子供にスマホをどう与える論争、キッズスマホで終止符を!
子供にスマートフォンを与える際にどのような規則を設けるべきか?
最近、アメリカのマサチューセッツ州で、母親が13歳の息子にiPhoneを買い与える際に、なんと18個もの約束を結んだことが話題となり、大きな反響と議論を呼びました。こうした約束の形は是か非か?今なら、こう答えられます。
「日本のキッズスマホがあれば、約束なんて1個もあればいいよ」
ドコモのいやらしさが功を奏した、強固なガード
ドコモと言えば、「spモードは障害が多い」だとか「端末の機能を削る」だとか、ネガティブなイメージが先行してしまう人もいるに違いません。
しかしこの2月1日発売の「スマートフォン for ジュニア SH-05E」は、ドコモだからこそ生まれた名機であると断言できます。
まるでSHARPの小型端末「IS05」のようなデザインですが、ベースモデルは「AQUOS PHONE si SH-01E」です。しかしドコモのキッズケータイのDNAを受け継ぎ、しっかりと側面に緊急防犯ブザーを備えています。ソフトにはSHARPの面影はあまりなく、Gmailなどの各種Googleサービスも去勢済み。ドコモがよく作り込んでいるなあと感じました。
「スマホは1日何時間まで!」「パスワードは私に教えること!」「Hなサイトは見ちゃダメ!」……こんな決まりを作ったところで、子供は見てないところで破るに決まってます。
しかしSH-05Eなら、子供に約束させるまでもなく誠実に履行させることが可能です。初期設定に従って親自身がパスワードを設定し、子供を制限することが前提の仕組みになっています。「spモードフィルター」によってアダルトサイトはもちろん、ソーシャルネットワークなどへのアクセスも細かく制限可能。利用時間数も親が設定可能で、時間を超えたら自動的に利用制限を発動することが可能です。
更にこの機種、後述する「スマホとしてあって然るべき機能」が無いため、spモードによるコントロールが非常に強固です。
ほんとにアプリがインストールできないの?
この機種をじっくり触ろうと思ったのは、アプリがインストールできないと聞いて、興味がわいたのがきっかけです。この機種、確かに「GooglePlay」が存在しません。
しかし、apk形式で普通にインストールしちゃえばいいんじゃないの?という疑問が浮かびました。
開発者モードが表示できちゃいました。キッズスマホにいらないような項目も出てきて結構穴だらけの気がしてきました。多分保護者パスワードの設定されてない展示機だからと思いますが。ためしに提供元不明アプリのインストールにチェックを入れます。
GooglePlayなどのapkファイルをブラウザから落としてみます。ところが…。
ダウンロードできません。これでは野良アプリは入れられませんね。しかしここで、自分が中学生の頃、学校のPCのフィルタリングを破るためにブラウザを入れ替えたなあ……というのを思い出しました。
ではBluetoothでGoogle PlayやChromeなどのapkを入れてしまえばいいのでは?というわけで早速送ってみました。
おお、これはいけるんじゃね?と思ったのですが、BT経由でもapkファイルは全部ダメでした。
ぐぬぬ、強固すぎる…。ならばWi-Fiでいけるか?と思うのですが、実はSH-05E、Wi-Fi機能自体が去勢されています。そこまでやるか?「スマホとしてあって然るべき機能」が無いのです。
たった500MB/月で通信制限が発動するプランと相性が悪い仕様じゃないか?と若干の疑問も残るものの、spモードによるフィルタリングを回避させないためにこういった仕様になっているのです。
あ、ならdマーケットなら色んな事ができるのでは?へえ、ドコモさん商売うまいなあ、ならdメニュー使うしかないね、と思いきや、「キッズ専用dメニュー」が表示され、学習用コンテンツしかない。これには降参するしかないです。
しかし、盲点でした。完全に。どうやらmicroSDカード経由ならapkファイルがインストールできるようです。あああ、そんなアナログな!
自分の触ったのは展示機ですから、保護者パスワードや各種利用制限は未設定ですので、そこから開発者メニューには入れるかどうかを制限出来るのだと思います。そこで提供元不明アプリのチェックを外しておけば入れられないと思います。(USB経由でADBとか使えるんだろうか?)
とはいえインストールされているアプリを親が一覧で確認、不要なアプリを稼働禁止する画面が存在するので、親がたまーにその項目を操作すればさらに安全そうですね。
正真正銘、ドコモの発明
というわけで親がこの機種について知識があり、定期的にSH-05Eを覗けば安全そうだということがわかりました。spモードと保護者パスワードによる強力なガードにより、理性が欲望に打ち負ける、ほとんど全ての子供の気の迷いに耐えることができそうです。
しかし子供にスマートフォンを買い与えたような時、生産的な用途にスマートフォンを使い、あわよくばアプリを作り始めたり…なんて可能性はなきにしもあらず。案外プログラミングなんて始めたりするかもしれません。普通のスマートフォンを約束ガチガチにして与えると、そうした芽を摘んでしまいそうな気がするのです。
SH-05Eなら、アプリが欲しけりゃ、apkファイルをパソコンから自分で落とし、microSDカードリーダー経由で送り込み、それを本体側で読み込ませるという、なんかいきなりヘビーなAndroidユーザーがやってそうなことをしなければいけません。
親も「無ければ自分で作れ」とか約束しておけば、案外自分でアプリを作り始めるかもしれません。今の時代はアプリが溢れすぎています。App Store、Google Playを覗けばなんでもあります。しかし、「自分で作れ」。あえて崖から突き放す。突き放された子は、いきなりAndroid SDKのインストールを始めるかもしれません。エリート街頭まっしぐらじゃないですか。
まあ端っから子供にプログラミングやITリテラシーを学習させる気のないような親は、microSDカードを引っこ抜き、「スマホを使うための、あなたとの約束はたった1つ。microSDカードの購入・所持を一切しないこと。これだけ。私って優しいでしょ?」と言うだけでオッケーです。子供は完全にあなたの制御下です。
厳しすぎたがゆえの反動で、rootを取ってカスタムROMを動かす魔改造をするような、超ギークな子供が育ってしまったら対処不能ですが、それはそれで素晴らしいような気もしますが。
子供が将来プログラマーになる道は残しつつ、ネットの広大な荒海を、多くの子供が安心して泳げる狭い市民プールへと変える、非常にクローズドな端末を作り上げたドコモは、賞賛に値すると思います。