Googleより発売されたPixel Tabletを長期使ってみました。正直、全くもって期待外れでした。
Googleはこれをタブレットと謳いつつ、ドックに取り付ければハブモードになると紹介、「次世代のオーディオ」と喧伝しています。
しかし実態は、企画倒れの中途半端な失敗作です。それぞれ分けて紹介します。
Pixel Tabletの不協和音
タブレットモード
ここで具体的にドックからはずしたタブレットの状態を指します。このPixel Tabletですが、Pixelらしさは微塵も感じません。過去、Pixelの名をつけたタブレットはPixel C(Android搭載)、Pixel Slate(ChromeOS搭載)と発売してきました。これらの特徴として「しっかりクリエイティブが行えるタブレット」を売りにしていました。そのためオプションでペンやキーボードカバーなども用意され、しっかり、どこでも使えるタブレットでした。
しかしPixle Tabletはどうでしょうか。公式のプロモーション動画を見ても分かる通り家の中で使うデバイス。外に持ち出して作業をするタブレットではないのです。
しかしタブレットとして使うにはソフトウェアには不満が残ります。アプリは全画面表示もできない、せっかくの大画面を半分近く黒で塗りつぶし。しかも強制的に大画面にできる処理もなく、黒枠を押すと左右に寄せれるだけの仕様。なのでお気に入りのアプリをインストールして使おうと思ってもこのような画面構成で表示される可能性があるわけです。
また外観もPixelシリーズと並べても明らかに異質なのがわかりますでしょうか。昨今のGoogle Pixelはフレームはステンレスorアルミ、背面はガラス。安価なPixel Watchも似たような加工が施さえれています。
それに対してまるで陶器のような緑の背面、スピーカーもファブリックで「Pixel」らしからぬ見た目。これは明らかにNestシリーズの製品であるべき外観です。
ハブモード
タブレットとしていまいちならハブモードを主体に使うなら問題ないのではないか?実際、筆者はNest Hub Maxの置き換えでPixel Tabletを購入。そういう人は他にも少なくないでしょう。
しかし、肝心のハブモードが前モデルから大きく劣化しているので、驚きました。ガッツリNest Hubシリーズのような操作感や使い勝手を期待していましたが、これらは一切なし。ただのAndroidタブレットをロック画面だけハブモードとして呼んでいるようなものです。筆者が設定した壁紙はきちんと選択されているものの、Pixel Tabletはこれすら反映できません。
サウンドは擁護できない酷い出来です。Googleは本製品のサウンドを「次世代のオーディオを実現するスピーカー」と表現してますが、Google社員は年寄りが増えて高音域が聞こえなくなったのか?と思ってしまうほど、とくに高音域が大きく劣化しています。4年前に出したGoogle Nest Hub Maxの方が音質で圧倒的に優れています。
改めて説明すると、Pixel Tabletのドックはスピーカーが搭載されており、このドックにPixel Tabletを装着するとで音をドックから再生することができます。が、このドックはまさかのモノラル仕様。このドックのために値段が大きく吊り上げられているのに……。
一方、4年前のGoogle Nest Hub Maxはフロントデュアルスピーカーに背面にはサブウーファー搭載で、こだわりのサウンド。筆者はNest Hubのスピーカーには不満がありましたが、Nest Hub Maxは本当に最高でした。
Pixel Tabletをハブを外してタブレット側のスピーカーを使うと低音域がスカスカ。かといってドックは低音域重視でバランスが最悪です。もしハブとタブレット側の両方から音を出して調整すれば、きっとバランスよく聞こえるようにすることも可能ではないかと思います。しかし1年前に製品がチラ見せされて経過した今でも、この辺りを変更するアップデートは来ていません。こんなものを「次世代のオーディオ」と呼んだらGoogleのブランドの面汚しだと思います。
また、指示は声を出しての操作に対応するものの、Nest HubやNest Hub Maxで使えたハンドジェスチャーやクイックジェスチャーは非対応。
そのかわりと言ってはなんですが、OK Googleのウェイクワードを省略できる機能が一部で利用可能です。タイマーを起動時に「OK Google タイマーを止めて」「OK Google アラームを止めて」と言わずとも「ストップ」と発声するだけで止めてくれます。
なお前述のアプリ非対応問題は、タブレットモードはまだ困った時は縦に向けて使うことで凌げますが、本機はホルダー設置は横向きだけ。期待していた体験は最悪と言えます。
結論
何が言いたいかと言うと、これはPixelでもNest Hubでもない、中途半端なデバイス。着眼点は悪くありませんでしたが、もっと本気で振り切ってほしかったです。
それでいて価格は約8万。正直これを買うのであればNest Hub Maxと適当なAndroidタブレットを買ったほうがマシで、お財布にも優しいです。正直、使い道が見いだせずほぼiPadを使うことになっていました。次回作はまともに作ることを期待します。