ映像を調査、目撃者を尋ね歩くとともに、自動車販売店から関係資料を取得し、ひき逃げ犯行車両と運転手を特定するに到った。警察側の強い「心理攻勢」により、ひき逃げ容疑者は1月3日に検挙された。

 「臨時プレートだと、警察は見つけられないと思ったようだ」とのこと。人民警察によれば、運転手は故意傷害罪で所轄の公安分局に刑事拘留され、手続きが進められている。

 車番が明らかな場合は数時間、車番不明の場合は2日で特定可能なようです。

 「強い心理攻勢」とは、どういう気合いの入れ方をしたのか、気になりますね。「それって自白の強要なのでは……」と思いますが、普通にこうやって公表されているからには、きっと合法的な手法なのでしょう。多分。映像があるからには、冤罪でもないでしょう。

 監視カメラの映像も自動車の購入先の資料もあるなら、逮捕状をとって通常逮捕すればいいのでは、という気もしますが、中国の刑事訴訟法によれば逮捕状は7日以内に出すかどうかを判断することになっているため、時間がかかるのが面倒くさかったのでしょうか。警察だけでなく、検察と裁判所もスピードアップが必要なようです。

 ともかく、中国で人をひいてしまった場合、ほぼ確実に捕まるので、やめた方がいいですね。

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