総務省有識者をあざ笑う、携帯キャリアの繰り出す「次の一手」はこれだ。

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 総務省有識者会議の報告書案を、無駄にする方法を皆さんにこっそりお教えします。

お家芸、「なぜか選べないプラン」

  総務省の指示で、携帯キャリアが作る割安なプラン。さて、一般消費者がこれを契約しようと販売店に行くと、どのようなことが起きるのでしょうか。以下は私の勝手な予想です。

 まず、ショップ店員から「いかにこの割安プランが無駄で、お客様にとって損か」を巧みなセールストークで力説されます。「○○%のお客様は一ヶ月でこれだけ使ってます!上位プランはこんなにお得です!」「他の皆さんも上位プランに入ってます」などと迫られます。

 そうしたマシンガントークを聞いてもなお、自分の使用量を適切に把握し、割安なプランで十分だと思う人には、次のような事実が告げられます。「実はこのプランを選んでしまうと、通信料からの割引(月々サポート/毎月割/月月割)が減額してしまうんです」「お客様は固定回線からのセット割に入られていますよね?割安プランだとせっかくの割引が減ってしまうんです」

 そこでも折れずに割安プランでいいと強弁すると、きっとショップ店員の複雑な表情が見られることでしょう。「割安プランで契約すると頭金を取ります」「当店では契約できません」などと言われないだけマシでしょうか。

 これらはあくまで予想に過ぎませんが、似たような事例は、既にいくらでも起きています。端末販売と割引を握っているのをいいことに、割引額を操作することで、キャリアにとって都合のいいプランに半ば強制的に誘導されている実態があります。

 また、microSDカードの高額割賦押し付けやレ点方式のオプション強制加入など、不健全な販売方式が罷り通っています。しかし不健全な販売方式を奨励し、悪どいことでもしなければ販売店が生き残れないようにしているのは、他ならぬ携帯キャリアです。プランも上位プランを消費者に押し付ければ押し付けるほど、キャリアから販売奨励金が降ってきます。「データMパック以上を付けないと成績にならない」「ホワイトプランで契約されるとうちの店はやっていけないので、『新料金プランでしか契約できない』などと言ってお客さんを門前払いしよう」ということは、既に全国の店で起きているのです。

 というわけで、政府の横槍で不本意に導入されたプランなど、携帯キャリアはこれまでどおり、販売現場の店員を酷使して、客に実質的に選ばせないようにするだけです。

中古市場は「下取り」で華麗に潰す

  突然降って湧いたような「中古市場拡大」という有識者の案を潰す方法があります。それが「下取り」です。

 これは前機種を携帯キャリアが回収することで、通信料からの割引や値引きを増額するという手法です。割引が多いほど自社回線を長く使わせることが出来ます。さらに前機種を中古市場に明け渡さずに済みます。中古市場への端末供給量が減れば、中古市場の価格が高騰するのは当然です。しかも、キャリアは回収した端末を海外に横流しするわけで、転売によっても利益を上げることが出来ます。

 今後「下取り」キャンペーンを拡大、定番化することは、携帯キャリアにとって一石三鳥、有識者の思いつきの案も完膚なきまでに粉砕できます。

実は既に潰れてる

 NTT docomoとSoftBankは中古端末のSIMロック解除を拒否しており、中古市場発展なんて言葉に何ら迫真はありません。片手落ちです。

 また、総務省が検討中の消費者保護策である初期契約解除ルールは、既に無力化済みです。

 どちらも始まる前から終わっているのです。

違約金付き端末安売りの拡大?

 SoftBankが「一括/分割購入割引」という名称で、2年以内の解約で高額な違約金を取る代わりに、端末を安くするという仕組みを導入しており、現在では他社もこれをコピーしています。割引や販売奨励金による安売りではないので、ガイドラインの内容次第では、もしかすると携帯キャリアが安売りの突破口にできるかもしれません。MNPは敵の顧客を損失して自社回線を増やす効率的な一打ですから、絶対にどこかで還元をして他社と差を付けたいのがキャリアの本音です。

割引還元は巧妙に別サービスで

 端末の価格や割引で還元できないとなれば、キャリアの展開する他のサービスで還元でしょう。固定回線のセット割や、各社の発表したポイントカードなどは鍵だと思います。何なら月間データ容量で還元なんてのもどうですかね。いくらでも思いつきますよ。どんどん巧妙化していって、しまいにはパチンコの三店方式でも始めそうなものです。

 

 というわけで、今回の総務省有識者会議程度の認識なら、既にキャリアが部分的に導入している仕組みを活用するだけで、掻い潜ることが可能です。結局のところ、やるなら徹底的に、構造を根本から正さないと真の解決には辿り着けないと思います。

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