
手数料が企業価値の7割。
TikTokの米国事業売却をめぐり、Wall Street Journalはトランプ政権が仲介の見返りとして約100億ドル(約1兆5000億円)の「手数料」を投資家グループから受け取る見込みだと報じています。
このスケール感、ちょっと尋常じゃありません。バンス副大統領によれば、新設される米国法人「TikTok USDS Joint Venture LLC」の企業価値は約140億ドル。つまり政府の取り分はその約71%です。通常のM&A手数料が取引額の1%未満であることを考えると、桁違いの規模と言えます。トランプ大統領自身も「途方もないfee-plusを得る」と公言しており、隠す気はなさそうです。
取引の枠組みはこうです。親会社ByteDanceが新法人の19.9%を維持し、残る80.1%を米国・海外投資家が保有します。主要投資家はOracle、Silver Lake、アブダビのMGXで各15%。報道によれば、今年1月のクロージング時に約25億ドルを米財務省へ支払い、残りも分割で総額約100億ドルに達する見込みです。
そもそもの発端は、2024年にバイデン大統領が署名したTikTok売却・禁止法です。ByteDanceは2025年1月19日が売却期限で、トランプ大統領は大統領令で期限を延長しつつホワイトハウス主導で買い手を仲介。結果、有力支援者ラリー・エリソン氏が共同創業したOracleを中核とする投資家グループが受け皿になりました。
注目すべきは、この手数料モデルがTikTokだけの話ではない点です。トランプ政権はIntelで約10%の持分を取得し、日本製鉄のUSスチール買収ではゴールデンシェア(たった1株で会社の重要な決定を拒否できる黄金株)を確保。Nvidiaの中国向け先端チップ販売でも売上の一部を政府が受け取る仕組みが報じられています。民間取引に政府が直接介入して金銭的リターンを得るパターンですね……。
新法人のCEOにはAdam Presser氏、最高セキュリティ責任者にWill Farrell氏が就任。取締役会にはTikTok CEOのShou Chew氏やOracleのKenneth Glueck上級副社長らが名を連ね、コンテンツモデレーションや米国ユーザーデータ保護、アルゴリズムの安全管理を担うそうです。
企業価値の7割が政府に流れる取引は極めて異例です。最近はアメリカの嫌な部分が見せつけられるような出来事が多いですね。




















