電子書籍のダメなところまとめ
最近、漫画の海賊版にまつわる話題が多いですが、以下のようなツイートをしたところ、結構な反響がありました。
破壊的に便利なサービスを作り出すことが最大の海賊版対策というのは様々な例から証明されていますが、Kindleストアってどの辺が足りてないんでしょうね。1クリック購入即時遠隔DL、いつでもどこでも電子ペーパーで読める、こんな最強ソリューションでもまだ足りないのがちょっと信じられない。 pic.twitter.com/CywYvuB9kg
— すまほん!! (@sm_hn) 2018年4月14日
海賊版を駆逐する上で正規サービスが便利であることは不可欠だと思います。では、Kindleを始めとした様々な正規電子書籍サービスの何がダメなのか?皆さんから寄せられた意見をご紹介します。
2018年4月28日7時2分追記:こちらの記事もあわせてどうぞ。
Index
発売が紙より遅い
やはり紙の本と比べて発売日が遅すぎるという意見が多数寄せられました。
発売日………….ですかねぇ https://t.co/ey35Misnmz
— ゆるゆる△ (@taittide) 2018年4月14日
電子媒体の発売を,紙媒体の発売日から2ヶ月ずらすなど
— えびぱん (@ebipan7) 2018年4月14日
ラインナップが少ない
そもそもラインナップが少ないとも。特に漫画雑誌への要望が見られました。
ページ送りがだるい、
中古販売できないコミックの価格が紙媒体と同じは暴利
尼購入は子供にハードル高すぎ
本が探しにくい
週刊月刊誌に対応できない https://t.co/9XrryawoFO— (takuya@osaka) (@takuya_1st) 2018年4月14日
いやいや、新刊1ヶ月遅れや…そもそも配信なし。過去の名作なんてまだ大半買えないし、Kindleには頂点たるジャンプも無い…。人によっては、まだ何も無いとすら感じると思う。Kindleには背表紙も便利な本棚機能もないしね。 https://t.co/bjJbvAoJeo
— レン🇷 🇪 🇳㌠🎮PSN-bz9999🕹 (@bz99999) 2018年4月14日
普通のはだいたい出尽くしてるみたいだけど、エロいものだと、amazonのものは独自修正とかあったり、そもそも他の電子書籍ストアでは扱ってるものでも扱わないとか普通にあったり。 / なぜ電子書籍は海賊版を駆逐できないのか?電子書籍のダメなところまとめ https://t.co/fP1Q7w03R7 @sm_hnさんから
— なかのん&マジック (@d_toybox) 2018年4月27日
価格が安くない
紙の書籍を印刷・流通・販売するには様々なコストが掛かりますが、それを削れるのに電子書籍は高いよね、という声も。既存の紙の書籍を支えるためのシステムが大き過ぎるというのはあるのでしょうね。
よく利用してますが、
1.製本や流通、保管コストがかからないのにほぼ同じ価格で売られている
2.新刊の配信が紙の本より遅い
この2点が不満ですね
本屋を守るためなんでしょうけど、特に2が不満です— Dr.Yang (@Yangman725) 2018年4月14日
KindleってAmazon税が高過ぎなイメージ。作家さんの取り分が紙と同額以上にならないと。中間業者が淘汰されるのはどうにもならんか。 https://t.co/32rmo991TH
— OZAWA / Mobile (@bmwandmore) 2018年4月14日
無料じゃない
やはり無料じゃなければ読まないのでは?という、一見、身も蓋もないように聞こえる意見も見られました。
???「だってお金払わなきゃいけないじゃん」 https://t.co/znonyfqePW
— yamada (@yamada845) 2018年4月14日
何が足りないとか言うても、連中は暇つぶしでしかないマンガに一銭たりとも払いたくないんだから、端末タダでばらまいてマンガのデータを無料でDL出来るようにしないとダメなんでね?と酷いことを言ってみる。
マイノリティですが、SONY Readerの方が使い勝手は良いと思う(SDに入れられるし) https://t.co/M3xio9wvOJ
— tomcut (@eaglefall22) 2018年4月14日
Kindle絶望的に良いサービスなのですが、多分無料じゃないってところで使われてないんだと思います
— Au5 is GOD (@RikuS3n) 2018年4月14日
とはいえ、身も蓋もないとまでは私は思いません。電子書籍も言ってしまえばひとつのアプリ・サービスとして他業界と余暇時間を奪い合う立場であり、事実として世の中には無料会員と有料会員によって成り立つサービスや、広告モデルによって無料で成立しているサービスも他分野で存在しているわけですからね。
そういえば絶版本を扱うマンガ図書館Zは、広告を掲載し作者に直接還元、成人向け作品は有料プレミアム会員のみのサービスで運営していますね。
決済手段?
クレジットカードを持てない子どもたちが海賊版に流れやすいとの指摘も。
FF外から失礼します。
kindleなどで即時購入するには多分クレジットカードが必要だと思うので、それを持てない人間が海賊版に流れやすいのかと・・・— じょな☆ (@yuki4980) 2018年4月14日
海賊版サイトの利用者って、決済手段が無いんじゃないのでしょうか。クレカとか。
無料っていうのも「親にバレない」からメリハリなんじゃないでしょうか。— HappyMan (@nossie1967) 2018年4月14日
もちろん決済手段の充実も大切なことですが、根本的な問題解決にまではならない気がしますね。Google PlayやiTunesのポイントや、Amazonギフト券は今でもコンビニでも買えるので。
電子化の品質が低いことがある
電子化の品質を問題視する声もありました。確かに、たまに不満のあるスキャンも見かけますね。
コミック等はタイトルによって解像度がまちまちなのが気になります。
小さい文字が潰れて読めないほど荒いときはさすがに紙版、もしくは他のストアで買えばよかったかなと思うほど。— ダイスケ(旧名DKZ) (@dkz_tw) 2018年4月14日
あと活字なのに中途半端に凝ってるせいで画像として取り込んで販売してる電子書籍は困りますよね。テキストデータにしてくれれば文字サイズやフォントなどを自由に選べるのに。私も買った後に後悔したことがあります。
複数書籍を開けない
本だと複数並べられるのに……という意見ですが、うちの読者的には「端末複数台使おう」でしょうか?
自分の場合は読むための端末を持っていないのが理由ですね…あと電子書籍だと自分の読みたいページをざっと開くことができない、また複数の書籍を抱えて読むところができないところとかも…(-_-;)
— yoroiball (@yoroiball) 2018年4月14日
「電子」書籍ならではの表現が欲しい
今となっては紙の本という制約がなくなり、画像だけではない、動きや音声など新しいカタチの漫画表現ができますし、それならば簡単に複製できませんから海賊版の抑止にもなりますね。とてもいい観点のアイデアです。
漫画に限って言えば、電子書籍だからできる「音声付き」が一向に出てこない、紙の本では不可能なことをやろうとしないと画像という究極的に複製しやすいものの海賊版への抑止にはならないかと。
— ぶらっきぃ (@blacky758ex) 2018年4月15日
「のだめカンタービレ」の音楽付き電子書籍が発売されたら、全部買い直す。
— HappyMan (@nossie1967) 2018年4月27日
電子書籍で言うとオーディブルもあるのですが、日本ではまだ流行ってない印象ですね。新しい無線イヤホンが続々と登場し、スマートスピーカーも盛り上がりの兆しを見せる今、耳で本を楽しめるオーディブルにこそ、電子書籍本格普及の突破口があるかもしれません。
電子版ならではの展開の不足
本当に電子書籍を流行らせたいなら展開にもっと工夫を、との意見も。
出版社や作者側ができることとしては、本編の連載や単行本は紙→電子化を継続するとして、スピンオフやサイドストーリーを電子版のみで格安or無料配信すると普及も進むかと思います。
— HappyMan (@nossie1967) 2018年4月14日
ちなみにこれは現在放送中の「仮面ライダービルド」がやっている手法です。
全部の話題をフォローするには、DVD/Blu-ray、「てれびくん」別冊付録のDVD、Youtube公式チャンネルなどいろいろ見なければならない。結果、間口がすごく広がっています。— HappyMan (@nossie1967) 2018年4月27日
複数サービス乱立、横断できず
サービスが乱立しており複数の使い分けが面倒ですからね。
KindleやらKinoppyやらジャンプ+やら複数プラットフォーム使ってると統合できないのが正直不満ですね
音楽はどこで買っても管理、プレイヤーも自由なのに、自分が好みのリーダー用いて読めないし、それぞれの中でしか管理できないし・・・、と。— Hiro (@hiro_alaalba) 2018年4月14日
とりあえずあそこに行けば作品があるんじゃないか?そう思わせるような横断性・作品の充実度というのは大事なことだと思います。
アプリの使い勝手の悪さ
やはりアプリの使い勝手には不満の声も多いですね。
PDFでくれんからi文庫HDとか使えずに純正クソアプリ使わねばならんとか… https://t.co/9LlGvBT8sF
— 決算セール大好きTakuyaさん (@TakuyaPhotos) 2018年4月14日
最強ソリューションとか言ってるけど、それ電子書籍が最初に出た時点で皆が期待してた最低限機能よ?
私はマンガの文字検索くらいつくと思ってたよ…(あのセリフどのページだっけ!?っての良くある) https://t.co/IH4BLXkJW9— にゃーPP (@asbqdtmyao) 2018年4月15日
スマホアプリ版だと、SDカードに本を保存できないから。
— バアル提督 (@arukad) 2018年4月14日
専用端末の使い勝手
Kindle端末の使い勝手についても。確かに自分のライブラリ・本棚の整理というものはしづらいですね。
本棚整理方法が多方面に圧倒的に足りていません。DLも遅く読みたいときに読めません。想像している電子書籍の利便さの10%も実現できてないと思いますよ。
— 降鷹 (@Oritaka365) 2018年4月14日
持ってる本をおすすめしてくるトップページ https://t.co/SOJEZeHLGk
— 黒星璃凛(JK17) (@ribl_) 2018年4月14日
ページ送りがプログレスバーなので、パラパラーってページ送りできない。そこが致命的。
携帯性は評価できる。 https://t.co/um2SWB85tC— tk@ミクの日40mPの曲のPV投稿 (@tk_tkhd) 2018年4月15日
最新のKindle端末を使っていますが、バーでページ数指定で開いたり、長押しでパラパラ(っぽい)ページ送りだとか、色々工夫は凝らしているので、そこまで困ったことは少ないです。
友達との回し読みができない
意外と多かったのがこれですね。誰もがやったことのあるであろう、友達との漫画の貸し借り。中古市場もできませんよね。セールなどはありますが。
Amazonの問題じゃないけど紙とKindle版の発売日に大抵タイムラグがあるのが嫌だな。あとは友達との回し読み機能みたいなものがもっと手軽にできれば。 https://t.co/AB47MuNeXW
— aishi (@ai_77) 2018年4月14日
(是非はともかく)中古市場がない、貸し出し機能が不十分という点がまだ足引っ張ってますね。
前者メリットはセールや無料配布など特有の機能で相殺できるといえますが、後者はもっと簡単に共有できればなぁと思います。もちろん国内サービスとして。あと発売日問題は本当どうにかしてほしい…。
— 熊崎@さけぬま (@_kskyw) 2018年4月15日
所有権がない・DRM
結局DRMフリーだったら閲覧アプリも自由だよなぁとの声。PDFだったらSONYの大型の電子ペーパー端末で読めたりもしますよね。それこそ端末やプラットフォームを問わないわけです。
PDFでダウンロードできるのかしら。出来ないなら結局ダメ https://t.co/2aRtr8mdAh
— かえざくら@4/19~22札幌周辺 (@kae_sakura) 2018年4月15日
足りてないのは端的に言えば「権利」。現在の電子書籍サービスは厳密には書籍と同じデータを購入しておらず、期限の定めのないレンタルをしているだけ。本屋が潰れても買った本は手元に残る。電子書籍サービスが終了したら、電子書籍は手元に残らない。これだけじゃないだろうけどね。 https://t.co/40iUeCW6RP
— fuka (@kodama165fuka) 2018年4月14日
Amazonに本棚から本を削除する権限がある時点でお話にならない。
ワシはうまいこと「バックアップ」してkoboとkindleとGoogle Playを相互乗り入れさせてます。 https://t.co/fM94a8ySQa— そらりす@メモリ64GBは最低限文化的 (@djed736) 2018年4月15日
ストアが潰れる、取り扱い停止などのリスク
DRMで完全に自分の物として取っておけるわけではないので、サービス終了のリスクが付きまといます。
友人との貸し借り(これオススメだから読んでみて)や、売却(つまらなかったら売ればいいや)ができない。
便利になったはずなのに、昔より本を買うことに対するハードルが上がっている気がします。
そもそもストアがつぶれたら終わりですし。— brits (@brits666) 2018年4月15日
企業の信用、共に表現の自由守れるか
あとはテクノロジー企業、外国企業を一体どこまで信用していいかという問題ですね。いわば「門外漢」が扱うわけですよね、表現という分野を。
amazonが文化の担い手としていまひとつ信頼出来ない点がKindle最大の問題じゃないかなと個人的には思う。サービス継続性の観点からは現状Kindleを選ばざるを得ないけど、有害図書の指定や自社都合で突然取り扱いを停止したりするのをみると、いざという時に同調圧力に抵抗してくれるとは思えない。 https://t.co/NrhxoUTZwW
— 霧島煌一/ゼルヴァン (@Zervan) 2018年4月14日
出版社も最終的には電子版が主力になりますよね。今そっちに行くのか、印刷・流通・書店といった既存のものを守りながら徐々に行くのかの違いで、時間の問題だと思っています。
もし今後、電子書籍の世界で何か重大な危機が起きたときには、戦後日本の出版言論を長年やってきた文化の担い手として信用を積み重ねてきた出版社が、表現の自由を守る砦として存在感を発揮する、そういう展開も起こり得たと思うんですよね。最大の差別化戦略になります。
だからこそ今回、出版業界が権力に違憲・違法なブロッキングをロビイングし支持したのは、理念的にもビジネス的にも悪手だと思います。さらに、見方を変えれば、いわば出版業界という「門外漢」が、通信の秘密を踏み躙っている構図にもなるので、今後に禍根を残す話にもなりかねません。本来ならば出版業界・テクノロジー企業・ISPは、共に手を取り合っていかなければならないはずでした。
今後の正規サービスの改善に期待
電子書籍にはまだまだ様々な課題があります。間違った手段を政府・他業界に要請するのではなく、正規サービスの充実・改善という正しい手法でユーザーの声に応えることが、漫画・書籍の未来にとって重要なのだと思います。
2018年4月28日7時2分追記:続きです→既に解消されている部分が結構ある?「電子書籍のダメなところまとめ」への補足まとめ