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ソニー、AI予測分析を数クリックで簡単に実現する「Prediction One」を企業向けに展開

 ソニーは、6月12日、ソニーシティ大崎にて新サービス発表会を開催。数クリックで簡単に機械学習による予測分析ができるビジネス向けソリューション「Prediction One(プレディクションワン)」を正式発表しました。

 提供開始日は本日より。提供は当面は無料。有料化時期は決まり次第WEBページにてお知らせするとしています。

ビジネスにおける予測分析がなぜ普及していないのか?

そもそも予測分析とは

(ソニーネットワークコミュニケーションズ渡辺執行役員)

 ビジネスの場面でAIを使える場面は幅広くあるとします。

 例えば、生産管理では故障を予測し、製造機器などの故障を未然に防止。人事では業績や退職を予測し、従業員の業績改善や退職の防止……など。

 つまり「予測分析はビジネスの天気予報のようなもの」とし、数多くの場面で意思決定をより上手くできるといいます。

普及を妨げる要因

 これまで予測分析はあまり普及していません。その要因として、実績データの不足や機械学習についての専門家が不足しているとのこと。先端IT人材専門家の供給は国内で年間2千~3千人といわれているが予測分析の専門家はその一握り。

 そのため多くの企業は専門家無しで予測分析導入を進めざるを得ない状況があるとしています。

Prediction Oneの特徴

開発経緯

 これまでソニーはAIソリューションとして、2018年3月より画像判別ソリューション、2017年8月よりプロ向けのAI開発ソフト「Neural Network Console」を提供。

 ソニーグループでは数年前からR&Dセンターとビジネス部門が連携し技術・ノウハウを蓄積してきたといいます。分野はエレクトロニクス、金融/不動産、サービスなど。

 これまで予測分析は難しかったが、どれだけこれを簡単にするか、専門家がいなくとも使いこなせるようにするかを焦点にしてPrediction Oneを開発したといいます。とにかく簡単に敷居を下げて幅広い顧客を想定します。

(ソニーR&Dセンター 統合技術開発第2部門 知的アプリケーション技術開発部 高松氏)

 Prediction Oneの特徴としては「シンプルで簡単」「自動モデリングで高精度な予測」「予測の理由がわかる」「標準的なPCで動作」。

シンプルで簡単

 Prediction Oneの開発にはソニーのデザイナーが、グループ内の意見を聞きながら使いやすいUIを作ったとのこと。GUIでデータを取り込んで数クリックで分析を開始できます。

 他社ツールとの比較。クリック数が圧倒的に少なく済み、処理時間も短く、予測精度も高い、三拍子揃っているとします。

自動モデリングで高精度な予測 

 前処理とモデリングが経験を要する部分で、ここを1クリックで簡単に済ませられるといいます。

予測の理由がわかる

 AIといえば「なぜその結論になったか」。わかりにくい場合もありますが、本ツールでは「寄与度」という形で予測理由がわかるので、ビジネスへの導入が進めやすいとしています。

標準的なPCで動作

 顧客データや業績データを社外に移すとなるとハードルが高くなるが、クラウドではないので導入の敷居が低いとします。

Prediction Oneを使う様子

 実装の動作状況がこちら。顧客がプレミアムサービスを購入するかしないかの予測を行うデモンストレーション。

 購入確率が高い顧客にだけプレミアムサービスを勧める、といったことを行えば業務の効率化や時間の節約になるというわけですね。

ソニーグループ内の事例

 以下、ソニーグループでの導入事例です。

SRE(旧ソニー不動産株式会社)

(SREホールディングス株式会社 角田取締役)

 実際に現場で使っているとのこと。不動産の売却仲介で、例えば自宅を売却したい顧客の物件を預かり、媒介契約を取って売却活動を始めるのが通常の流れではあるものの、「やっぱりやめた」というお客さんも少なくないとのこと。

 過去のお問い合わせ顧客リストを作成。これが宝の山で、一ヶ月経ったら再度連絡して営業するのが過去反響追客。この客にアプローチすれば営業が取れる……AI導入前はこれを経験や勘でやっていたといいます。

 ここで「追客優先顧客抽出AI」を、プレディクションワンによって作成。高確率順にランキングを生成、それをもとに営業することで追客成功確率向上。

 1000件なら、人による追客では500分かかっていたのに対し、AIでわずか13分に。8時間以上の作業削減効果があったとします。

So-netの事例

ソニー損保の事例

質疑応答

ITmedia:有料化された場合、ユーザーは有料への切り替えになるのか、無料版が継続されるのか。何種類の予測モデルが作れるのか。具体的アルゴリズムについて。

高松:有償化のタイミングは市場をよく知ってから進める、細かい部分も未定。数値予測か分類するかで変わってくるが概ね10個前後。中身のコアはオープンソース、ソニーのNeural Network Libraries。使いこなすところでソニーR&D独自の技術が入る形。

読売:ソフトのサポート料金。

高松:サポートはSREIパートナーズ。有料。

フリーランス:BIツール関係でインテリジェント性増したものとの競合は?予測理由はどのように評価した?

渡辺。他社サービスと最終的にどこかでバッティングする可能性はあるが、いわゆるプロ仕様と、幅広いユーザー想定のPrediction Oneで棲み分けされるのではないか。有償化のタイミングでどうなるかはわからない。この分野の裾野を広げるのが我々が担当。

高松:ベンチマーク、理由の出そうなデータを確認して出したり、実際のユースケースで担当者とフィードバックを得ながら作った機能が、予測理由の部分。

ITmedia:精度を出すためのデータセットのボリュームは何件程度で実用になるか。

高松:感覚として100以上あるとトライできる段階。データ数は増えすぎると精度は伸びない。

日経:なぜ無償にしたか、ソニーとしてメリットはどこか。

渡辺:裾野を広げたいため。ソニーのメリットは、多くのフィードバック。ツールの進化スピードを早める。有償化する時に、顧客に納得してもらえるレベルに高めたい。

リンク

 本日より提供開始。法人を想定しており、サイト上で利用申請をしてから、ダウンロードする形で利用を開始できるとしており、今のところ個人ユースは想定されていません。

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