物理QWERTY端末、新時代に突入?
E-Inkディスプレイ(電子ペーパー)に物理QWERTYキーボードという、これまでに類を見ない組み合わせのAndroidスマホ「Minimal Phone」の開発が進んでいるようです。開発元はThe Minimal Company社(CEO:Andre Youkhna氏)。すでに公式HPも公開されているほか、アメリカの掲示板型ソーシャルサイトReddit上でも、ユーザーの質問に回答する形で開発者自身が情報を提供しています。
開発者によればすでにデザインは完成しており、2月第一週にもクラウドファンディングを開始する予定とのこと。小売価格は400ドルで、クラファン限定の早期割引も予定。
これまでミニマリスト向けとして開発されてきたデバイスとして、Punkt.社の「Punkt.MP02」、light社の「Light Phone」、Mudita社の「Mudita Pure」等があります。そのいずれもセキュリティ面とシンプルさを重視するあまり、使える機能がかなりそぎ落とされているのが難点でした。コミュニケーションアプリの定番にもなっているLINEはもちろん使えませんし、後から任意のアプリをインストールすることもできません。
Minimal Phoneは、シンプルな使い勝手と高いセキュリティを確保しながらも、Googleプレイストアからのアプリインストールにもしっかり対応するとのこと。開発者自身も「Light PhoneやMuditaなどの競合他社とは一線を画しています」とコメントしています。SpotifyやUber、Whatsappといったアプリを実際に導入している画面も確認できました。
本体サイズは幅72×高さ120×厚さ10mmと、昨今のスマートフォンとしてはかなり小型。同じような形状で思い浮かぶ「BlackBerry Passport」のサイズが幅90.3×高さ128×厚さ9.3mmだったので、それよりもさらに一回り小さいことになります。
そのほか、正式なスペック表は公開されていないものの、公式HPやReddit上から読み取れる主要な情報としては以下の通り。
- バッテリー容量4000mAh(最大4日間駆動)
- 静電容量式タッチディスプレイ(ライト搭載で暗所もOK)
- イヤホンジャック搭載
- カスタムOS「MnmlOS」搭載(少なくとも5年のサポート)
- 5G対応予定
- グローバル対応予定
- Google対応・非対応を任意選択可能
- 前後共にカメラを搭載
筆者は「Punkt.MP02」を外出用のメイン端末として2年ほど使用していますが、必要に応じて他端末をテザリングで繋がらなければいけないこと・バッテリー持ちが悪いこと・カメラがないこと等々…素晴らしい機器である一方で、不満に感じている点も多々あります。Minimal Phoneは、これらの弱点を軒並み解消してくれるプロダクトとして非常に魅力的。
なお、Minimal Phoneが製品化するためには、少なくとも3,000ユニット分の資金調達に成功する必要があるとしています。これまでに実績のない新会社のプロジェクトであり、失敗のリスクも十分ある点には注意が必要です。それでも本製品に少しでも興味がある人は、公式HPより「ウェイティングリスト」に登録し、クラウドファンディングの開始を待ちましょう。
一時は完全に潰えたかと思われた物理QWERTYですが、先日にはiPhone用ケース一体型QWERTYキーボードが発表されたりと、一定のファンがいることから形を変えつつ今なお生き永らえています。物理QWERTY端末期待の星として、Minimal Phoneプロジェクトにはぜひとも成功してほしいものです。