「パラレルマーケット」に見るVR展示会の変化とは? すまほん!!

 2021年9月4日(土曜日)から9月12日(日曜日)まで、オンラインコミュニケーションSNS「VRChat」上にて展示会イベント「パラレルマーケット(パラケット)」が開催されています。

 このイベントは特定企業ではなくVRChatユーザー有志による開催なのが特徴です。40を超える出展ブースを始めとして、会場各所に協力ユーザー達の等身大看板が立ち並ぶ様相を見せています。

 この記事では、パラレルマーケットそのものの簡単な紹介と見どころをお届け致します。

夜の彩り冴え渡る会場「エリアルガーデン」

 パラレルマーケットの会場はエリアルガーデンと呼ばれる一つのWorldを、上下2つの層に移動可能エリアを区切った形で行われます。赤の絵柄である「Diamond」と「Heart」は上層、「Spade」と「Club」が下層の展示会場となっています。

 もちろん各会場で出展ブースの内容は異なるため、4会場全部を見て回るのがオススメです。

 会場全体は産業革命以降の欧州の様な、石造りとレンガの建物が立ち並びモノレールが走るすり鉢状の塔の様な構造となっています。

多くの一般出展者と協賛企業

 一般参加者のブース数は42と、この手の展示会イベントではかなりの数。小物からアバターまで様々な出展物にあふれています。

 また展示アバターに関してもペデスタル(試着可能なシステム)が搭載されている物が多く、その点で言うならば大規模展示イベントにも引けを取らないと言えるでしょう。

 今回のイベントについては、一般ユーザー発起のイベントでありながらも協賛企業の数の多さも特徴の一つです。

 プラモデルで有名な株式会社 壽屋をはじめモバイルバッテリーブランドのCheeroを擁するティ・アール・エイ 株式会社、高品質なキーボードブランドHHKBを持つ株式会社 PFU、フルトラッキング向けデバイスのHaritoraX開発協力企業のShiftallなど合計9社が協賛しています。

あのコトブキヤ!

みなさんご存知のCheero

全身動作投影「フルトラ」の民主化を掲げる希望の星、格安トラッカー ハリトラックスのShiftall

 一般ユーザーが立ち上げたVRChat内のイベントには徐々にではあるものの協賛企業がつく流れが出来ている為、このイベントも一つの機会として企業が積極的に関わる流れが出来て欲しい所であります。

コミュニティを前面に推した構成に

 これまで企業主体のVRChat展示会イベントでは、一般ユーザーが立ち上げた団体やコミュニティ、イベントなどはポスターという形で存在をアピールしてきましたが、パラレルマーケットでは、多数の「パラケットアンバサダー」や協力コミュニティを会場中に配するという形でその宣伝を行うという非常に珍しい形式を取っています。

 まずパラケットアンバサダーとして選ばれたユーザーや協力コミュニティ所属の参加者の等身大ポップを至る所に設置。

 次に会場内の街頭や建物に隣接する看板や旗などに、協力コミュニティのロゴを目立つ位置で掲載。

 最後に会場奥の協力者を明記したボード内にも名前を記載するという三段構えで認知の向上を図っています。

 ここまでユーザーや団体を前面に押し出した展示会イベントというのは無く、それ故にこのイベントは純粋な展示会というよりむしろユーザーに団体を知ってもらう為の機会を提供する場として機能していると言えるでしょう。

新たな広告塔となる気運が生まれるか

 今回協賛企業からブースの出展がなされ、また一般ユーザーのコミュニティの宣伝が広く行われているパラレルマーケットはある種非常に特殊な展示会となっています。

 これまでVRChat上で行われている展示会で協賛企業がつくことはあったとしても、ブースの出展まで行われたのはバーチャルマーケットの様な企業主導の展示会が中心でした。

 それが今回一般ユーザー達が主導する展示会において、協賛企業が広告を掲載するだけではなく実際にブースを出展するという流れに至ったのは企業側がこういった展示会に対し一定の価値があると判断した結果であると言えます。

画像はクロスマーケット。協賛企業の顔ぶれは似ているがあくまで看板展示やキャンペーン等に留まっていた。パラレルマーケットではより企業が踏み込んでブースまで出展している点が異なる。それでいてユーザーコミュニティの色が強い

 また先述した通り、今回の展示会では協力コミュニティとして参加した団体に対して明確に主催者側が積極的な宣伝を行う形となりました。

 これは今までの展示会イベントが、出資・協賛するユーザー個人に対して名前をリストアップし掲載していた取り組みを発展的に前進させたものと言えます。

 支援したコミュニティを積極的に宣伝する事で、コミュニティ側に宣伝効果があるのはもちろんの事、展示会主催者側もコミュニティ参加者という複数のユーザーに対して好印象を与える形でイベントを認知させられる恩恵があります。

 つまるところ、より多くのユーザーやコミュニティにプラスの効果がある形でVRの展示会イベントを開催出来れば、それが一般ユーザー主導であったとしても企業側は協賛の手を十分に差し伸べる可能性があることを力強く証明しています。

 既存の展示会の多くがブース出展者から参加者に向けての単方向のアプローチであったとするならば、今回のこの展示会は協賛コミュニティと協賛者、企業、一般出展者、参加者という幾つもの立場の存在が複雑な相乗効果を生み出す双方向のアプローチと言えるのではないでしょうか?

 仮想空間における相互交流の土台「メタバース(Meta=超とUniverse=宇宙を組み合わせた造語、多人数が参加して自由に行動できる仮想空間のこと)」が目指す一つのアプローチとしても、今回のイベントは注目に値すると言えるでしょう。さらなるイベントの発展を期待します。

ネットゲームではワールドを作るのは基本的に運営開発だが、VRChatではユーザーが各ワールドを作ることすらできる

 これまでのVRChatの展示イベントとは少し違う、独特な雰囲気を纏ったパラレルマーケットは2021年9月12日(日曜日)まで開催中です。是非足を運んでみてはいかがでしょうか。