高市早苗総務大臣は、携帯料金値下げの問題について、通信キャリアの割引を規制する私案を、都内で記者団に披露したと日本経済新聞が報じました。
記事は短いものですが、これを読む限り、端末購入に伴う通信料からの割引を指している可能性が高いものと思われます。いわゆる月々サポート、毎月割、月月割と呼ばれているものに、上限額を設けようという案のようです。
これらの割引は、端末代から直接割り引くのではなく、通信料から2年間に渡って割り引くものです。(いわゆる『実質価格』。)この割引があるせいで、通信料の本来の価格の値下げが行われづらいという側面があります。また、これらの割引の原資は、端末をあまり買い換えずに長期間利用するユーザーの通信料であり、不公平感を生んでいるというのもあります。
私の意見はこれらよりも、以前の記事で述べたように、「実質価格で顧客を縛るため、端末正価を不当に高額に設定する」という傾向をキャリアが強めており、SIMロック解除義務化の本義であったはずの顧客の流動化が阻害されることや、若者の信用情報ブラック化という社会問題を絶つため、といった観点から、キャリアの割引、つまり「実質価格」を一律禁止すべきではないかと考えています。(根本的な解決策はキャリアからの端末販売禁止ですが、それは他に新たに出てくる問題が多いため)
「実質価格」は、資金力の劣るMVNOには真似しづらく、MNOに対して不利な部分です。割引の規制は、MVNOの不利をひとつ解消できるため、MVNO活性化を掲げる総務省方針にも合致します。
私は政府が自由競争に対して過剰な規制を設けることには反対ですが、競争の鈍った寡占市場に対して、競争環境と消費者の権利を確保するため、新しいプレイヤーを政府が擁護する形で介入することは、やむを得ないと考えています。このため、今回の高市早苗総務大臣の私案の方向性には賛成であり、もっと踏み込んでシンプルに、「実質価格」そのものを禁止すべきだと思います。
総務相の割引規制、どう思う? https://t.co/zuCJ3fLBOX
— すまほん!! (@sm_hn) 2015, 11月 6