米国政府によるZTEへの制裁は、スマホの核心となる部品技術を中国企業がいまだ手にしていない、という現実を浮き彫りにしました。
販売台数世界第2位を誇る中国スマホメーカーの雄、華為(Huawei)は、同社のセカンドブランド「栄耀(honor)」とともに、華為子会社HiSilicon製の独自SoC「麒麟(Kirin)」を使用していますが、他の中国メーカーは使用していません。
なぜ華為は他社に麒麟を供給していないのか?華為の幹部が明らかにしたと、中国共産党機関紙・人民日報系の国際紙、「環球時報」が伝えました。
最近のインタビューで、華為の高級生産総監・Brodyが答えるに、麒麟チップは単なるひとつの製品ではなく、一種の知的財産であり、会社にとって競争相手との間に競争力の優勢をもたらすものである。これはわが社が市場で他社を出し抜く要素となるものだ、と答えたそうです。
この考え方にもとづけば、たとえばOPPOがZTEのように米国からの制裁によってチップの供給が途絶えた場合、華為がOPPOを出し抜くチャンス到来!となるわけであり、OPPOに麒麟チップを売ってやる必要はない、ということでしょう。
中国政府はチップの自給自足へ向けて邁進する方針ですが、華為の考え方は、ある意味中国共産党への反抗といおうか、「政府の方針なんか知ったことではない、中国国内のライバルが脱落した方がいいに決まっている」、というようにも読み取られます。
もしかすると、我々が考えているよりも、中国の市場経済は自由で、かつシビアなのかもしれません。