スマートフォンやミラーレス一眼の普及により誰もがカメラマンになる時代がやってきました。しかし、撮影された写真の管理はなおざりではないでしょうか? 気がつくとメモリがいっぱいになっているという方もいらっしゃるかと思います。
爆発的に増え続ける写真の問題を解決してくれるデバイスに株式会社バッファローさんが販売する「おもいでばこ」シリーズがあります。今回は実際に取材でお伺いした内容とレビューを交えながらお話を進めていきます。
「シニアだけに向けた製品」というイメージを払拭したい
取材を進めていく中で印象に残ったのは、株式会社バッファロー シニアプロダクトプロデューサー おもいでばこ担当 根元氏のお話でした。
「シニアだけに向けた製品というイメージを払拭していきたいですね。そのために沢山の機能を搭載してきましたが、やはりスマートフォンへの対応というのが大きいです」
確かに機能が絞られたセットトップボックスはシニアだけに向けられていたり、パソコンに不慣れな方向けという印象が強いですが「パソコンに強い方にも使っていただきたい」(同氏)とのことでした。
また、特徴的な「おもいでばこ」という名前については「ニコニコ動画のように親しみを持っていただけるような名前になっています。実は裏ですごいことをやっているのですが、それを表に見せず親しみを持って欲しい」(同氏)という狙いがあるそうです。
SDカードを挿すだけで写真をインポート。スマホからの読み込みにも対応
同製品に写真を取り込む際、複雑な手順は必要ありません。写真が保存されているSDカードを本体のSDカードスロットに挿入して「とりこみ」ボタンを押すだけで自動的に取り込みが行われます。また、USBポートを利用すれば一度パソコンに取り込んだ写真やスマートフォンからも写真を取り込むことができます。
スマートフォンを直接USBポートに接続すれば写真の取り込みができるので microSD のような外部メモリに保存して取り込みをする必要もありません。また、後述する専用アプリを利用すれば物理的な接続なしに写真の転送ができます。
写真の重複防止やカメラごとの抽出で新しい写真の楽しみ方を
バッファローと言えば TeraStation という NAS を販売していることをご存じの方もいるでしょう。「おもいでばこ」はさながら写真専用の家庭用NAS といっても過言ではありません。取り込まれた写真はハッシュ値が記録され、重複する画像が取り込まれるのを防ぎます。「この写真は取り込んだっけ?」と考えながら写真を取り込む必要がありません。
また、撮影したカメラごとに写真を抽出することができるのが新しい写真の楽しみ方を提供してくれます。「日常のスナップはスマートフォン」「本気の撮影はデジタル一眼レフ」「子供はDSを使って撮影」といった形でカメラの機種によってシチュエーションや誰が撮影したかを絞り込むことができます。
他にもデジカメの機種の変遷を見ていけば「あ、この時期はこのカメラを使っていたな」とか「このカメラを使っていたということは、あのとき撮った写真かな?」といった楽しみ方もできるわけです。この機能を使ってみたところ想像以上に面白い写真の巡り方ができました。
スマホからの転送・閲覧も可能
スマートフォンにクライアントアプリをインストールすれば同一LAN内にあるスマートフォンから写真の閲覧や転送ができます。おもいでばこのリモコンとして使えるのはもちろん、写真の転送や取り込みもできます。
1人でつかうのであれば気にする必要は無いのですが USB でスマートフォンを接続すると転送する写真を選ぶことができません。スマートフォンの写真には家族に見られたくない写真の一枚や二枚入っているのが普通でしょう。Wi-Fi を経由してのリモート転送なら必要な写真を必要なだけ転送できるので「この間ディズニーランドに行ったときの写真」といった形で必要なものを必要なだけ転送できます。
また、おもいでばこ自身がスリープ状態でも写真の送受信ができるので自宅にいれば思い出の写真を好きなタイミングで閲覧することができます。保存された動画のストリーミング再生にも対応しているので思い出の動画も楽しく閲覧できます。
これも NAS のような使い勝手をしていて、内蔵ストレージに心配があるスマートフォンやタブレットからでも、おもいでばこの潤沢なHDDに保存された写真・動画が閲覧できます。
ローカルに置く意味
クラウドが全盛の時代で「なぜ写真をローカルに保存する必要があるのか。全てクラウド上に保存すればいいじゃないか」と疑問に思われた方もいらっしゃるでしょう。私もそう考えた1人でした。その点についてお伺いしたところ、営業企画部販売促進課 おもいでばこプロモーション担当の竹中氏に興味深い答えをいただきました。
竹中氏「確かにネットワーク上に写真をアップロードしてしまえば、外出先でも写真の閲覧が可能になります。しかしこれは同時にリスクにもなります。写真というのはプライベートの塊で、どれだけ制御しようとしてもインターネットのアップロードされたファイルは制御ができないことがあります。その点、ローカルネットワークだけで閲覧できるというのはある種の防衛策でもあるのです」
たしかにクラウドは便利なのですが、どうしてもプライバシーやセキュリティという問題がついて回ります。写真というのは個人情報の塊ですから、その点を上手に解決しているとも言えるかもしれません。
是非一度使ってみて欲しい端末
一度使ってみると「おもいでばこ」は想像していたよりも高性能で写真の閲覧・整理・スライドショーなどたくさんのことができました。また「シニアだけに向けた製品」というイメージはスマートフォンで写真を閲覧・転送すると大きく変わりました。本記事の掲載までに時間が掛かってしまったこともあり、原稿執筆中のバージョンアップで動画のストリーミング再生にも対応しました。まさに一家に一台という感覚です。
実機の展示がされているのがヨドバシカメラなどの一部店舗に限られているので、なかなか実機に触れる機会がないかもしれませんが、是非一度手にとっていただいてさわってみて欲しい……そんな面白いプロダクトでした。