ついにXPERIA Pが手元に届いた。あまりの物欲に耐えかねて税関に電話し、空港まで直接取りに行くほど、この日を待ち焦がれていたのだ。
XPERIA Pの輸入から使用感までまとめることにした。後に続くユーザーの一助となれば幸いである。
XPERIA Pが届くまで
16日に発送されたXPERIA Pは、EMSの荷物追跡によると、17日には空港に到着していた。18日に税関の処理が行われるわけだが、実際の配送は通関を終えた翌日、つまり19日となる予定だった。
ただし例外があり、「自分で取りに行くから」と電話をしておけば、通関の処理が早まるのだ。税関に直接ではなく、空港の郵便局に電話するのがミソだ。一刻も早く手に取りたくて、空港まで行く余裕があるならオススメの手だ。私は18日に電話をして直接電車で赴くことにした。
中部国際空港(=セントレア)と金山駅の間は名鉄常滑線にミュースカイが運行しており、帰りはミューチケット(+350円)で全席指定の席で座れたので、ゆったりとXPERIA Pの開封を楽しむことができた
XPERIA S, U, Pの3種からなるNXTシリーズの名がパッケージに記されている。
箱にはSONYロゴが記され、昨年のソニーエリクソンのXPERIAシリーズとは打って変わった化粧箱となっている。購入は1shopmobileだったが、保護シートやSmartTagsは付属していなかった。
文句なしに美しいハードウェア
簡単な初期設定は名古屋・栄のラシックにあるスマートフォンカフェで行った。その際にガジェットショットによりデジタル一眼で撮影してもらった。
もはや美しいの一言。輸入した甲斐は全部そこに集約されると言ってもいいかもしれない。
端子やイヤホンジャックに無駄な蓋がない、フローティングプリズムがアンテナとセンサーを兼ねているなど、実用性を兼ね備えたデザインであることがわかる。非常に所有欲の満たされる一台だ。
また、アルミニウムユニボディながらも重量は想像以上に軽い。120g程度で扱いやすい。しかしながらカメラは裏面照射型で画質も非常によく、Xperia rayのような凝縮された高機能と高級感を存分に堪能できる、適度にズッシリとした独特の感触だ。
ディスプレイは「個性的」
XPERIA Uと並べると、若干大きい。またXPERIA Pのディスプレイが、周囲のベゼルとの境目がわかりづらいようになっていることが確認できた。WhiteMagicのディスプレイだが、クリアブラックパネルのような特性も持ち合わせているのだろう。
ただ気になるのは、全体的に色彩が若干黄色っぽい印象を受ける。色温度が低いのだろう。写真を見るのはむしろ綺麗だと思うが、白色を基調としたウェブのブラウジング時には気にしてしまう。黄色やオレンジの発色に違和感を覚えるシーンもあった。
国内モデルもSONY製のディスプレイは個体差で色温度が違うといったことはこれまでもあったため、色温度の低くないXPERIA Pの個体もあるのかもしれないが、サンプルが少ないのため不明だ。
ただ屋外における視認性は非常によい。それでいて消費電力が低いとなるのは嬉しいところだ。
メリットとデメリットのはっきりしたディスプレイであるため、よく注意して輸入する必要がある。もし改造の手段が確立されてくれば、色彩を変更可能なカスタムカーネルや、フォントの変更などもできるようになるだろう。
こうして考えても、箱出しで使うには妥協が必要であることから、やはり敷居は高いと痛感させられる。
NXやUと比べても、自動輝度調節と省エネモードが利用可能となっているのは見逃せないポイントだろう。
バッテリー
省電力を謳ってはいるが、過度な期待は禁物だ。
もちろん4インチディスプレイで1200mAhにしては頑張っているものの、慣らし充電が終わっていないせいもあるかもしれないが、100%から80%への下降がやや早い、残量6%ぐらいになると電源オフへ移行するなどの点が気になった。
充電に関しては短時間で済むので、こまめに充電する環境があれば困らないかもしれない。
わからない人は読み飛ばして下さい
電話アプリから*#*#7378423#*#*にダイヤルすると、サービスモードに入れるのがXperiaシリーズだ。LT22iも例に漏れず、Service infoからConfigurationを見ると、対応周波数を確認できる。
XPERIA P LT22iがUMTS_BC1, UMTS_BC5に対応していることがわかる。事実として、UMTS_BC1が日本ではNTT docomo, SoftBankの2GHz帯が相当する。UMTS_BC6がFOMAプラスエリアに相当し、これはXPERIA Pにはデフォルトでは対応していない。7月から始まるSoftBankのプラチナバンドであるUMTS_BC8には対応している。
またこれも事実として、UMTS_BC5は上り824〜849MHz/下り869〜894MHzであり、上り830〜840MHz/下り875〜885MHzのUMTS_BC6を内包しているため、UMTS_BC5に対応しているということは、すなわちハードウェア的にUMTS_BC6に対応していることになる。
昨年のXPERIAグローバルモデルの型番の末尾aがiに統合されており、香港などで輸入しようとも、北米のUMTS_BC5にハード的には対応している。これも、ハック次第ということになるだろう。
気になるデスグリップ以上の関心事である。このあたり、現状のPは正直いろんな意味でお察し下さいである。
総評:玄人向け
こう書いていくと不満点は多いが、多くは長所とのトレードオフか、ハックで解決可能な点である。
また、ハードウェアの美しさは唯一無二。アルミを使った高級感あるボディで、赤色となると、SONYが10年前に販売していたクリエT600CやTH55の限定カラーを彷彿する。そこにピンときたモバイラーは問答無用に輸入せざるを得ない。
普段から私がスマートフォンに求めているのはワンセグでもスペックでもない。カメラ、音質、そして(質感と実用性を伴う)デザインだ。それらを満たしているXPERIA Pは、不満点を噛み締めても、買ってよかったと心の底から思える製品だ。
Pの路線をSONYは継続的にリリースすべきだし、各社からPに刺激を受けた機種が登場することを期待したい。
購入にあたって
通信にあたってはグレーである以上サポートは期待できない。購入者から直接聞いたり、自分で調べるしかないので、それを面倒だと感じるユーザーは輸入すべきではない。修理に関しても現地のSONYストアなどに頼る必要が出てくる。
もしそうした敷居の高さを踏まえて輸入するのであれば、expansysや1shopmobileを利用するのがいいだろう。
国内で買うのであれば、Amazonやpocketgamesから買うこともできる。名古屋であればSIMフリーiPhoneを販売している大須のデラスマに赤色のXPERIA Pが1台だけ入荷しているので、今すぐ買いたい人にはいいだろう。
転んでも泣かない玄人に輸入してほしい、XPERIA Pはそんな逸品だ。