Shiftallは、ペルチェ素子で冷やした水をベストに循環させる新方式「ペルチェ・チラー方式」を採用した水冷ウェア「ChillerX PRO」を発表しました。価格は3万9900円(税込)で、本日予約を開始し、6月下旬から発送を始めます。販路はこれまでの直販サイト(base)に加え、今回からAmazonや楽天でも取り扱います。なお、モバイルバッテリーは付属しません。
Shiftallはこれまでもペルチェ素子に挑戦してきたメーカーです。2023年にはVRで体感温度を変化させられる「Pebble Feel」を発売し、同年夏と2024年夏にはペルチェ直冷式の冷暖房服をOEMで市場投入。2025年夏には自社ブランドで新方式の水冷ウェア「ChillerX」を発売しています。今回の「ChillerX PRO」は、その冷却性能を「冷え」に特化させて突き詰めたプロ仕様モデルという位置づけです。
仕組みはパソコンの水冷システムをイメージするとわかりやすいです。ペルチェ素子で冷やした水を、ポンプでベスト内の水冷シートに循環させます。氷水循環式と違い、氷の事前準備やクーラーボックスの持ち歩きが不要。モバイルバッテリーを差すだけで使える点が特徴です。電気で冷やし続けるため、時間が経ってもぬるくなりにくいわけです。
最新作の最大の強みが冷却面積です。同社の昔の製品と比べて冷却面積比は約14倍に拡大しました。人体は、狭い範囲を強力に冷やすより、広い範囲をゆるく冷やすほうが圧倒的につめたく感じるのだといいます。たとえば、サウナの水風呂は15度ほどあるものの長時間入れないほど冷たく感じる一方、背中に0度の保冷剤を押し当ててもそこまで冷たくは感じないといった対比がわかりやすいかもしれません。
そんな理屈で今作は「面積is正義」で勝負というわけです。
冷却パッドの形状にもこだわり、熱中症や発熱時に冷やすべきとされる脇の下から胸を効率的に冷やします。ストラップを調整することで、胸板が厚いガッチリ体型の人でも脇の下に冷却パッドが当たる形状に。
さらに首の背面側の直下まで冷却パッドを伸ばし、冷水が到着するように。前面のストラップを引いて背後の首に密着させると、さらに冷えを感じられます。
USB Type-C Power Deliveryで20Vを使い、最大50Wを供給します。面積が狭いペルチェ直冷式で冷やすと局所的にだけ温度が下がり、凍傷になりかねませんが、ペルチェ・チラー方式なら直接肌に触れさせないためハイパワーを活かせるそうです。
従来モデルで課題だった「排気の熱さ」も見直しています。2025年モデルはうしろから吸気し上下へ排熱する構造で、体に熱が当たりがちでした。
ところが、新型は「下から吸気・上に排気」へシンプルな一直線にすることで、冷却効率を高めています。さらに排熱を斜め45度上方向に逃がすことで、空気の流れの効率を大幅に改善。冷却フィンには銅製ヒートパイプを備えたサーバー仕様の大型ヒートシンクと、1Uサーバー仕様のダブルファンを採用し、放熱性能を高めています。
実機を体験したところ、40度に設定したテント内は普通ではとても耐えられないむわっとした暑さですが、本機を装着して入ると十分に耐えられそうな感覚でした。
広告モデルには新日本プロレスのグレート-O-カーン選手を起用。「なんでVRメタバース機器のシフトールが芸能人・タレント起用?」と思うところですが、製品の強い印象に合うプロレスラーは最初から考えていたと話します。
モバイルバッテリーは別売り。2万mAhのモバイルバッテリーでの目安は、MAXモードで約1.4時間、エコモードで約3時間程度。
前機種同様、純正のモバイルバッテリーは用意せず、Shiftallが推奨する他社製モバイルバッテリーを公式サイトに掲載する形をとります。複数のバッテリーを差し替えればずっと使えるというわけ。USB Type-C PD 65W対応のACアダプタに繋げば、残量を気にせず連続動作も可能です。
大容量モバイルバッテリーが手元に余っている人には魅力的ですが、持ってない人はモバイルバッテリーにも出費が必要になります。
別売りの延長チューブを使えば、本体を身体の前や側方に配置することも可能です。椅子に座って作業する人には本体が邪魔になりがちですが、延長チューブで位置を変えれば解消できるといいます。サバイバルゲームのプレートキャリアへの装着や、エアコンのない車のバケットシート背面への取り付けなど応用が効くそうです。ただし、延長チューブを利用した使用はメーカーが取り付け箇所を予測できないため、製品保証の対象外となります。
想定する用途は、建設・物流・整備・調理・農作業・交通整理といったプロの現場から、サバイバルゲーム・ロードバイク・釣りといった趣味まで幅広く想定。実際に建設・物流・農業の各業界から声がかかっており、そうした方向への販売も見込んでいるそうです。
昨今の激甚な円安等でもこの価格を実現できた理由について。販売数量増加によるスケールメリットよりも、Shiftallが持つ量産ノウハウによる要因が大きいと説明します。今作はコストのかかる完全新規開発ではなく、ChillerX無印という先行モデルが存在します。さらに一度製造したことで部品の不良率等が把握でき、当初は保守的に高めの部品を使っていた部分を見直すなどのコスト削減策を講じることもできたようです。
解体現場の粉塵への耐性については、IP等級は取得していないものの、新型はヒートシンクの目が粗くなっており、上方向に排気する構造のため、上からエアフローを当てれば粉塵をある程度飛ばして動作させられるとのこと。1年間の通常保証で、それ以降は有償修理となります。
海外展開については、暑さの厳しい中東方面の建設現場での需要を現在探っているといいます。なお、「PRO」が付かない従来モデルのChillerXは値下げした上で、下位モデルとして併売します。
体感した限り、冷却性能は素直に良く、率直に欲しくなる完成度でした。家に大容量モバイルバッテリーが余っている人にとっては買いやすい一台だと思います。ただメーカーによって高温環境での動作に支障のあるモバイルバッテリーもありますし、まずは公式サイトの推奨モバイルバッテリー一覧を読んで検討することをおすすめします。






















































