商品を注文し受領しながらも対価を支払わない「取り込み詐欺」は昔からありますが、中国湖北省にて、インターネットでスマホのハイエンドモデルを大量購入後、マザーボードを正規版から劣悪なものにすり替えて返品する悪徳スマホ修理屋5人が逮捕され、それぞれ実刑判決を受けたと、楚天都市報が伝えました。被害額は6万元(約100万円)を超えるそうです。
報道によれば、2017年8月3日、武漢市新洲区のECサイト運営企業から公安機関に通報がよせられたそうです。最近利用頻度の高いユーザーがインターネットでハイエンドスマホを購入し、商品受け取り後に「電源が入らない」「ディスプレイがつかない」などの理由で返品されていたが、短期間にこの種の状況が頻発し、スマホに不正が為された可能性を疑いスマホのQRコードを調べても異常は見つからなかったとのことです。
人民警察が当該企業が全国から返品された300台のスマホの伝票を調べたところ、40台の返品住所が比較的集中していることを発見、しかも返品されたのはどれも華為のハイエンドスマホだったといいます。公安機関はこの40台をメーカーへ送って調べたところ、27台のスマホのマザーボードが出荷時と一致せず、劣悪なマザーボードにすり替えられたことがわかったそうです。すり替えは比較的巧妙で、マザーボードの外側は換えられていなかったため、QRコードはもとのマザーボード情報のままだったようです。
その後の捜査により、全ての線は漢口のスマホ修理店につながったといいます。2017年8月23日、新洲の警察機関はこの店舗を捜査、現場で万某、李某、肖某、向某の4人を検挙、事件に関係するスマホ30台余りと大量の部品を押収しました。9月14日、武漢市新洲区検察院は詐欺罪容疑で4人の逮捕を批准、11月1日にはもう一人の容疑者张某が公安機関に出頭し、これも12月6日に同検察院が逮捕を批准、このスマホ修理店5人の「起業チーム」全員が逮捕されたといいます。
取調によれば、張某と万某は武漢市江岸区大智路「華中数码港」の事務所内でスマホ修理業務に従事し、肖某、李某、向某は店内でスマホ販売に従事していたそうです。
容疑者の供述によると、2017年5月、肖某、李某、向某がECサイトで華為のP10とMate9を購入し、張某と万某がスマホのマザーボードを取り換えた後、当該ECサイトに返品するよう、張某が提案。一回スマホのマザーボードを取り換えるたびに、張某と万某が200元(約3,300円)を相手に支払うとしたそうです。
公判によって判明した事実によれば、2017年5月から7月までの期間、肖某、李某は共同してECサイトで華為P10、mate9を合計19台、向某は華為P10、mate9を合計8台購入、いずれも張某と万某に譲り渡し、張某と万某の2人は27台のスマホのマザーボードを廃品の古いマザーボードとすり替え、スマホの電源が入らないことを理由として、販売側の「7日間無条件返品可」の規約を理由して、被害に遭った業者へ返品返金を申請していたといいます。これらの2,000元前後のスマホのマザーボードは、張某らによって単価400元で売られていたそうです。
張某は「自分は以前、自分の技術に頼って毎月7,000元以上は稼げていた。今ではとても後悔している」と述べているとのことです。
2017年11月30日,万某、肖某、李某、向某は新洲区検察院によって起訴され、2018年3月5日、最後に検挙された容疑者張某も同検察院に起訴されました。
裁判所は審理の結果、5人の行動は均しく詐欺罪を構成するものと認め、張某に有期徒刑3年、万某に有期徒刑3年、肖某に有期徒刑1年6カ月、李某に有期徒刑1年6カ月、向某に有期徒刑8カ月の実刑判決をそれぞれ下したといいます。
原価率50%で売りさばけると考えればいい商売かもしれませんが、一回当たりの儲けが200元でリスクを負うと考えれば、あまり割のいい商売でもなかったようですね。「とても後悔」するのも、もっともでしょう。
「砂の真砂は尽きるとも、世に泥棒の種は尽きまじ」とは石川五右衛門の言として伝えられていますが、詐欺のネタこそ尽きることがないようです。