中国電子報によれば、11月19日、重慶元時空企業管理有限公司が設立されました。同社はOPPO広東移動通信有限公司の100%子会社。登記情報によると、事業目的は設計監理、図文設計製作、技術サービス、技術開発、技術コンサルタント、技術移転、技術普及等。
「メタバース」の入口となる技術として、各大企業が次々とVR/ARに資本を投入、メタバースの「入場券」を争っているところだといいます。
スマートフォン大手のOPPOは、どのような形で「メタバース」に進出しようとしているのでしょうか。
始動から2年、ついに本格展開
OPPOは2019年の未来科技大会で初のAR眼鏡を発表、昨年は二代目となるOPPO AR眼鏡をリリースしたものの、まだまだ概念の段階で、発売はされていませんでした。今年4月、OPPOは正式に「OPPO AR開発者共創計画」を発動。中国国内の優秀なAR開発チームを発掘、OPPO AR製品の潜在力を拡張させ、以てOPPO ARコンテンツ・エコシステムの発展を促進するのが狙い。
また、知的財産権を専門とする德高行グローバル特許データベースによると、OPPOは既に40項目のVR眼鏡関連特許を取得しているとのこと。
試作品の発表からプロジェクト正式始動から約2年。これを早いと見るべきかどうかはわかりませんが、コンテンツ・エコシステムの展開に重点を置いた戦略には、本気を感じさせるものがあります。
ガジェットメーカーが挙って参戦
ただし、メタバースを展開しているスマートガジェットメーカーはOPPOだけではなく、現状として、華為、シャオミ、レノボ、HTC、サムスン、ソニー、Meta、グーグル、アップルといった大手ブランドは、いずれも既に、あるいはいままさに関連商品のリリースをしようとしていると指摘します。
数日前の天風証券報道によると、アップル社は来年第4四半期にARヘッドマウントディスプレイをリリースするとのこと。ディスクトップ級M1チップと、ソニー4K Mirco OLEDディスプレイを搭載、10年以内にiPhoneに取って代わることを目標にし、予定出荷台数は10億台以上。
スマホのグローバルブランドで、メタバースをやろうとしていないところを探すほうが難しいような、正に百花繚乱の様相。そういえばHTCもスマホメーカーだったなと、久々に思い出しました。
5年間でVRは5倍、ARは70倍の伸びを予測
台湾の先端産業市場調査会社TrendForceは中国電子報の取材に、「消費市場から見ると、業界内ではソフトウェアでハードウェアを補う作戦が市場拡大の手段であり、低単価高規格のVR/AR製品が市場浸透率を高めると見られている。2022年の全世界VR/AR端末出荷台数は1202万台、対前年比成長率26.4%と見込まれている」
「IDCの予測も同様にとても楽観的で、VRヘッドマウント端末の出荷台数は2020年の500万台から2025年には2800万台以上に増加すると予測している。ARヘッドマウント端末の出荷台数予測はより顕著に伸びるとされており、2020年の30万台から2025年には2100万台になると予測されている」と答えています。
PC・スマホを始めとした多くのハードウェアが「頭打ち」あるいは「尻すぼみ」の中、すごい数字ですね。大手メーカーが挙って押し寄せているのも頷けます。
5年前の「概念」が現実の商品に
ある業界関係者は、「『メタバース』ブームの中で、多くの技術力のある企業はいずれもバーチャルリアリティを全面展開しており、メタバース・プラットフォームの中での新たなポジションを築こうとしている」と指摘しているとのこと。
北京の大手電子機器部品メーカー・利亜徳集団首席運営官姜毅は「中国電子報」の取材に対し、「現在のこれらの技術は、5年前と比べて驚天動地の変化が発生している。ハードからソフトまで、今の技術はいずれもそれまで概念上の存在だったものを実現している。同時に、人々の仮想現実に対する意識も理性的になり、関連するニーズも明確になっており、我々が技術によってそれらのニーズを満たすのに有利な状況となっている」と述べています。
まとめ
このほど、OPPOが本腰を入れて展開することになった、メタバース分野。「5年前は概念に過ぎなかったものが、ハードとソフトの発展により現実に!」なんて大きな変化、最近のガジェットではあまりなかったことなので、ワクワクしますね。
一方、この記事で名前が挙がった日本メーカーはソニーだけなのは、寂しい限り。確かに、ほかにワクワクするようなメタバース関連製品を出してくれそうなメーカーの名前も思い浮かびません。
モノも作れないのに協会だけ作ってアガリをとろうとの姿勢、「こういうとこやぞ」とガッカリします。