なぜ小規模スマホメーカーの「高級モデル」は成功しないのか?金立の失敗から学ぼう

消えゆく非大手スマホメーカー、なぜ?

HUAWEI/Xiaomi/samsun/Apple/CHINA

 華為、小米、OPPO、vivoといった大手ブランドがシェアを伸ばす一方で、低価格の小規模国内ブランドが苦境に陥っている、中国市場。金立(Gionee)もそのひとつ。消えていこうとしているブランドは、何をするべきだったのか?

強気の値段で攻めた金立

 金立が昨年、有名映画監督馮小剛と、その妻徐帆をイメージキャラクターに起用してリリースしたビジネススマホ、金立M2017についての振り返りを、中国・証券時報が伝えました。

 金立M2017の売れ行きは詳らかでないものの、iPhoneなみの超強気価格に、「なぜこんなに強気なんだ」「ふつうはiPhone買うでしょ」との声が多く上がっていたそうです。

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(6999人民元は、日本円で約11万4千円)

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 同価格帯で同じ種類の商品で、ブランドイメージが劣る方は、一般的に性能面で補う、中国国産車もそういうのもだといいます。金立はブランドで明らかにAppleに劣るにもかかわらず、ハードウェア上のかさ増しもしておらず、問題だと指摘されていたそうです。

金立の考えたポジショニング

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 金立がスマホ市場空間をみるに、ビジネスパーソン向けのスマホ、というポジションが不足していたといいます。思いつくのは華為とSamsungくらいですかね、まあ世界2大メーカーですが。ここで、市場営業学科で非常に基本的な概念「市場の細分化」というテーマーが浮かび上がってきたのだとか。

金立
ビジネスパーソンは高収入で、装い、出入りする場所、交通機関も普通の人とは異なるのに、なぜ彼らに普通の人と同じスマホを使わせるのか?例えばiPhoneも、ほとんどすべての人が使っており、月収3、4,000元の人と3万元の人、なぜ同じモデルを使うのか?高収入ビジネスパーソンには必ず、消費上他の人と差をつけたいという欲求があるはずで、Appleが彼らとその他消費者の区別をつけられないなら、新たな製品によって、この空白を埋めるべきだ!

 なんか、言ってることはそれっぽい気がしてきましたね。高校生と富裕層が同じスマホを使っているのはおかしい、確かに確かに。PCで考えると、世の中には生協で20万円くらいのPCを売りつけられる大学もあるそうですが、普通、レポート作成くらいでしかPCを使用しないような学生は、レッツノートだの、ThinkPadの高級モデルは使いませんね。

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(Gionee M2017は、CPUはしょぼいが大容量7000mAh電池と『高級スマホ』としての宣伝が特徴的だった)

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Appleとスマホブランドのポジション、証券時報の分析

 理論上は正しいものの、そのスマホは性能でAppleを上回っているか?ブランドイメージでAppleを凌ぐことができるか?すなわち、ブランド付加価値が問題になるといいます。残念ながらこのような商品の選択肢は極めて少ないと。Appleは常に業界イノベーションの先導者として、敵に空間を与えてこなかった、であるからこそ、カネモチも貧乏人も、いいスマホを使いたいからと、Appleを選ぶしかないのだといいます。

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 ほかに、コスパを追求する非常に多くの消費者がいる、性能が少し劣っても価格がとても安い製品、これが中国国産スマホの生存空間であると。

 スマホは細分化しているものの、細分化の線は非常に太いと指摘します。たとえば価格によって、購買層が分かれる、女性或いは男性のスマホ、若者向けのスマホ、それぞれの層で、大量にカバーできます。ビジネスパーソン向け、というポジショニングをしているスマホは少なく、なぜならビジネスパーソン層は非常に薄く、この層の消費能力がどれほど強くとも、スマホメーカーはコスパでAppleをしのぎ、広告の絨毯爆撃によって、消費者の心をつかむ、というのは難しいようです。以前は「当たった」ことがあるものの、このような「知識に欠け、運頼みで一発当てた成金層」の時代は終わろうとしており、今成長している「エリート層」は、消費行動が理性的になっているのだとか。

 スマホメーカーは多くの製品を同時にもっていたものの、現在では製品ラインナップを縮小させており、これはAppleと関係があるのだとか。

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 Appleは市場に、一つのスマホで天下を取れると教え、中国メーカーはここまでの自信がないため、差異化した製品をリリースしているものの、種類を縮小しており、全体的に言えばやはり「爆発的ヒット」を追求しているといいます。今日、「標準装備」に成功したスマホが爆発ヒットするところは、想像し難いとも指摘。

他のブランド物には敵わぬ、「ブランド物」スマホ

 もちろん、そのような製品をリリースすれば、他の訴求の仕方もあるといいます。たとえば全体的にブランドや製品イメージを向上させる、といった。

 華為にはハイエンド市場向けのポルシェブランドの製品もあり、Appleと差別化したいハイエンド消費者から受け入れられたものの、華為はこの製品で金儲けしようとは考えていないはずだと指摘します。

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(Huawei Mate 20 RS Porsche Design)

 市場には高級品会社がリリースする高級品スマホ、例えばダイヤモンド、ワニ革などのモデルもありますが、セールスポイントはデザインであり、市場の販売台数は多くなく、影響も少ないといいます。「こち亀」の中川くんが使ってそうですね。

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(VERTU Constellation)

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 「一千万元の時計はあるのに、何故一千万元のスマホはないのか?」という話ですが、腕時計のような高級品は、次の代に継承ができるといいます。ヴィンテージ時計のコレクションは確かに、一財産ですね。一方、「大量のモトローラーのフィーチャーフォンを孫に継承するのは想像し難い」と、いいます。これもたしかに、ちょっと見てみたい気はしますが、「あんたが死んだらただのゴミよ」と嫁さんに言われる世界ですね。通信関連製品は世代交代が速く、製品価値が急速に下がるため高級品デザイナーが最高のスマホハードウェアを使ったところで、すぐに価値がなくなるといいます。

 技術力、コスト力で劣る小規模メーカーが「高所得者向けの高級スマホ」を出そう、という発想は、根本的に無理があったようです。