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ヤフーとLINEが統合。背景「LINE大好きラブコール」「孫さんあまり関与せず」

 本日、ヤフーの親会社Zホールディングス(ZHD)と、LINEの経営統合が正式発表され、都内にて共同記者会見が開催されました。

ヤフーとLINEが歴史的な経営統合へ

ZHDとLINEの代表、お互いの色のネクタイで登壇

 統合を象徴するように、ZHD川邊社長がLINEのコーポレートカラーの緑色のネクタイを、そしてLINE出澤社長がYahoo!コーポレートカラーの赤色のネクタイを付けていたのが印象的です。

(左:ZHD代表取締役社長CEO川邊健太郎氏 ,右:LINE株式会社代表取締役社長CEO出澤剛氏)

米中IT企業に対抗

 日本・アジアから世界をリードするAIテックカンパニーを目指すといいます。

 統合後はZホールディングス傘下にLINEとYahoo!があくまで対等な立場で経営統合。

 データや金融が米中「ITの巨人」の勝者総取りになっていることを指摘。企業規模で大きな差を付けられており、これは国力や文化の多様性にも影響を及ぼすとして危機感を募らせており、ここに対抗する意図。

 課題先進国と呼ばれる日本。労働人口の減少や自然災害、これらをテクノロジーで解決したいとのこと。

統合のシナジーは「相互補完」

 経営統合による様々なシナジー。Yahooではメッセンジャーを持っていないが、LINEはeコマースは力が入っていない、こうした相互の弱みを補い合えるとします。エンジニアやデザイナー、データサイエンティストといった人材は両社合わせると数千人規模。

 株主を含んだグループとしてのシナジーはさらに強力。通信事業を持つソフトバンク、スノーや3DアバターZEPETOなどを持つネイバー。

 今はAIへの移行期。全てのデバイスがネットに繋がり、日常の多くがデータ化される時代に。インターネットと生活が融合する時代の基盤としてAI技術があり、ここに集中投資する方針。

 LINEの会話のデータは通信の秘密により利用していないし今後もできないが、周辺データについては今後ポジティブな方向に使っていくとのこと。

2020年10月までに統合予定

 LINEは上場廃止、NAVERと非連結に。統合後の比率は一般株主35%、ジョイントベンチャー65%の比率。ジョイントベンチャーとしてソフトバンクとネイバーが半々で持ちます。ZHDをSBが連結する形とし、ZHDのガバナンスとしては取締役10名を想定。年末年始までに最終契約を締結。各種手続きを行います。

 時価総額1兆円同士ということもあって、独占禁止法の観点から公正取引委員会の審査も生じることから、時間はかかる想定。2020年10月までには統合を完了する見通し。

 統合完了までは両社ライバルであり、両社長とも、現場の社員には「(敵として)戦え」と話しているとのこと。

 LINEのトロイカ体制について、「LINE側の意思決定では継続。プロダクト委員にもその3名は入っている(出澤社長)」とし、今後も継承していく意向を見せました。

 YahooとLINEの対等にこだわった理由としては「お互いのサービス後から、開発力、どれをとっても対等と考えている。意欲も能力も対等。上下はなく、チームワークを感じている。ネイバー社はLINEが非連結になるとの判断をしてでも巨大テックカンパニーへの意気込みに賛成した。SBにある種譲った。心意気に応えたい(川邊社長)」とのこと。

実は熱心なLINEユーザーの川邊社長によるラブコールがきっかけ

 川邊社長自身、実は毎日LINEを使う熱心なLINEヘビーユーザー。LINEが大好きで、ずっと一緒にやりたかったとのこと。

 今回の統合のきっかけは、実は1年に1回行われている新年会。数年前からこの場で川邊社長が何か協業したいとラブコールを送り続けており、あしらわれていたが、今年は好反応。今年の春に食事をして始まり、二社で大きなことできそうと感触。6月に両社の親会社に相談。夏の間に検討を重ねたといいます。

孫社長の関与は?

 やはりインパクトがあるのは、あのLINEがソフトバンクグループの傘下に入るという事実。ここに孫社長の抱く大きな野望が背景にあると考えるのは自然なことで、中には、孫社長が主導だと事前に報じるメディアもありました。

 一方で川邊社長曰く、きっかけは前述のようなフランクな会話から始まり、当事者同士で話を進めていたものであり、その後に宮内さん、NAVER、そして孫社長に話を持っていったもの。情報共有こそしていたものの、孫社長自身はあまり関与してこなかったのが真実であるとし、主導であったとの報道を否定しました。

 今年9月に統合について孫社長にプレゼンをしたところ、100%賛成であり日本とアジアのインターネットのためにやるべきだ、今までできなかった大きな課題解決をやれと述べたそうです。 

GAFA最大の脅威は「ユーザーの支持」

 GAFAを脅威に感じる最大の部分としては「ユーザーの支持」と分析。川邊社長自身もYouTubeやKindleを利用しているとのこと。

 今後日本の課題にフォーカスした国産AIで、GAFAに行えないものを国内法に基づいてやり、差別化していきたいとのこと。

PayPayとLINE Payはどうなる?

 様々な競合事業を持つ両社。ユーザー目線で自分のサービスがどうなるのか、どういうメリットが有るのか?

 川邊社長は「ユーザーファーストに尽きる。そうでないサービスはダメになってきた。手前勝手な理由で使い心地は落とせない。わかりやすいシナジーは見せていきたい」と語ります。

 LINEニュースやYahooニュースといったサービスも競合ですが、併存するのかどうか、具体的な方針は統合後に考えるとしています。

 統合までの1年弱は競合関係。最終的に最もユーザーに支持されているサービスを補完し合うといいます。

 LINE PayとPayPayは統合・共通化するのかという点について「どうなるかは統合後に判断。政府がキャッシュレスを推進しているが、データではキャッシュ7割レス3割。クレジットカード、Suicaが多い。QRコード決済は3%から5%。キャッシュレスはパスポートになる分野。まだまだ切磋琢磨して伸ばさないといけない(ZHD川邊社長)」とのこと。まずはQRコード決済自体を拡大確立したい考えも伺えます。

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