2011年、最高の機種は何だっただろうか、そう考えると、僕はXperia rayに尽きると思う。
何よりも、小さい
近年は特に大画面化の著しいスマートフォンだが、あえて3.3インチのディスプレイを採用し、わずか100gの重量を実現した、コンパクトな筐体のXperia rayは、ワンハンドオペレーションも容易で、通話もしやすく本当に使いやすい機種だった。
直接競合するような機種は、P-01Dのような残念な機種しか思い付かない。画一化しがちな日本の携帯電話市場における紅一点、それがXperia rayだった。
それでいて、美しい
漆塗りを彷彿する塗装、周囲のベゼルに溶け込むクリアブラックパネルなど、素材の選定から高度に世界観の統一されたXperia rayのデザインに対抗し得る機種が他にあっただろうか。もしあるとすれば、iPhoneぐらいしか無いのではないか。
眺めていても美しい。所有する喜びを与えてくれる、そんな機種だが、rayはそれだけでは終わらない。
凝縮された高機能
2011年のフラッグシップモデル Xperia arcと同等の性能。カメラは暗所に強く美しい写真の撮れるExmor Rで、性能やバッテリー容量にも妥協がない。
美しい、そして小さいという新しい価値を創造しつつも、実用的な性能を兼ね備えていたのだ。
しかし実際の売れ行きは
Xperia rayは女性に向けて訴求すべく、国内版では黒色を販売しないという判断が取られた。
サムスンはGALAXY Noteの国内販売において、大画面を求めている女性が多いと分析していることとは対照的である。こうした男性に人気の色を排除するという判断により、やや敬遠してしまった男性ユーザーは少なくない。
コアなユーザーの間では、海外から黒色の裏蓋を輸入するなどの光景が見られた。
後継機に求めるべきもの
iPhoneやXPERIAに共通する魅力は、性別によって利用者を選ばないユニセックスさにこそあるはずだ。
しかしXperia rayはマーケティング戦略の失策により男性ユーザーから失望され、日本独自機能の欠如が、コンパクトな持ちやすさを購入動機とする女性ユーザーを踏みとどまらせるには十分であることも明らかにした。
現在、Xperia rayの後継機とされているSO-05D XPERIA SX(開発コード:Komachi)が既にリークされているが、海外メーカー各社が日本独自機能、そしてLTEに対応し始めている現状からすると、これらは欠かせない要素となってくるはずだ。特に3Gの輻輳する都心部等では、Xi対応を望む声は強い。
また、ワンハンドオペレーションを求める声は男性ユーザーにも多い。3.7インチでコンパクトなXPERIA SXは、女性だけでなく、そうしたユーザーの受け皿ともなり得るはずだ。
使ってみなければ、このコンパクトな筐体の良さはわからない。消費者のrayへの購入動機を殺していたカラバリ展開、日本市場のローカライズへの妥協は許されない。大画面化に画一化する日本市場に一石を投じるrayの正統後継機の使命は大きいはずだ。