現在、自民党の議員連盟「携帯電話問題懇話会」は、携帯電話・スマートフォンへの課税を検討し、秋頃に提言をまとめる方針です。
そんな議員連盟の会長・中山泰秀衆議院議員は、沖縄ヘッドラインの2013年12月号掲載のインタビューにて、「携帯電話税」についての考えを述べていました。
税制調査会において、自動車取得税を下げるため、軽自動車税の増税で対応するとの意見が強まるなか、中山議員は、バーターとして携帯電話に課税することを提言したそうです。(携帯電話とは異なり)自動車産業は先細りであり、ガソリン税などもあるから増税しない方がいいというもの。
とはいえ、既に携帯電話・スマートフォンの出荷台数の伸びは鈍化を見せています。課税することで、携帯端末の販売がさらに萎縮し、結果的に通信業界が先細りにならないかと考えてしまうところ。
また、中山議員は、道路にも税金が掛かっている現状と対比し、「電波って資源なんで有限なんです。資源を利活用しているという共有の思いを、携帯を買って持っている我々が携帯1台につき、例えば毎月100円でもいいし1000円でもいい。携帯に税金を課しましょうということなんです」と訴えています。1台あたりは端末数なのか回線数なのか不明ですが、毎月1000円ともなれば、年間の家庭の負担増は相当なものとなります。
私は、個人的にはこのよくわからない「共有の思い」からお金を払いたいとは感じません。なぜなら総務省は、「電波使用料」という名目で毎年約500億円以上の料金を、移動体通信事業者(携帯会社)から徴収しています。私達ユーザーも毎月の料金を事業者に支払うことで、電波という資源の活用のために、既に間接的にお金を納めていることになるからです。
実は最近、総務省は「携帯ユーザー間の利用料金格差の是正」を名目に、この電波使用料を引き下げました。移動体通信事業者が総務省に納めるお金を減らすことで、それを各社のユーザーに値下げという形で還元させる、という意図でした。
しかしながら実際に大手携帯3社が行おうとしているのは、基本料金2700円への一斉値上げ。つまり通話ヘビーユーザーを、全体の一般ユーザーが負担する、利用料金に格差のある構造です。総務省からすれば、事業者から徴収するお金を減らしてユーザーに還元されているはず、と思いたいところはありますが、実態はそうはなっておらず、ユーザーはこれから値上げと課税のダブルパンチを食らう可能性があります。(そもそも大手メディアがこぞって『値下げ』と報じ、さらに検討中の完全通話定額プランのリーク合戦を行うことで、大手3社の横並びを促進した面もある)
そしてもし、1台数百円の携帯電話税が課税された場合、ユーザーは値上げと税金に苦しみ、携帯端末の販売は萎縮し、有力な課税対象となるはずの通信業界は衰退し、国内家電メーカーも割を食うという「地獄絵図」が待っていないとも言い切れません。自動車産業と同じく、未来ある通信業界とユーザーのことも大事にして欲しいと願うばかりです。