筆者は様々な取材を行っており、一眼カメラを用いて写真を撮影しています。
ところがとある取材での写真がまるごと消えてしまいました。
悲劇はNASに移す際に起きました。写真をコピーしようとしたところ、NAS側の容量不足で移せず。そこでNAS内のデータを、NASに繋げた外付けHDDに移動中、カメラ側の必要な写真データを「切り取り」でNASに移動させてしまい、そこで問題が発生、必要なデータが消滅。
通常、筆者の使っているSynology NASにはゴミ箱に相当するRecycleフォルダーがあり、削除したファイルもある程度残るはずではあるものの、容量不足もあってか上手く保存しきれていませんでした。
ミスが重なり、不幸にも取材成果が消えてしまいました。
絶叫しながらGoogleの検索欄に「sdカード 消えた 復旧」などのキーワードで打ち込むと、ほぼ復旧サービス業者の広告と、SEOで業者が表示させている粗製乱造の宣伝ページだらけ。終わりゆくGoogle検索の惨状を改めて実感させられます。
まず前提知識として。これはSDカード以外のストレージでもそうですが、保存されているデータというのは全てすぐに消えてなくなるわけではありません。データを捨てるとき、まず削除されるのは、そのデータをどこに格納しているのかという番地の情報です。実体のデータ自体は残っており、その領域にほかのデータが上書きされた時、初めてデータが消えるのです。このため消えたばかりのファイルならまだ復旧できる可能性があるのです。
この辺りの基礎的な知識がざっくりとでも無い人は「消えたデータをまた元に戻すなんて、なんだか凄い有料ソフト、有料サービスが必須なんじゃないか」と思うところかもしれませんが、前述したように必ずしもそうとは限りません。何せ、SDカードのメーカー自ら無料の復旧ソフトを自ら出しているぐらいなのです。それがTranscendの「RecoveRx」です。
別にTranscend以外のSDカードだろうが普通に使えます。256GBのSDカードでは復旧に2時間程度かかりました。
復旧できたファイルは、過去に消した写真もいくらか残っていました。JPGはサムネイルだったりして完全ではなかったのですが、RAWは破損もなく完璧に復旧できました。
皆さんもデータが消えた時は焦らず、Googleをハックした業者に惑わされずに冷静に対処しましょう。そもそも消えないようなデータの保存工程やバックアップ体制を平時から確保しておきましょう。