セキュリティ分野の企業「トレンドマイクロ(Trend Micro)」のiOS向けアプリケーションが、Appleのアプリストア「App Store」から一斉に消えたことがわかりました。
トレンドマイクロ製の代表的なアプリケーションである「ウイルスバスターモバイル」や「パスワードマネージャー」、「Wi-Fiプロテクション」などが、iOSのApp Store上で検索しても表示されません。
トレンドマイクロ公式サイトなどから各アプリのURLに直接アクセスした場合、アプリ説明のページが表示されず、そのままApp Storeへ飛んでも「アイテムを利用できません。ご希望のアイテムは、現在日本のStoreではご利用いただけません」と表示されます。
通常であれば、これはAppleまたはデベロッパーがアプリの公開を取り下げたなどの可能性があります。
しかしトレンドマイクロは9月以降のアプリのアップデートを予告しており、顧客への説明がないまま全アプリを一斉に自ら取り下げるという可能性は低いものと思われます。
筆者がこの記事を書いている最中、トレンドマイクロがニュースリリースを公開。どうやら自主的な削除ではないようです。
本日、App Store上の当社アプリが閲覧できないことを確認いたしました。
■対象アプリ(個人)
・ウイルスバスター モバイル(iOS版)
・パスワードマネージャー(iOS版)
・ウイルスバスター for Home Network(iOS版)
・ウイルスバスターマルチデバイス月額版(iOS版)
・ウイルスバスターモバイル月額版(iOS版)
・ウイルスバスター+デジタルサポート月額版(iOS版)
・パスワードマネージャー月額版(iOS版)
・フリーWi-Fiプロテクション(iOS版)■対象アプリ(法人)
・Trend Micro Mobile Security (iOS デバイス)■対処方法
App Storeでアプリを検索してもアプリが表示されずインストールを行うことができません。現在本件についてApple社に至急で確認を進めております。
※既にインストールしている環境およびAndroid版においての影響はありません。https://appweb.trendmicro.com/SupportNews/NewsDetail.aspx?id=3271
また、トレンドマイクロは「Trend Micro Incorporated」の名称でデベロッパー登録をしていますが、このURLにもアクセスできなくなっており、Appleから開発者登録ごとBANされた可能性もあります。
トレンドマイクロはMac向けのApp Storeにて、ユーザーのデータを収集し送信するソフトを配布していたことが発覚し、Appleはトレンドマイクロ製のアプリを一斉に削除していました。これは規約違反であるのはもちろん、セキュリティ企業を自称する会社がApple公式ストアでスパイウェアを配布していたという、App Storeの安全神話をも揺るがす大変な不祥事であり、仮にデベロッパーとしての資格ごと剥奪されたとしても無理からぬ話かと思われます。
トレンドマイクロはMac向けのアプリから、問題の機能の削除と、サーバーに保存しているユーザーのブラウザ閲覧履歴等のデータを削除することを発表していました。
追記:トレンドマイクロは当初iOSアプリが「削除」されたとしていましたが、今は「一時公開停止されている」としています。