これ、本気で初心者なんかに売れるとでも?
実は以前、定価3万円のdocomo P-01Dを発売直後に買増特価(=機種変更)5000円で入手していたものの、「世界でスマホを1500万台売る」と豪語しているパナソニックに期待していたものとは、残念ながら程遠い出来でした。
Android2.3採用で赤外線、ワンセグを備え、サイズも小さくて、P-01Dの愛称である「MyFit」にたがわぬ持ちやすさ。カラーもポップで、ボタン配置も悪くない。電話もしやすく、まさにちょうどいいサイズのスマートフォン。
こう書くとなんだか良さげに見えるのだけれど、実際はそうでもない。
まず、プリインストールアプリが多すぎます。1GBの内蔵メモリのうち、ほとんどが占有されており、ユーザー領域はわずかに250MB。買った段階でこれなので、モリモリ容量を浪費していくspモードメールのキャッシュがたまれば、50MBや100MBを持って行かれるなんてザラ。GoogleMapやその他のプリインアプリもかなりの容量を消費するのが常。
というわけで、普通に使うだけでもキツイのに、さらにプリインストールのアプリの出来が酷かったりする。
ホームアプリはガックガク、しかもやたら容量使ってるアプリたちは使い物にならない。
使い物にならない、と断じているだけでは買ったのが勿体無いので、とりあえずTimescapeのパクリ電話やニュース、ソーシャルネットワークサービスを統合する標準アプリを使って見ることに。容量食ってるからにはマトモに動くんでしょうね?
マスコットキャラクターに名前を付けろと指示されるので、試しに「すまほん」と命名することに。
なんだか「死体遺棄」「NATO軍誤爆」とか出てきて、何事かと思ってしまう。動作も微妙だし、ソニエリの方がうまいことやってるなー、という印象。これならまだauのJibeの方がいい、なんて。
プリインだけでなく、動作も全体的によくはないので、念のため、NenaMark2というベンチマークアプリで動作テストを行なってみたが、なんとフリーズしてベンチマークテストができない。
もう泣く泣くベンチマークアプリを消して、プリインアプリにかわるユーティリティ系のアプリを当然入れるわけですが、これだけでもみるみる内蔵メモリの容量が減っていってしまう。ランチャー(LauncherPro)、ウィジェット系、ATOK、ブラウザを入れたぐらいなんだけどなあ。
これでは、とても初心者には薦められそうもない。実は003PやP-07Cも同様に内蔵メモリのユーザーエリアが少ない。一般人の想像する、アプリを存分に楽しむというスタイルは到底実現できそうもない。マイフィット、マイファーストスマートフォンとして売り出しているパナソニック製の一連の製品は、ちょっと初心者にはワーストバイと言えるのではないだろうか。
全体的な動きや素のAndroidそのままのUIは、まるで中華Androidのよう。しかしながら、ワンセグと赤外線は備えている。なので、発想を変えて、これは意外にガジェットマニア向けなんじゃないだろうかと思っている。
不要なプリインストールアプリだらけなので、これらをごっそり削除するためにはroot化が必要だが、Xperia用のツールを使ってroot化が可能。素のAndroidそのままなので、root化対策さえメーカーが放棄している。SHARPのガラスマなら、熟練の開発者が頑張ってハックして、発売してから非常に時間が経過してから、やっと穴が見つかるというレベルなのに、パナソニックは一貫して作り込みを放棄しているのがありがたい。
ガッツリカスタマイズもできるが、ちゃんとワンセグと赤外線が付いているのがいい。同じくコンパクトで、非常に通話しやすいと好評のXperia rayをメインの電話機として使っているヘビーユーザーも多いが、P-01Dは赤外線があるので安心してアドレス交換が可能。電話として使いやすいようカスタマイズしたP-01Dをメインとして使い、もう一台、ワンセグも赤外線もない海外メーカー製の快適な大画面のスマートフォンを持つ、というスタイルが非常にマッチする。
さらにこのポップな4色のカラー展開だが、それぞれの色の部分がそのまま蓋となっている。そのため、他の色のP-01Dを買ったら、蓋を交換さえしてしまえば、実質的に機体カラーを丸ごと変更できてしまうという楽しいポイントは見逃せない。
今後、どう考えても在庫過多であろうP-01Dは、買増特価で叩き売られることは簡単に予想がつく。裏蓋のためだけに4色全て買い揃えて、その日の気分によって蓋をはめて別のカラーにしてしまう、というガジェッターがヨダレを垂らすような豪華な使い方が可能となってくる。
そう考えると、root上等、買増特価大好きなガジェットマニアにはむしろ最高の機種だと思えてくる。
こんな面白い機種を出してくれたパナソニックには、感謝の気持ちを捧げたい。もちろん、捧げられているうちは、パナソニックの海外進出は夢のまた夢としか思えないのだが。