
同盟国すら「許可制」の対象に?
2026年3月初旬、米商務省当局者がNVIDIAやAMDの高性能AIアクセラレーターの輸出について、国外向けのほぼすべての出荷に米政府の許可を求める新たな枠組みの草案を練っていることが分かりました。
対象は中国のような敵対国に限らず、同盟国や友好国への出荷も審査の俎上に載る可能性があります。ただしこれはなお政権内で調整中の草案。
ロイターが確認した文書によると、1000基未満の小口導入ですらライセンスが必要になり得ます。免除を受けるには、輸出企業側の監視と、受領側によるクラスター化防止ソフトの受け入れが条件になるのだとか。規模が大きくなるほど条件は厳しくなり、10万基規模では政府間保証、20万基規模では米輸出管理当局の現地視察、それ以上では厳格な安全保障上の約束や対米投資が求められるといいます。
バイデン政権末期のAI拡散ルールは、世界を三層に分け、第一層の17カ国と台湾には広い例外を認め、約120カ国を第二層の上限管理下に置き、第三層の懸念国を遮断する仕組みでした。しかしこのルールは2025年5月にトランプ政権が撤回しています。今回の草案は、その三層構造をそのまま戻すのではなく、サウジアラビアやアラブ首長国連邦との個別合意をひな型に、同盟国への供給まで政府交渉の対象へ引き寄せようとするもので、単純な「バイデン流への回帰」とは異なります。
第三国を経由した中国への流出を防ぎ、最先端AI計算資源の建設場所を米国が管理するという、草案が掲げる安全保障上の論理はたしかに筋が通っています。しかし同時に、各国が必要とするチップの量を握ることで、米国内データセンターへの投資を引き出し、輸出そのものを、同盟国に対する交渉材料に変える側面もあります。AI半導体はもはや単なる商品ではなく外交カードそのものと言えます。
半導体はかつて「産業のコメ」と呼ばれました。しかし激甚な少子高齢化と労働人口の減少を前に、AIであらゆる領域を効率化することが世界で最も切実に求められている国が日本です。産業どころか、AI半導体はこの国にとって「国家のコメ」になろうとしている状況で、その供給の蛇口を「同盟国」に委ねている。その現実が今、突きつけられています。




















