内閣官房IT総合戦略室、内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室、総務省、厚生労働省、経済産業省は連名で、新型肺炎(COVID-19)対策のためのユーザーデータの提供を事業者に要請しました。
プラットフォーム事業者・移動通信事業者に提供を要請するユーザーデータの内容は、地域での人流把握やクラスター早期発見等の感染拡大防止に資するものとされており、一例として、ユーザーの移動やサービス利用履歴を統計的に集計・解析したデータが挙げられています。日経報道によれば「発熱」「症状」といった検索ワードが増えている地域を特定するとのこと。
あくまで法令上の個人情報には該当しない統計情報のデータに限るとし、追加のデータ提供を要請する際にも、個人情報の保護に関する法律など関係法令を踏まえるとのこと。
データは新型肺炎拡大防止の目的に限り利用し、該当部署は取り組みが終了次第速やかに消去。本要請内容は個人情報保護委員会と調整済み。
データで把握することにより、外出自粛要請等の社会的距離確保施策の実効性の検証、クラスター対策として実施した施策の実効性の検証、今後実施するクラスター対策の精度向上が可能になり、効果的な対策の実施が期待されています。
既に欧州でも、新型肺炎感染者を追跡するため携帯通信キャリアの収集したユーザー位置情報を政府と共有する動きがあります。これはデータに匿名化を施した上で行い、欧州のプライバシー保護のための一般データ保護規則(GDPR)に抵触しない形を取っています。今回の日本政府の動きはこれに倣ったものと言えます。